みなさんは「マタニティーマーク」というものを知っていますか?
また、マークを付けている人を見たことはありますか?
マタニティーマークとは、お腹がまだ大きくない妊婦さんでも外出時に配慮してもらえるように妊婦であることを他の人に明示するという目的で付けるマークだそうです。
私は今まで一度も付けている人を見たことがありません。
このマタニティーマークが始まったのは私が日本を出てからなので私が今まで見る機会が無かったのは当然かも知れませんが。
このマーク、いいアイディアのようにも思えますがあまり普及してないのでしょうか?
マタニティーマークをつけていると肩身が狭い?
マタニティーマークを取り巻く現在の状況について以下の記事で詳しいことが書かれています。
マタニティーマーク10年、世間の反感に自粛する妊婦も:朝日新聞デジタル
残念ながら記事の半分から下は有料記事なので会員でないと見ることが出来ません。
後半部分には実際に使った人が電車で席を譲ってもらえたり親切にしてもらえたなどの体験が載っています。
とりあえず後半の記事を読む限り、このマークを付けることによるメリットは実際に結構あるように見受けられます。
しかし記事の前半の部分を見ると日本人の嫌な面が見えてきます。
「なぜ妊婦を優遇するのか」といった声が寄せられるようになった。
「妊娠は病気じゃないのに特別扱いはおかしいとか、電車に乗るべきじゃないとか、ネットでは強い言葉が一人歩きし、妊婦さんを萎縮させている。」
このような批判は主にネット上で行われているようで、マークをつけている人が批判されている状況を見た妊婦の人たちは最近では
「電車で席を譲れと圧力をかけるようで気が引けた」
「暴言や暴力の標的になるとネットで見て、怖くなった」
などと、せっかくマタニティーマークをもらったのに使わずに捨ててしまう人も出始めたようです。
とても良く分かります。
こんな状況ではマタニティーマークをつけているだけでいつ実際に暴言を吐かれるか分かりませんし、もしかしたら子供に被害が及ぶ事態にだってなるかもしれません。
それにしても妊婦が生きにくい社会などロクな社会ではありませんね。
日本人はよく外国の人から「日本人は親切」などと言われると喜んでいますが、日本人のこんな狭量な面を知ったら褒めた外国人は確実に幻滅するでしょうね。
匿名のネット上の発言になると途端に強気になることは多かれ少なかれ誰にでもあると思いますが、自分が反撃されない安全なところから「自分が絶対に正しい」とばかりに弱いものに対して罵詈雑言を並べる様は見ていて情けないものがあります。
批判するのはどんな人間?
「席を譲れと圧力をかけられている気がする」とか「妊婦ばかり優遇するな」とか言ってマタニティーマークを批判する人達に教えてあげましょう。
はっきり言ってあなた達は周りの人の目を気にし過ぎです。
こういう人達は「自分が周りにどう思われているのか」を常に気にしてビクビクしながら生きている人達です。
目の前にマタニティーマークを付けた人が立っていると「周りの人に心の狭い人間と思われたくない」と譲りたくもないのに席を譲っているのです。
周りからどう思われているかが気になって仕方がないのです。
だからこんな小さなマークに対して大人気なく攻撃するのです。
席を譲るかどうかはあなたの勝手
ではどうすればいいのか?
心から他人を思いやれる優しい人間になってストレスを感じずに席を譲れるようになるべきか?
