風邪を治す薬はないのに大量に薬を処方する日本の医者は何なのか

この一週間ずっと風邪でダウンして会社を休んでいました。

鼻が詰まってうまく息ができず、夜眠れなかったのが本当に辛かったです。

今私がいるオーストラリアではインフルエンザがかなり流行っているようで、亡くなった人のニュースも見ます。

私は風邪にかかっても大抵は数日で治ることがほとんどなのですが、今回は2日待っても良くならず、鼻水、咳、熱、頭痛、全身の倦怠感と「全部入り」だったので、「もしかしたらインフルエンザにかかったかも?」と思っていました。

余談ですが、私は今までインフルエンザの予防接種を受けたことはありませんが、インフルエンザにかかったことは一度もありません。

普通の風邪の場合は私は医者には行かないのですが、あまりにも症状が長引くのと、インフルエンザだったらまずいと思い今回はさすがに医者に行きました。

薬はもらえません

今回、医者に行ってみて分かったのが、「オーストラリアの医者は風邪には薬を出さない」ということです。

私が行ったクリニックは複数の医者がいるところなのですが、どの医者も予約で一杯なようでした。

それでも運良くキャンセルがあり、一人の医者にすぐに診てもらえたのですが、喉を診て、聴診器を胸と背中に当て、耳の中をチェックして(これって何を見ているのでしょうか??)、体温と血圧を測って、「これは風邪だと思うから特にやれることはありません」と言われておしまいでした。

そしてその二日後に症状がさらに悪くなり、一日中鼻が完全に詰まってしまって眠ることもできず苦しかったので藁にもすがる思いでもう一度診察してもらうことにしました。

この時はまた別の医者がまたキャンセルで空いていたので診てもらうことができたのですが、やはり、「これはインフルエンザではないと思う。今できることはとにかく良く休むことだけ」と言われました。

私が、「鼻が詰まってつらい」と訴えたところ、詰まりを通す鼻スプレーを勧められました。

このスプレー、薬局で普通に処方箋無しで買えるものです(笑)

しかも、これを使っても鼻が通るのはせいぜい数分間程度です。

もう、何のために医者に行っているのか分からなくなります。

日本人であれば、医者に行ったら色々薬を処方してくれると期待しますよね?

私が子供の頃は風邪で医者に行くたびにビタミン剤やら何やら良く分からない色とりどりの薬をたくさんもらってきて飲まされたものでした。

もしかしたら、今は日本でもむやみやたらと抗生物質は使わないという方向になっていると思うので変わってきているかもしれませんが。

風邪を治す薬はない

昔、どこだったかのネットの記事で、「日本人は医者に行ったら薬をもらうのが『お土産』のように当然だと思っている」と書かれていて、今になるとなるほどと思うところがあります。

少し検索したところ以下のような記事を見つけました。

まず、冒頭の部分を紹介したいと思います。

お金持ち体質は風邪薬に頼らない? [ニューリッチへの道] All About

たとえば風邪をひいたら風邪薬を飲むのは当たり前、と考えている人は少なくないと思います。しかし、薬を飲めば飲むほど風邪は治りにくくなり、長期化することがわかっています。

実際、10年ほど前に風邪で病院に行った時、薬が出なかったのを不思議に思って尋ねたら、医者が次のように教えてくれました。

風邪の時に処方する薬は基本的には解熱薬で、強制的に熱を下げるものだから、本質的に風邪を治療できる薬ではない。咳を抑える抗炎症薬も同じで、一時的に炎症を鎮めるだけ。

ただ、熱が下る、頭痛が治る、咳が止まる、鼻水が止まるといった効能のおかげで、治ったと感じるだけ。そもそも体内に侵入したウイルスは、基本的には人体が持つ免疫力によってしか退治できない。つまり普通の健康体の人なら、安静にしていれば数日で治る。

二度も医者に行って薬を期待しておきながら言うのもなんですが、実はこれは私ももう随分と前から知っていたことです。

「風邪薬は風邪を治すものではなくて分からなくするだけ」

でも言い訳ではないですが、今回はあまりにも辛かったので、「分からなくするだけでもいいから!」という思いで医者に行ったのです。

結局、何ももらえませんでしたが(笑)

私を2回目に診てくれた医者が言う通り、安静にして治るのを待つしかないんですよね。

薬はお土産じゃない

さて、「薬をお土産と勘違いしている」に関してですが、上記の記事で以下のように書かれています。(多分、どこかの新聞記事だったのではないかと思います)

クスリを欲しがる患者

高齢化率4割というとある無医村で、インターネットで常勤医の募集をしたところ、東京の若い勤務医から応募があった。彼はへき地医療に対する志が高い。おまけに、「田舎暮らし」を望んでいるということで、話はトントン拍子にまとまり、東京の病院を辞め村へ移住してもらうことになった。

当初、村の高齢者たちからは喜びの声があがったが、ほどなくそれは失望の声へと変わる。村の元気なご老人たちに対して、若き医師が行なった「診察」が問題だったのです。

「今のまま、おいしいものを食べて、よく寝て、たまに歩くなどの運動をしてください」これのいったい何が問題なのか。実際に高齢者たちから「不満」を告げられた隣町の医師が内情を話しました。

「この村に限らず、高齢者にとっての“医療”というのは、少しでも身体に異変があったらすぐに薬を処方してくれることなんですよ。そんな薬を欲しがる患者に対し、彼は『飲む必要がない薬を飲むと、お身体に負担がかかります』と一生懸命諭してしまったのです。それでしばらくして“あの若い医師は薬も出さない。それどころか自然治療をすすめている”なんて噂もまわって問題になったということです」

高齢者医療の現実を思い知らされたこの若き医師は、ほどなく村を去ったといいます。

「風邪を治す薬はない」という話と、実際に私が体験したようにオーストラリアの医者が何の薬も処方してくれなかったことを考えると、「日本の医者は何をあんにたくさん処方してるんだ」と考えさせられてしまいました。

「薬を売れば医者も製薬会社も儲かるから」という理由もあるでしょうが、「患者が欲しがるから」という理由も大いにあるでしょう。

でも、患者が医者に行った時にお土産のように薬を欲しがるようになったのはやはり、医者を通じて必要もない薬をたくさん売るような仕組みを作り、「医者に行ったら薬を貰うのが当然」という意識を日本国民に植え付けた製薬会社の戦略なのではないでしょうか。

オーストラリアでは恐らくどの医者も風邪に対してはほとんど薬を処方してくれないと思います。

日本人的考えの私は、今回辛かった時に薬を貰えなくて残念な思いをしたのは事実です。

でも、「こっちの医者のほうが薬を大量にくれる日本の医者よりも健全なのかもなぁ」と薬を飲まずに風邪が良くなった今になって思う次第です。

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かわずん
アンチ・ブラック企業ブロガー