「権利を主張する前に義務を果たすべき」という信仰があなたを不幸にする理由

4d2d73a8566990942ff96324a1fef1e5_full

ネットでよく、「有給や残業代の要求ばかりするな。権利を主張する前に義務を果たせ」と言う人をよく見かけますがみなさんはこの考え方、どう思いますか?

社会人として当然のマナー」だと思いますか?

それではまず最初に「育児をしなければならないため、会社での昇進は諦めた」という女性について書かれた記事を紹介しましょう。

昇進を捨てた女性の本音から見える「女性活躍社会」への課題 WEDGE Infinity(ウェッジ)

 「子どもを保育園に入れる、入れられないということよりも、働き始めてからの方が100倍大変でした。子育ては物理的に手がかかりますし、ひとたび会社に来てしまえば一職業人としての責任を果たさなければなりません。今思い起こせば常に走っていたと記憶しています。通勤のときは、気持ちに余裕がもてずに よく泣いていました。会社から帰るときも、早く息子に会いたくて、いつも走っていました。『何でこんな思いをしてまで、自分は働いているんだろう』と思っ たことは、何度もありました」
~(略)~

2000年頃は、社内に「働くママ」はほとんどおらず、短時間勤務扱いを申請したのは会社で2例目だった。だが、周囲の目が気になってしまい、結局1日も短時間勤務をすることはなかった。

働くママとして気遣ったのは職場だけはない。小学校のPTA活動でも、山田さんは周囲の反感を買わぬ策を考えてきた。

「どうやって専業主婦の方と『共存』していくかを意識していました。仕事があるので、平日の父母活動には出られない代わりに『土日は何でもやります』と いう姿勢を見せていました。週末の運動会や納涼会、掃除や餅つき、父母のボランティアには主人と一緒に必ず顔を出しました。会社でも学校でもサポートして もらえるような自分であることが重要です」

「権利の主張だけではなく、まずは義務を果たさなければなりません」

この人が何をしようと自由ですが、あえて指摘させてもらうなら、この記事で気になったところは

「どうやって専業主婦の方と『共存』していくかを意識していました」

「(PTAなどの活動において)『土日は何でもやります』という姿勢を見せていました。」

という部分です。

そんなことまでしていたら毎日が忙しくなって当然でしょう。

早く子供に会いたくて走って帰っていたほどなのにPTAなどに参加する必要があるのか疑問です。

そんなものよりも子どもや家族との時間のほうが大切ではないのでしょうか?

PTAのような集まりなどは時間的に余裕があってできる人がやればいいのです。

忙しくて参加できない人は余裕ができてから参加すればいいではないですか。

まあそうは言ってもきっと「和」を第一に考える日本の社会では「忙しいから」という理由では参加しない言い訳にはならないでしょうけど。

恐らく、「私達も暇ではないのに頑張って来ているのにあそこはなぜ来ないの?」などと日本的な同調圧力がかかるのでしょう。

「みんなで苦しもう」

「楽をしている人は許せない」

というわけでしょう。

仕事が終わってもこのような社交的な集まりにまで気を回さなければならず、時間を取られるとは日本はなんと面倒な社会なのかと思います。

一体、この人はこんな生活をしていて本当に幸せなのでしょうか?

こんなことに時間を使って疲れていては家で子どもと接する時間はごく限られてしまうでしょう。

全く可哀想なことです。

~権利の前に義務などというルールは無い~

いずれにしても誰が何に参加しようとそれで忙しくなろうとそれは人それぞれ自由ですし、その事自体は今回のお題と関係ないのでとりあえず横に置いておきます。

今回のテーマで言及したいポイントは当然ながらこの発言の部分です。

「権利の主張だけではなく、まずは義務を果たさなければなりません」

記事内の文章から推察するに、この女性はこの場面では社会的に子供や家族をサポートしてもらうことを「権利」と呼び、PTAなどの集まりなどに参加して貢献することを「義務」と呼んでいるのだと思います。

しかしこう言う人は恐らく仕事も同じような考えでしているのでしょう。

誰がこんなくだらないことを言い出したのか知りませんが、なぜ多くの日本人がこの様なおかしな理屈を信じて疑わないのか理解できません。

労働者からすると「会社のために労働するのが義務」であり、その対価として「給料や有給休暇を得る権利」があります。

ここで言う「労働」とは契約書で定められた時間内(例えば9時から5時まで)に働くことです。

これさえきちんとやっていれば給料や有給をもらうのは当然のことです。

これを「決められた時間だけ会社にいれば給料をもらえると思うな」などと言う人がいるから話がおかしくなってくるのです。

「定時から定時まで決められた時間だけ働く」 → 「決められた給料をもらう」

で全く間違いありません。

一体このような主張をする人の「義務」とは何なのでしょうか?

