
過去二人の過労死を出したあの電通がやっと変わろうとしているようですよ↓ 働きたいのに働けない!「最高益」でも電通社内は大混乱(週刊現代)
本社ビルを22時から5時まで消灯し、社員の22時退社を徹底する、新たに200人を中途採用するといった対策である。
「22時退社を徹底」とか(笑)
「まだそんな遅くまで働いてるのかよ!5時に上がれよ!」と思うのは私だけでしょうか?
これで改善とは呆れます。
まあ、これでも昔よりは良いのでしょうから、何もしないよりはマシではあるのでしょうが。
特に、人員を増やして対処しようというところは評価できます。
仕事量が同じなら人員を増やすしかありませんからね。
ちなみに、もう一つ気になったのが給料の額の話。
代理店の仕事は考えることも多く、それなりにハードな仕事だからこそ、給料もいい。30代前半で年収1000万円を超える人もいます。
日本で30代前半で1000万は多い方だと思いますが、でもそれって文字通り死ぬほど働いて得る対価としてフェアな金額なんでしょうか?
「健康や寿命と引き換えの値段としては余りにも安すぎる」というのが私の率直な意見で、社員の方には申し訳ないですが、「電通の社員の命は安いな~」といつも思っています。
仮に、完全週休2日で、祝日もきちんと休んだとすると、年間休日日数は約120日で、年間勤務日数は245日となります。
仮に電通の社員がきちんとこれらの休みを取っていたとして、9時から22時まで実働12時間で勤務したとすると、245×12で年間2940時間働いていることになります。
年収1000万の場合、時給換算すると3400円です。
高給で有名な電通の給料がどれだけかと思えば、至って普通の金額というか、働かせ方を考えるとむしろ低過ぎでがっかりな感じです。
命を削るような働き方をして時給3400円とは・・・
しかも、週末に働いていたり仕事の持ち帰りをしていた場合、時給はさらに低くなります。(その分残業代が付けば別ですが)
電通はこうやって社員から安く買い取った労働力を使って莫大な利益を得ているわけです。
経営者は大喜びですね。
まあ、「若いのに高給取りだぞ!どうだ!」と喜んでいる社員もいると思うので、ある意味Win-Winなのかもしれませんが。
こうやって貴重な人生の時間を切り売りして得た1千万で「高給だ!」と喜んでいる人を見ているとかわいそうで「世の中不公平だな」と思ってしまいます。
オーストラリアではその年代で同じくらい稼いで定時上がり、有給完全消化、完全週休二日で有り余るほどの余暇の時間を楽しんでいる人はざらにいます。
オーストラリアとの比較をすると必ず「物価が違う」だの「オーストラリアは資源がある」だのと言ってくる人がいるわけですが、ここでその話をし始めると今回の記事の趣旨からは外れてしまうので給料の話はこの辺にしておきます。
それにしても、この程度の待遇で「勝ち組」と呼ばれる日本が私には理解できません。
一体、日本人の幸せってなんなんでしょうね?
客を甘やかしてきたツケが回ってきた
さて、前置きが長くなってしまいましたが、私が今回気になったのは以下の部分です。
「現在も会社から言われて22時退社を徹底していますが、そのせいでクライアントから反発を食らって参っています。
夕方、担当者から『急遽、明日の朝イチでプレゼン資料が必要になりました。お願いできませんか』と電話がかかってきた時も、『22時退社なので……』と正直に断って平謝りしています。それでも粘られる場合は局長に相談しますが、当然『ダメだ』。『局長判断でできません』と伝えざるを得ない。
先方から不満を言われることも少なくない。いままでなら絶対に『喜んで』と即答していましたから、本当に大丈夫かと思うこともあります」
~(中略)~
働き方改革は難しい。もちろん自殺に追い込まれるほどの長時間労働は規制されるべきだろう。
しかし、無理やり社員を頭から押さえつけるように労働時間を規制すれば、仕事を処理できなくなり、混乱が生じる。もちろんクライアントからの信頼を失う可能性もある。
なぜ「クライアントからの信頼を失う可能性もある」状態になってしまったかというと、今まで客から無理な要求をされても「喜んで」などと言って二つ返事で請け負っていたツケが回ってきただけのことです。
客は最初はそれで「電通はすごい。無理を言っても対応してくれる」と喜んでいたのでしょうが、そうやって深夜労働を強制するような要求をして、それが受け入れられることがいつしか当たり前になったわけです。
ニコニコして客の無理な要求を受け続けて「信頼」を得ていたとか、そんなことが長続きするはずがない。
大体、こういう要求は受けだすとキリがありませんから、「これ以上は要求はない」という終わりはありません。
「ハイハイ」と良い顔をして受け続けると、要求は永久に続くのです。
そしてそうやって社員に無理をさせてきた結果として過労死が起こり、残業ができなくなり、「無理な要求でも飲んでくれる電通」という客の信頼を失う可能性が出てきた。
自業自得ですよ。
客を甘やかして無理のある方法で信頼を得てきたツケです。
こんな仕事のさせ方をしていても不幸な人が増えるだけです。
え?客は喜ぶ?
