島耕作の時代は終わった ~残業を評価する上司はむしろ会社に害

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今回書くのは以前見つけてコメントしたいと思っていたこの記事です。

『島耕作』作者・弘兼憲史氏「育児に熱心な男は出世しない」│NEWSポストセブン

日本も少しずつ変わってきた

この記事が出たのはもう結構前なのでネットを調べると既にたくさんの批判を見つけることができます。
私はこれらの批判を読んで「日本も変わってきたな」と嬉しく思っています。

一昔前だったらこの発言に対して批判するどころか「それが常識」だとする意見が主流でしたから。

私が日本のブラック企業で働いていた10年以上前はみんなサービス残業や休日出勤に不満を持っていたもののあまり声をあげることはしません(できまません)でした。

声を上げられなかった理由はたくさんありますが、そのうちのいくつかは以下のようなものだと思います。

  • 社会人は辛い思いをしながら働くのが常識であり、他の人も多かれ少なかれそうしているから仕方がないという考えが主流だった
  • たくさん働くことに不満を言うことは学生気分の抜けてないない甘えた人間だと思われていた
  • 批判する手段があまり無かった

1番目と2番目に関しては最近はこのような考えを否定的に見る人が結構増えてきたと思いますが、未だにこういった古い考えが染み付いて離れない人もまだまだたくさんいます。

しかし3番目に関してはネットが発達してサービス残業などの悪文化に不満を持つ人が簡単に声を発信できるようになり、それに賛同する人がさらにその声を広めることができるようになりました。

また、「ブラック企業」という言葉が生み出され、常識がないのは残業を否定する人間ではなくそれを強要する会社のほうだということが広く知れ渡るようになってきました。

今後ますますこの流れが加速して社員を酷使する違法企業が淘汰されていくことを願っています。

今の多くの若者は出世など望んでいない

「島耕作」は私も途中までですが読んだことがあります。

実は私はこの漫画は読み物としては結構面白くて好きです。
昭和な感じがするのも良いと思いますし、それに読んでいて飽きません。

しかしこういったバリバリ働くサラリーマンが出世するのに憧れる時代は終わったのです。

弘兼氏が上記の記事の中で主張する「育児に熱心な男は出世しない」という意見はそもそもズレているのです。

例え頑張って一流企業に入ったとしてもその企業が倒産する時代になりました。

そして社員が過労死するとそれまで正に身を削って会社に奉仕した人間を見苦しい言い訳をして逃れようとする会社がたくさんあることが世間にも広まり、会社に奉仕してそこで出世したいという考えが希薄になりつつあります。

また、「ワークライフバランス」や「イクメン」などの言葉が流行るようになり、仕事だけでなく家庭も大事にする人も増えてきました。

理由は他にもたくさんあるでしょうが、そういったことを背景に今の若い人たちは昔の人ほどは沢山働いて出世するということに興味がなくなり、適度に働いて適度な収入を得て人生を楽しむほうが良いと考えるようになってきました。

ですから「仕事をもっとしなければ出世しないぞ」などという文句は今となっては大して価値の無いものとなったのです。

無能な上司は会社にいらない

そして、弘兼氏の発言の中で特にネットで批判されているのは以下の部分でしょう。

「たとえば僕が上司の立場だとして、急遽、重要な案件が発生して緊急会議になるから残ってくれ、と部下に頼んだとします。その返答が「すみません、今日は子供の誕生日なので帰らせてください」だったとしたら、僕はその部下を仕事から外しますね。」

「たとえ子供の誕生日だとしても会社の重要案件となれば、給料をもらっている以上、やっぱり会社を優先すべきです。子供の誕生日、あるいは子供の運動会程度のことで会議をすっぽかすな、とは言いたい。」

正直に言いましょう。
私がその会社の社長だったらまずこんな上司がいたら降格して部下のいない平社員にします

まずは基本的には時間外で部下に仕事をさせるべきではありません。

残業をさせると残業代やら光熱費やらで当然会社の出費が増えますし、そもそも重要案件だろうとなんだろうと就業時間内できちんとすべての仕事を収めるようにスケジュールするのが上司の職務であり役割です。

そうでなければ何のために就業時間という契約があるのですか?

職務が果たせない(つまり部下に残業をさせなければ仕事が処理できない)というのは、その上司には部下とプロジェクトを管理して遂行する能力が欠けているという証拠にほかなりません。

まあ、それでもたまには回避できない緊急事態もあると思います。
「給料をもらっている以上」と言っているので残業代を出してでも処理をしないとならないほどの緊急事態なのでしょう。
残業代を払わないのは違法ですからここで言う「給料」というのは当然就業時間内の給料のことではないはずです。

もしフルに残業代を支払い、部下が完全に自分の意志で承諾した上で(つまり、会社や上司に強制されずに)働くのなら違法ではないですから良しとしましょう。

しかし、弘兼氏のこの発言の中にはさらに問題があります。

僕はその部下を仕事から外しますね。

の部分です。
部下の能力ではなく残業するかどうかで部下の評価を分けるような上司はやはり会社にはいりません。

このような人間はあらゆる場面で残業時間で部下を評価するからです。

そもそもこのように残業をする部下を重んじるような上司の元では雰囲気的に部下もそれに従わざるを得なくなります
そしてもし部下が過労死して会社が訴えられたらどうなるでしょうか?

過労死をした社員の遺族に訴えられたブラック企業がネットなどで散々叩かれてイメージダウンし売上もダウンして大変な目にあっているのは最近はよく聞く話です。

つまり、このような上司は会社にとって利益になるどころか害になる可能性が大いにあるということです。

また、残業代を出すと言ってもそれで残業するかどうかは部下が決める権利があります

就業時間外の話ですから当然です。

そして緊急会議と子供の誕生日のどちらが重要と考えるかはその人それぞれです。

「仕事のほうが重要だ」と思う人はそれで結構ですが、それが正しいと思い人に押し付けるのはただのエゴです。

いろいろな価値観がありますからそれを尊重しないとなりませんし、ましてや強制などは絶対にしてはいけません

いずれにしても、もう今の社会においては「島耕作」の働き方は合いません。
漫画内だけの「古き良き時代のお話」といういだけに留めて楽しんで読めばいいと思います。

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かわずん
かわずん
アンチ・ブラック企業ブロガー

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