きっと、「最低でも自分の給料以上稼げ」だとか「時間ではなく成果を見ろ」などと言うのでしょう。

しかしそのような規則などは殆どの会社の契約書には一切記載されていないでしょう。
(最近では一部の業種においては「裁量労働制」などという言葉がちらほら聞こえてきていますが・・・)

またこのようなあやふやな基準に合わせていると会社の思う壺です。

いずれにしても決められた時間だけ労働力を提供して契約通りの給料や有給がもらえないのならば契約違反です。

さらに言うと、「義務が先で権利が後」などという決まりごとなどありません。

例えば有給は入社して何ヶ月目から取っていいのでしょうか?

3ヶ月目からですか?

それとも1週間目からですか?

どれくらいの義務を果たせば権利を取得できるのでしょうか?

極端な話、特に契約書に書いていないのならば1週間目に取っても問題ないはずです。

例え権利が先で義務が後でも何のルールにも反していないわけです。

(追記:2017/6/17)
上記の文章に対して、「有給を入社1週目に取っても問題ないなんて、とんでもない。有給休暇は勤続6ヶ月で10日発生すると法律で決まっていて、それまでに休むと欠勤になってしまいます。現在の日本の法律では義務が先です」という反論を見かけました。

「労働基準法 第39条第2項」では以下のように書かれています。

使用者は、1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して6箇月を超えて継続勤務する日(以下「6箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数1年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる6箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。

この法律は、「6ヶ月以上働いた人に対しては有給をあげないとなりません」と会社に要求しているのであって、「6ヶ月未満で有給を取らせると違法です」などとは一言も言っていません。

労働者が6ヶ月未満の場合に有給を要求してきたら会社としてはこの法律を元に拒否することが出来るので、それでも無理に休むと言ったらこの方の言うとおり欠勤になるわけです。

逆に言うと、会社の判断で半年より前に社員に有給を与えても違法にはならないということです。
(追記終わり)

~権利ばかりを主張する企業こそ批判されるべき~

会社は労働者の時間をもらって労働力を提供してもらう「権利」があります。

その対価として給料を労働者に支払う「義務」があるわけです。

当然のことですよね?

では、サービス残業をさせているブラック企業はどうでしょうか?

ブラック企業は労働者から労働力をもらう「権利」ばかり主張し、それに見合った適正な給料や有給を与えるという「義務」を果たしたがりません。

「権利を主張する前に義務を果たせ」と言う人達はこのような悪徳企業こそ最初に批判するべきではないですか?

なぜ使われる側ばかりが「権利の主張の前に義務を果たさないとならない」などという理屈で縛られる必要があるのでしょうか?

しかも、大多数の日本の勤勉で真面目な労働者は胸を張って権利を主張しても良いだけの労働を提供しています。

百歩譲って、これをブラック企業などの悪徳経営者が労働者に言うのならまだ分かります。

日本の異常なところはこれを労働者が言って労働者同士足を引っ張り合っていることです。

前述の、この発言をしたお母さんはきっとこのような考えをさも「分別のある大人(社会人)の常識」であるかのように考えてそのように発言したのだと思います。

しかし「普通の主婦」にまでこのような「社畜思想」が植え付けられているのを見るとぞっとせざるを得ません。

このような人達は自分達の社畜思想や言動が他人のみならず自分を縛り付けて苦しめていることになど全く気付いてないでしょう。

こんな奴隷根性が染み付いた国民は世界広しといえど日本だけでしょう。

~何があなたの自由を奪っているのか?~

最後にもう一つ記事を紹介したいと思います。

「お母さんに優しい国」ランキング 日本32位、韓国にわずかに及ばず | ZUU online

妊娠中から支援体制は完璧 安心して子供を持てる環境ありの欧州

欧州が上位を独占したこの「世界の母親の状況(State of the World’s Mothers)」では、評価対象は「母子の健康(死亡率)」「教育」「経済(国民総所得)」「政治(女性議員数)」。上位10カ国はすべての項目で、お おむね高得点を獲得している。
政府や関係機関、社会が一丸となって、女性が妊娠中から仕事と子育てを両立しやすい環境作りに力を注いでおり、女性もその恩恵を最大限に活かしている様子がランキングに反映されている。

これを読めば日本がいかに欧米と比べて「子供がいる女性に対する支援」において遅れを取っているか分かると思います。

しかし政府や社会のサポート体制だけが日本の問題はではありません。

子育てをしている女性やその他の普通の日本人達の社畜的思想が自分達自身の自由を奪い、ひいていは子育てと仕事の両立を阻んでいることに気付くべきです。

自分を律するのは大切なことです。

しかし、「権利を果たす前に義務を果たしましょう」などと労働者自ら主張し仕事に励むなど、「自分に厳しく」というレベルを超えて「自虐」と言っても大げさではないでしょう。

このような社畜根性が染み付いた多くの日本人の思想自体を変えていかないと、いくら社会から恩恵を得られる環境になったとしてもそれを活かせるようになることはないでしょう。