私は客も不幸だと思います。
彼らにしたってそんな深夜にまで働いているわけです。
そして、彼らも彼ら自身の客に対しては同じように無理な要求を「喜んで」やっているところが多いのではないでしょうか。
まさに長時間労働と不幸の負の連鎖です。
こんな働き方が当たり前の社会で幸せになれる人ってどれくらいいるんですかね?
客の無理な要求を拒否するとどうなる?
なにしろ日本では「お客様は神様」ですから、「客の要求を断るなんてとんでもない」と思うのが普通だと思います。
拒否なんてしたら、それこそ信頼を失うことになりかねません。
でも、それを実際にやった会社があります。
株式会社アクシアというITの会社です。
アクシアはかつては残業まみれのブラック企業だったらしいですが、社長の米村氏の決断によってある日、残業一切禁止にしました。
その時の記録を米村氏のブログで読むことができます。
結構長い記事ですが、面白いので興味がある方は是非読んでみてください。
残業ができないので、当然、無理な要求をしてくる客(米村氏はこういう客のことを指して「乞客」と呼んでいます)を拒否しなければならなくなったそうですが、その結果はとてもポジティブなものでした。
残業まみれだった頃には顧客の理不尽な要求など当たり前で、それを当然のごとくアクシアでも受けてしまっていました。
残業禁止にしてからも時々顧客の理不尽な要求が発生すると、それを拒否するために闘わなければいけないことがしばらく続きました。
しかしずっと残業ゼロを続けてきた結果、優良な顧客が残るようになり、今までだったらあり得なかったような変化が顧客側にも現れました。
「アクシアさんは残業ゼロだから、この対応明日以降にお願いね」
以前だったら「この対応絶対に今日中にお願いします」とか言われることが多かったのに、顧客の方がアクシアの仕事の進め方に理解を示してくれて、無理のない要求の仕方をしてくれるようになってきました。
~(中略)~
その後もアクシアで働きたいという人からの求人応募がどんどん増え続け、特にどこかの求人媒体に求人を掲載しているわけではないのに、毎日毎日応募がくるようになりました。
あまりにも応募数が多いため、まず2017年9月にプログラミング未経験者からの応募を打ち切りました。それ以降経験者のみを募集するようになりました。
それでも応募は増え続け、アクシアでは十分すぎるくらいに優秀なエンジニアを採用できたので、2018年6月には経験者も含めて求人の応募もいったん完全ストップすることになりました。
別の記事では、乞客を切って気付いたこととして以下のようなことを書かれています。
残業禁止にしたら顧客を選ばざるをえなくなった話 - 株式会社アクシア
では実際にそうやって無茶な顧客の要求を断っていたらどうなったかというと、それはもちろん契約を打ち切られることもありました。恐れていたことが実際に起きてしまったわけです。
でもそれが悪かったかというとそんなことはありません。目の前の短期的な利益だけ見ているとデメリットの方が大きく感じてしまいますが、実際にそういう無茶を言う理不尽な顧客と取引がなくなってくると以下の様なことに気づき始めました。
- 無茶な要求を繰り返す理不尽な顧客はあまり利益を生まない
- 無駄な時間の多くは理不尽な顧客によって費やされる
- 理不尽な顧客がいなくなると他の大多数の優良な顧客に時間を使える
- 優良顧客に時間を使えるので長期的には会社の業績も良くなる
- 理不尽な顧客がいないとマネジメントもやりやすくなる
結局、乞客を切り捨てたことで、アクシアは残業ゼロを実現し、それに魅力を感じた優秀な人材が募集をかけてもいないのに殺到するようになり、優良顧客と取引をすることにより会社の業績も良くなったということになります。
客の要求に「喜んで」と応え続けた電通とは対照的です。
どちらの会社の社員が幸せでしょうか?
人によって重視するポイントが違うので様々な意見があるとは思いますが、私は圧倒的にアクシアのほうが幸せだと思います。
働きたい人だっているんだ!
上の週間現代の記事に書いてありますが、電通には「働きたいのに働けない!」と思っている社員がいるようなので、仕事が定時で終わればみんなハッピーかと言うとそうではないでしょう。
そういう社員は家に持ち帰って仕事をやっているようです。
「電通は東京五輪の組織委員会のプロモーションを一手に請け負っています。イベントの現場などで電通の社員が『残業禁止だから、仕事も持ち帰りです』と言っているのを聞きます。
五輪の現場は、『〇〇日前イベント』や会見など仕事が多いですから。最近になって小型のノートパソコンを使い始めた社員も複数いました。おそらく自宅で使うために購入したんでしょう。結局、仕事を家に持ち帰るのなら、働き方改革が効率を下げている側面もあると思います」
これはやめさるべきです。
「社員が自ら働きたいと言っているのだからいいじゃないか」と言う人もいると思います。
しかし、こうやって家で仕事をする社員が出てくると、家で仕事をしない社員との仕事量の差が当然出てきます。
そうなった時に、「なんであいつはこれだけの仕事ができるのに、お前はできないんだ?」というパワハラに繋がる可能性が非常に大きくなります。
残業している人が残業をしていない人よりも評価が高くなるというのは日本では良くあることです。
大体、部下が仕事を持ち帰ることを見逃しているのなら管理者は何をしているんだ?と思わざるを得ません。
こういう管理者はちゃんと部下を管理できているのか?
