ユーチューバーが話題の記事を見つけたので、前回(子供がなりたい職業「3位 ユーチューバー」が物語る現実)に引き続きユーチューバーの話で始めたいと思います。
私は特にユーチューバーという仕事を贔屓にするつもりはありませんが、少なくとも「ろくでもない仕事」とは思いません。
しかし世間ではあまりいい印象を持っていない人が多いようです。
ユーチューバーという仕事が理解されず散々な評価な理由
「若いうちに2~3億稼げれば、それでいい」 人気ユーチューバーが「男は一生仕事」論を一蹴
番組が街頭で40代以上の100人にユーチューバーのイメージを聞いたところ、「ひきこもり」「楽して儲けようとしてる」「まともな仕事して欲しいね」などネガティブな声ばかり。63%が「ユーチューバーを職業だと思わない」と回答した。
とまあ散々な評価です。
それでは彼らが言う「まともな仕事」とは何なのでしょう?
サラリーマンとして会社で働くことはまともな仕事でユーチューバーはまともではないのでしょうか?
まず、ユーチューバーという仕事は最近注目され始めたばかりですし、名前を聞いたことがない人もまだ沢山いるでしょうからその実態も知らない人が多いでしょう。
ですからそれがこの拒絶理由の一つだと思います。
しかし職業などというものは時代と共にどんどん変化していくものです。
時代が変わるに従って新しい職業が生まれ、無くなる職業もあります。
例えば完全にコンピュータが運転する自動運転車は今後数十年でかなり普及するでしょう。
その時には運転手に対する需要はほとんど無くなっているでしょう。
ある記事で書かれていましたが、 「運転免許」を取る必要が無い世代の人たちは既に今生まれている人達の中から出てくるだろうということでした。
つまりあと20年以内には恐らく人間が自動車を運転する時代は終わるだろうということです。
運転免許を取る必要性が無くなれば当然、教習所も必要なくなりますね。
その他の分野においても今後は今の人間の職をどんどん機械が置き換えていくと言われています。
でもだからと言って人間の仕事が少なくなったり無くなるとは私は思いません。
その時代に不必要になった職業が無くなり、新しい職業が生まれてくるだけのことなのです。
例えばコンピューターが生まれてからできたソフトウエアエンジニアという職は最初の頃は「ソフトって何?」「ソフト開発ってソフトクリームか何か?」という感じだったでしょう。
そう考えると新しい仕事は最初はまともではないと思われることもあるかもしれませんが、みんなが慣れてくればそうは思われなくなるものでしょう。
これはユーチューバーにしても同じことです。
絶対に安泰な職業なんてあるの?
ゲストの野々村真さんはこんな質問を投げかけた。
「今はいいけど、流行り廃りがあるし、この先の人生のことを考えると、ちょっと不安なんですけど、その辺どう思ってるの?」確かにユーチューバーという聞きなれない仕事が、この先いつまでも残っているとは限らない。しかし恭一郎さんの口からは「いや、でも、この先の不安っていうことは……。一生仕事しなきゃいけないってことですか?」という逆質問が飛び出した。
よもやそんな返事が返ってこようとは思わない野々村さんは「は?」と驚き、「いや当然、男なら一生仕事してカネ稼がないと」と言い返したが、恭一郎 さんは「そんなことはないんじゃないですか?」と即答。「べつに若いうちに、生涯年収くらい稼げばそれでいいじゃないですか」とキッパリ言い放った。
上述したとおり、どの職業でも流行り廃りはあり得るのでそういう職業がダメだというのならばみんな絶対に無くならない仕事を探さないとなりませんね。
例えばソフトウェアを開発する言語にしたって流行り廃りがあるので、ある言語をマスターしていればもう勉強もしなくていいし一生食べていけるなどということはありません。
ITの分野においては特に新しい技術やサービスが出てくるスピードが速いのでこのような淘汰はいくらでもあります。
でもITの分野で働いている人に対して「流行り廃りがあるからその職業はダメ」と言う人はほとんどいません。
無くならない保証がある仕事などこの世の中に恐らく無いでしょう。
上の野々村さんの質問は「ユーチューバーという職業を認めたくない」という偏見から来ているとしか思えません。
「働き続けなければならない」という固定観念
また恭一郎さんは以下の様な事を言っています。
さらに恭一郎さんは、「男なら一生稼ぐべき」という質問への回答をこう述べた。
「一般的な生涯年収(賃金)って、2億とか3億とかって言われてるじゃないですか。(ユーチューバーとして)それぐらい稼げれば、それでいいと思います」
~(中略)~
「そもそも、汗水たらして稼ぐっていうのが、すべてに適応するとは思わないです」
本当にその通りだと思います。
一体、「男は一生仕事」「汗水たらして働かないとならない」などと誰が決めたのでしょう?
今の若い世代では変わってきていると思いますが、上のほうの世代では未だにそのような思想が根強いと思います。
個人的にはユーチューバーも立派な仕‘事の一つだと思います。
仕事が「お金を稼ぐ」という目的であると考えるのならば収入がトップクラスのユーチューバー達などは 「立派すぎるほど立派」でしょう。
何しろ世界でトップの人は1年に15億円以上、日本でトップの人でも年1億円以上稼いでいるらしいですから。
サラリーマンをしていてこれだけ稼いでいる人は一体どれだけいますか?
