日本でほとんどの人がホワイト企業に入れない本当の理由

先日、「ホワイト企業に入れる優秀な人は、ブラック企業でも平気でやっていける人」だという、面白い意見を書いている記事を見かけました。

筆者は午堂 登紀雄というコンサルタントの方です。

ほとんどの人が「ホワイト企業」に入れない理由とは? [ニューリッチへの道] All About

こんな会社であれば当然のように、多くの人が入社したいと考えます。だから、新卒にしても中途にしても、応募者がわんさかとやってきます。しかし、見ていて気づくのは、そんな競争を勝ち抜いて内定をゲットできるのは、結局は仮にブラック企業に入ったとしても平気で働けるような、上昇意欲の強い優秀な人材ばかりでした。

つまり、ブラックを嫌がる権利志向が強い人(定時で退社したい、有休は消化したい、休日出勤や残業は手当がでないとやりたくない等々)は、こうしたホワイト企業の入社試験を突破できないのです。

イヤイヤイヤ・・・

私はブラック企業に耐えられず、1年半で辞めましたが、オーストラリアの超ホワイト企業に入って12年以上働いていましたが、何か?(笑)

ついでに言うなら、私は特に上昇志向も強くない、「働くなら楽なほうがいいかな」と考えていたごく普通の人間です。

そもそも、「仮にブラック企業に入ったとしても平気で働けるような、上昇意欲の強い優秀な人材」という定義もおかしい。

長時間労働+休日なし+パワハラというブラック企業の労働環境においては、上昇意欲が強かろうと優秀だろうと大概の人は平気で働き続けることなどできず、いずれは心と体が病んでいくでしょう。

しかも、「定時で退社したい、有休は消化したい、休日出勤や残業は手当がでないとやりたくない」と言うのが、「権利志向が強い人」とは噴飯ものですね。

このブログで過去に何度も言ってきましたが、重要なのでしつこいくらいに言っておきましょう

いいですか?

定時で退社、有給の消化、休日出勤は手当ありというのは、労働者の当然の権利です。

大体、定時で退社できないのであれば、「定時」の定義は何なんでしょう?

有給は入社時に「年間何日」と会社側が提示し、それを被雇用者側が合意して労使契約を結んでいます。

それなのに、実際に有給を取ろうとすると「取るな」と言うのは、一体、どういった権利があって言うのでしょうか?

従業員が契約で決められた時間(一日8時間)労働し、会社がその成果を享受する権利を得る代わりに、会社は従業員に契約で約束された労働者の権利を与えるのは当たり前のことです。

労働者側ばかりが、権利を行使するときになって「権利ばかりを主張するな」と言うのはどう考えてもおかしな話です。

そんな理不尽が堂々とまかり通っているのが今の日本なのです。

私からすれば、「日本の会社は労働力を得る権利ばかりを主張するな」と言いたいところです。

ホワイト企業はぼったくり企業?(笑)

さて、日本にも少ないながらもホワイト企業が存在しますが、「ホワイト企業がそんな環境を維持できるのには理由がある」と午堂氏は主張しています。

曰く、

ではそこはなぜ、そんなホワイトな条件でも競争力を維持し、会社を存続させられるのでしょうか。理由は簡単です。その企業は寡占業界の中のガリバー的存在ですから、商品の値付けは比較的自由です。差別化・高利益率商品・高収益ビジネスと言えば聞こえはいいですが、言い換えれば「値段は割高」、悪く言えば「ボってる」わけです。

ほかに代替がないし業界のプライスリーダーですから、顧客は割高とは思っていないだけ。従業員にホワイトな環境を維持できる理由とは、表現は悪いですが結局はそういうことなのです。「ブラックは嫌だ、ホワイトがいい」という人は、ある意味「顧客からぼったくる商品を売っている会社に入りたい」に近いと言えなくもありません。

もうね、これは滅茶苦茶な理屈ですよ。

値段が割高だからボッてるって(笑)

冗談も休み休み言って欲しいものですね。

午堂氏は、「商品を安く売って客がいい思いをする企業は良い企業で、高い商品=ぼったくり商品を売っているような企業はけしからん」でも言いたいのでしょうか?

それでは、「ぼったくりをしている」と氏に批判されているホワイト企業を私が弁護しましょう。

ホワイト企業は、その従業員に対して、フェアな給与、休暇、福利厚生を与えているので、当然のことながらそのコストは商品の価格に反映されて高くなります。

これを「ぼったくり」と言いますか?

従業員を大切にし、法律を守り、商品を製造するのにかかったコストを適切に値段に反映した商品を売っている真っ当な素晴らしい会社ではないですか。

これに対して安い商品を売っているブラック企業はなぜ商品を安くできるのか?