家でやっている仕事も把握して管理しているのか?
まあ、管理できてはいませんね。
残業は駄目だと決まっているのに家で仕事をする社員がいることがそもそも管理できていない証拠です。
ちなみに、会社についても似たようなことが言えます。
乞客の要求を「喜んで」とやる会社が一社でも出てくると、他の会社も競争をするために同じようなことを始めます。
つまり、そういう働かせ方をさせる会社がどんどん増えていくわけです。
客もいつしかそれが当たり前になり、調子に乗ってどんどん要求を出す。
こうなってしまうとこの動きを止めるのは容易なことではありません。
今回のように電通が要求を拒否するようになっても、客は他の会社に行くだけですから。
つまり、一人の社員が「働きたいから」と持ち帰りで仕事をしたり、一つの会社が「一つでも多くの仕事が欲しいから」と乞客の無理な要求を聞くと、それが広まり、不幸な人が増えるということです。
管理者の仕事は部下を守ること
客の無理な要求を拒否することは簡単なことではないと思いますが、先に紹介したアクシアの米村氏が先日こんなツイートをしていました。
本日理不尽な要求はちゃんと断りましょうというブログを書きましたがこうやります。仕様変更の要望を絶対に今日やれ!と言ってきた顧客がいて(しかも日曜日)これはもう顧客じゃないなと思って私が出したメールの抜粋です。理不尽な要求は飲んじゃ駄目です。#残業を求めてくる顧客はブラック企業 pic.twitter.com/No9YQWseUR
— 米村歩@日本一残業の少ないIT企業社長 (@yonemura2006) 2017年5月17日
いやー、すごいですね。
日本でここまできちんと客に「NO」を言える経営者はどれだけいるでしょうか?
ちなみに、私のオーストラリア企業での経験から言うと、私の上司たちは皆、この点は共通して客に「NO」を言える人たちでした。
そもそも、オーストラリアには日曜日に働けと要求してくるような乞客はいませんでしたが(笑)
ではなぜオーストラリアには乞客がいないのか?
それは、無理な要求を「喜んで」請け負うアホな会社も社員もいないからです。
唯一、日本の会社がオーストラリアの祝日をまたいで作業してくれと言ってきたことがありましたが、上司は「いや、こちらは祝日だから無理」の一言で拒否していました。
その日本の乞客は一度だけでなく数回要求していましたが、聞いていて恥ずかしくなったのでさっさと諦めて欲しかったですね。
甘やかされてきた日本の会社のいい例です。
まあ、彼らはそういう要求が日本の外では非常識だと思われることも知らないのでしょうけど。
ここまでの非常識な要求ではないにしても、もちろんオーストラリアの現地の客も色々と要求をしてきます。
しかし、管理者である上司はスケジュール上、これ以上やると定時で終われない仕事量と判断した場合は容赦なく拒否していました。
私が「多分、なんとかできると思うよ」と言ったときでさえです。
その上司が、「色々と要求してくる客から部下を守るのがマネージャーの仕事だよ」と言っていたのを今でもよく覚えています。
オーストラリアでは管理者になる人は「部下を守る」という考えをごく普通に備えているようです。
これに対して日本の管理者はどうでしょうか?
上の米村氏のツイートに対して「素晴らしい!」「格好いい!」というコメントがたくさん付いていましたが、そのことが一般的な日本の管理者のダメさを物語っていますね。
日本には、「管理者」と呼ぶには恥ずかしい人がたくさんいるということです。
客にはいい顔をして、無理な要求を拒否することもできず、そのしわ寄せを部下に与える。
タイムカードを押してから仕事をさせる。
家に仕事を持ち帰る部下を止めることもしない(できない)。
挙句の果てには「仕事は自分で探してやれ」と言ってみたりする。
挙げ出したらキリがありません。
部下を守るどころか、部下を苦しめているだけではないですか(笑)
こんなので「私は管理者でござい」と偉そうに振る舞い、役職手当とか貰っているのだから恥ずかしすぎると思いませんか?
あなたの上司はこんな「なんちゃって管理者」ではありませんか?
そんな、部下を守ることもできない「非管理者」の下で働いているのなら、転職を考えたほうがいいかもしれません。
世の中、会社なんて星の数ほどあるのですから、アホな上司の下で働くほどバカバカしいことはありませんよ。
ところで、外国から見ると日本の「労働」は他にもおかしなところがたくさんあります。
そんな話に興味があったら以下の記事を読んでください。

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