多くのサラリーマンが一生かけて稼ぐお金をこの人達は数ヶ月から数年で稼いでいるのです。
ユーチューバーという仕事に対して「まともな仕事ではない」「汗水たらして働け」などという人達のうち何人が彼らよりもたくさんの給料を会社からもらっているのでしょうか?
これらのユーチューバーのトップクラスの人達の年収を聞いても「ユーチューバーなどまともな仕事ではない」と言う人達は恐らくただのヒガミか「仕事は辛くないとならない」という「意味不明な常識」をこれまでの教育や社会でたっぷりと洗脳されてきている人達でしょう。
また、多くのユーチューバーの人たちはやりたくて自らその仕事をやっていると思いますが、そういう点からしても多くの「やりたくもないけどお金のために働いているだけ」のサラリーマンなどよりよほど立派でしょう。
みんなが汗水たらして働いた社会の成れの果て
ここに政府発表の統計資料があります。
この資料によると、「勤務問題が原因の一つ」とされる自殺者の数は平成25年で約2万7千人です。
ここ数年は3万人を切っているようですが、それまでの10年以上は常に3万人を超えています。
この数字を見て「まあそれくらい死んでも大したことではない」と思う人はあまりいないでしょう。
3万人というと多すぎてどれくらいかぱっと想像できませんが、膨大な人数であることは確かです。
しかもこれは過労死と明確に分かっている死因だけの数字で、原因が不明なものを含めると実際にはこの何倍もあるだろうという話です。
私達は「汗水たらして働くことが偉い」と教えられて大人になり、多くの人達はそれを頑なに信じて生きていますが、そうしてみんなが盲目的に働いて出来た社会が生み出しているのが毎年3万人という自殺者と膨大な数の心を患った人達なわけです。
これが正常な社会なのでしょうか?
子供がこのような親や社会を見て育って「自分もそうなりたい」「自分もこんな社会の一員になりたい」と思うのならそのほうがおかしいでしょう。
汗水たらして働いて結果的に心を病んで自殺してしまうくらいなら「まともな仕事ではない」と言われようがユーチューバーをやっていたほうが遥かにマシというものです。
人生を楽しもう
「男は一生仕事」とか「汗水たらして働くのが尊い」などの誰かに植え付けられた常識に捕らわれ続けたり、「○○のような職業はまともではない」とか世間からの評価やイメージだけで自分の人生の選択肢を狭めるのは本当に勿体無いことだと思います。
人生何をするのもあなたの自由なのです。
犯罪や法律に触れることでなければ何をして生きていってもその人の自由ですし、その生き方について他人がとやかく言う権利はありません。
また他人の評価を気にする必要もありません。
「一生仕事」どころかユーチューバーの恭一郎さんの主張するようにさっさと引退しても責められるようなことではありません。
私の日本人の知り合いが以前、「早く引退して楽な生活をしたい」と親に言ったら「何情けないこと言ってるの」と言われたそうです。
残念なことにこれが今の日本の人の平均的な反応でしょう。
日本では特にお年寄りなどは「楽をしようとすること」に対して無条件に「良くないこと」という反応を示す人が多いと思います。
しかし、オーストラリアで「アーリーリタイアしました。今は旅行に行ったりして気ままに暮らしています」と言っても羨ましがられこそすれ、「情けない。男は一生仕事しろ」などと言う人はまずいません。
アーリーリタイアしたいからと投資を勉強したり実践したりしている人もたくさんいます。
また、オーストラリアでは女性が働いて男性が主夫をして子供の送迎をしている家庭もたくさんあります。
日本でも主夫をやっている人はいるでしょうが、「男は一生仕事」がまかり通っている日本では世間からの視線が気になることも多いでしょう。
もちろん、仕事が楽しくて仕方がなくて、「一生仕事をしたい」というのなら全く問題ありませんしどんどんやったらいいと思います。
人生楽しんだもの勝ちですから、仕事をしようと主夫をしようとユーチューバーをしようと楽しんで幸せだと感じているのならそれでいいのです。
また、もしリタイアしても(「もう一生遊んで暮らしたい」という人もいると思いますが)、「本当に人の役に立つことをしてみたい」とまた仕事を始めたりボランティアを始める人もいると思います。
この、「人の役に立つ仕事をしたい」というのは就職の面接の時に言うような表面だけの軽い言葉ではなく、条件が揃えば本気でそう思うようになるでしょう。
そしてまた新たに仕事を始めたらそれはそれでまた面白い人生が待っているのではないでしょうか?
だから「男は汗水たらして一生仕事」などと肩肘を張らず、楽しく生きればいいのです。
あなたの人生はあなたのものなのですから、あなたが楽しくて幸せに感じることができればそれで良いのです。
ところで、汗水たらして働くことが尊いという思想と同じようなものに「お金は苦労して稼ぐべき」という考えがあります。
最近は「給料は我慢料」なんていう言葉も聞きます。
あなたがこういう考えだったら以下の記事を読んでください。

>>【給料は我慢料?】「お金は苦労して稼ぐべき」という洗脳から抜け出すべきワケ