それは、従業員を不当に安い給料で夜も週末も無く働かせているからというのが一つの大きな要因でしょう。

人件費が安くなれば商品も安くできるので簡単なことです。

こんな企業が良い企業ですか?

従業員から散々給料を「ぼったくっている」会社は良い企業ですか?

まあ、午堂氏はきっと商品を安く買えれば良いのでしょうから、彼からすれば良い企業なのかもしれませんが(笑)

そういうわけで、『「ブラックは嫌だ、ホワイトがいい」という人は、ある意味「顧客からぼったくる商品を売っている会社に入りたい」に近い』という氏の言い分を以下のように修正しておきましょう。

「ブラックは嫌だ、ホワイトがいい」という人は、ある意味「適正なコストを載せた適正な値段の商品を売っている良心的な会社に入りたい」に近い。

なぜオーストラリアではホワイト企業が多いのか?

私の知る限り、オーストラリアではほとんどの人がホワイト企業で働いています。

もちろん、「上司が嫌だ」「給料が少ない」など、みんな色々な不満を言っていますが、それは全て合法なレベルの待遇が基本にある上での話であり、日本のブラック企業のように、聞くに堪えないようなパワハラや、最低賃金を下回るような給料や、奴隷のような長時間の強制労働についての不満ではありません。

ちなみに、オーストラリアにもブラックな職場はあります。

その多くは日本人を含め、アジア人が経営している一部のレストランです。

彼らは、留学生やワーキングホリデーの人など、英語が堪能でなかったり、働ける期間に制限がある人達の足元を見て不法に安い給料で雇っています。

そして、それらのレストランのメニューにある食べ物は大抵、きちんと給料を支払っているレストランよりも安いのです。

上で説明した日本のブラック企業の図式と同じですね。

きっと、午堂氏なら「この日本食レストランは安くて素晴らしい!それに引き換え、オージーがやっているレストランは高くてぼったくりだ!」とでも言うのでしょうね。

それにしてもなぜ、日本では「ほとんどの人がホワイト企業に入れない」のに、オーストラリアではほとんどの人がホワイト企業に入っているのでしょうか?

答えは簡単で、オーストラリアはホワイト企業が多く、日本では少ないから。

それではなぜ、オーストラリアではホワイト企業が多いのか?

それは、政府が厳格に法律を運用し、最低賃金を下回る給料で雇用していたり、不法な長時間労働をさせていたり、休暇を取らせないような企業を厳しく取り締まり、とても厳しい罰を与えているからに他なりません。

それに引き換え日本は、「過労自殺を出すような電通に対する罰金が50万円ぽっきり」という、ブラック企業が大喜びする国ですから、バカバカしくてホワイト企業なんてやってられないわけです。

そうそう、人件費が高い分、当然、オーストラリアでは物価が高いです。

特に外食はものすごく高い。

少し良さげなカフェに入ると、コーヒー付きのランチで一人2000円なんてごく普通です。

でも、こうやってみんな適正な給料を貰っているから、物価が高くても生活していけますし、法律が不当な労働環境から労働者を守ってくれているのでみんなそれなりに幸せに暮らしているのです。

まあ、「みんなそれなりに幸せに暮らしている」というのはあくまでも私の主観的な意見ですが、少なくとも過労死とか過労自殺などというニュースを聞かないのが一つの証明です。

オーストラリアでも多くの消費者はもちろん安いほうが好きでしょう。

正直なところ、私だって高いより安いほうがいいと思います。

でも、オーストラリアの企業はきちんと法律を守っているので、人件費を載せた適正な価格以下の値段を付けた商品を売ることはしません。というか、できません。

(実は後進国の安い賃金で働く人たちを不当な環境で使って安く作っている企業もありますが、そういう企業はかなり批判されていて、是正する企業もあります)

日本では、消費者の「安い商品がいい」と言う要望に応えて、企業は人件費を削って(適正な給料を払わず)商品を安くします。

そして、そうやって安い商品を好んで買っている消費者は、自分たちも安い商品を供給するために安く使われるようになるというのに気付いている人は多くありません。

結局、他人を安く使っていると自分も安く使われるようになるということです。

今後は、「この商品、安く買えた!」と喜んで良いものか、よく考えたほうがいいでしょうね。

日本で中々ブラック企業が無くならないもう一つの理由は、有名企業であればそんな企業でも働きたいと思う学生がたくさんいるからでしょう。

あの過労自殺の事件から何年も経っていないというのに、学生の希望企業のトップ10に電通が入るというのは異常です。

多くの学生が、「自分が何を学んできて、それを生かして何をやっていきたいか」ではなく、「大企業、有名企業で自慢できるところならどんな仕事でもオッケー」的な単純思考で選んでいることが良く分かります。

このことは「未だに電通が就活生注目トップ10入り。狂った日本の国と企業と学生たち。」でも書きましたし、長くなるので今回はここら辺で。

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