違います。
もちろんそういう人が増えたらベストでしょう。
しかし人間そんなに簡単に変われるものではありません。
残念ながら周りの目が気になる人は余程のことがない限り一生その性格のままでしょう。
みんなそれぞれ何かしらの事情があって座っていたいことだってあると思います。
単に眠くて寝たいからとか、今日は仕事で疲れたからという理由でも全然いいと思います。
そういう時は例えマタニティーマークを付けた人を見ても席を譲らなければいいだけのことです。
当然ながらマタニティーマークにはなんの法的な強制力もありません。
だから無視するなり寝るなりして座り続ければいいだけのことです。
重ねて言いますが、座り続けたい人はそれぞれ理由があるのですから(単に座っていたいという理由だとしても)その人の意思だって尊重されるべきです。
大体、電車の席は優先席以外では先に席を取った人が座り続けられる暗黙の権利(ルール)があります。
あなたが座っているのは朝のラッシュの過酷な席取り競争を勝ち抜いてやっと取れた席かもしれません。
前の夜に残業して遅くに帰宅して十分な睡眠が取れなかったから電車で寝たいと思っているかもしれません。
そんな席だったらますます譲りたくないですよね。
だからそのまま座っていたいのならそうすればいいのです。
誰が目の前に立とうと座っていればいいのです。
しかしここで人の目を気にするから自分で勝手に創りだした「ストレス」を感じるようになるのです。
そしてそのストレスや不満が溜まり、ネット上での暴言に繋がっていくのです。
「妊婦は病気じゃないのだから特別扱いするな」などと思うのならわざわざネットで自分の行いを正当化するために妊婦を攻撃したりせず、黙って座っていればいいのです。
譲る人がいなかったら運が悪かったというだけ
ただし、「妊婦は病気ではない」と言われようとも、「辛いから座りたい」と思っている人がいるのも事実です。
そもそも「病気ではない」から辛くないというのは論理的ではありません。
確かに妊婦は病気ではありませんが、つわりなどで辛い時があるのは確かです。
だからそのことが理解できて譲ってあげようと思う人が譲ればいいだけのことです。
それから、「妊婦は電車に乗るべきじゃない」とか言う意見は論外です。
本当に余計なお世話ですね。
乗っている人は、つわりで辛くても電車に乗らなければならない理由があるから乗っているのです。
そもそも電車に乗るか乗らないかなどその人の自由です。
他人がとやかくいう権利などこれっぽちもありません。
それから、必ずしもマタニティーマークを付けている人の目の前の人が立たなくても良いではないですか?
横の人でも後ろの人でも席を譲ってあげようと思ってそれが可能な人が譲ればいいのです。
譲らなかった人が心が狭いとか考える必要はありません。
譲らなかった人には何かしらの理由があるのです。
その人は自分の席に座り続けるという当然の権利を行使しただけのことです。
では、もし誰ひとりとして席を譲る人がいなかったら?
それはそれで良いと思います。
それはそこに居た全員が席を立ちたくない理由があったというだけの話です。
妊婦の人には辛い状況でしょうが、自分で席を取れなかったのだからこればかりは仕方がありません。
誰も恨んではいけません。
どうしても座らなければならないのならば、時間帯をずらすとかタクシーを使うとか別の手段を取るしかありません。
みんながこういう考えを出来るようになればマタニティーマークを付けた人に対する暴言など出てこなくなるでしょう。
立ちっぱなしになった場合は妊婦にとっては辛い状況にはなるでしょうが、ネットなどで暴言が溢れて電車に乗るだけで肩身が狭い思いをするくらいならこちらのほうが遥かにマシでしょう。
オーストラリアではどうか
オーストラリアにはマタニティーマークなどというものはありませんから、妊娠しているかどうかわからない人は辛い時はきっと近くの人に理由を言って席を譲ってもらっているのだ思います。
日本人の場合は人に表立ってお願いをしにくいという習慣があるのでオーストラリア人の真似をしたほうがいいとは言いません。(だからこそマタニティーマーク というものが生まれたのでしょうし)
基本的にこちらの人は弱者に対してとても親切で優しいです。
恐らく親や学校でそう教わって育ってきているのでしょう。
満席の時にお年寄りや妊婦などが乗ってくると必ず誰かがすぐに席を譲ります。
少し怖そうな格好をした若いお兄さんとかでも意外と普通にそういうことをします。(こういうのを見る度に人間は見た目で判断してはダメだなと思います)
もちろん、席を譲らない人だっています。
しかし必要なときはそこにいる誰かしらが譲りますし、それで何事も無く終わります。
日本人も他人を攻撃したり自分を正当化したりするのに無駄な時間を費やしたりせず、もう少し心に余裕を持って生活するべきでしょう。
ところで、日本では数分電車が遅れるとイライラする人が出てきますが、これも心に余裕が無いせいです。
でも数分の遅れくらいでイライラすることも無くなったら良い社会になると思いませんか?
こんな話に興味があったら以下の記事へGO!
>>今、電車が遅延しイライラしてる?】遅れても誰も「イラッ」としない社会がもらたすメリットを教えます。