オーストラリア就職活動記~100社応募して採用1社の結果得たモノ(後編)


前半ではオーストラリアに来て初めて就職した会社を5年でリストラされ、就職活動を始めたところまで書きました。

後半では私が現在働いている会社に採用されるまでと、就職活動自体について、そして活動を終えての感想について話をしていきたいと思います。

落ち続けてうつ状態に

就職活動中は、応募した会社やそれぞれの会社に提出した履歴書やカバーレターなどの内容はほぼ全てパソコンに記録していました。

そうすることで面接などの連絡が来たらすぐにその会社のことや、会社が求めているポジションの詳細を調べて対策を取ることが出来ます。

その記録によると、最終的に履歴書などを送って応募したのは97社でした。

この他に知り合いに頼んで履歴書を渡してもらった会社もいくつかあるので、応募総数は100社を超えています。

そしてその中から電話やメールで何かしらの連絡が来たのが28社、さらにそこから実際に面接に進んだのは11社で、最終的に採用されたのが現在働いている会社1社だけでした。

活動期間中は来る日も来る日も、

「今日はどこかの会社から連絡が来るかな?」

「もう早く終わってほしい…いつ終わるんだろう?」

「このままどこにも採用されなかったらどうしよう?」

などと考えていました。

「いつ電話が来ても対応できるように」と構えているのはとてもストレスなものです。

何度か、電車に乗っていたり騒々しいところにいた時に電話がかかってきて焦ったことがあります。

もちろんそういうときは「今話せないので後からかけてもらえますか?」とお願いすれば良いだけなのですが、やはり外にいるときなどは「今は電話がかかってきませんように」という気持ちになります。

しかもエージェントの場合は忙しいですし、他にもたくさん応募者がいるのでもう電話してきてくれないかもしれません。

そしてどの国で就職活動しているかに関わらずこれだけ応募して落ち続けると段々、「自分はこの社会に必要とされてない人間なのではないか?」という鬱のような状態になってくるものです。

そういう時に相談に乗ってくれたり励ましてくれたりしたのは妻や親しい知り合いなどでした。

落ち込んでずっと家に居たりすると「カフェにランチでも食べに行こう」と誘ってくれたり、履歴書をチェックしてくれたり、人員を募集している会社があったら教えてくれたり。

「困ったときの友は真の友」という言葉もあるように、そうやって親身になってくれる人がいるということが本当にありがたく感じました。

海外に限らず、就職活動中は周りの人の支えはとても大切なものだと思います。

オーストラリアの面接では楽なこともある

さて、書類選考に通ると、人材紹介会社(エージェント)や応募した会社から連絡が来ます。

たまにメールで連絡が来ることもありますが、ほぼ電話をかけてきます。

エージェントの場合はそこでさらに詳しいことを聞いてきます。

その後、エージェントは電話をした人の中からさらに候補を数人に絞り、そこでリストに残ったら改めて連絡してきて相手先の会社との面接を設定してくれます。

エージェントによっては相手先の会社の面接の前に彼らのオフィスに行って直接そのエージェントと話す場合もあります。

そこでは会社の詳細や、面接や試験の対策について色々と教えてくれたりします。

エージェントではなく、会社に直接応募した場合も、電話で連絡してきたその場で電話面接が始まる場合もありますし、人事がかけてきて電話で面接の日程だけを決めて、その後面接で担当者と詳しい話をすることになる場合もあります。

面接は1対1か、複数の面接官と応募者一人というスタイルです。

応募者側が複数のことはありませんでした。

こちらでは日本のようなグループ面接というのは聞いたことがありません。

ところでネットには、実際の面接に行った時は最初の挨拶は”Mr”を付けて相手のファミリーネームで挨拶するようにと書いてあった(多分アメリカのサイトです)ので私も最初の頃そうしていましたが、大らかな文化のオーストラリアでは最初から普通にファーストネームで”Hi John. Nice to see you”というような感じで握手するだけで十分でした。

日本では(特に新卒採用時の面接の場合は) 頭のてっぺんからつま先まで全てマニュアル化された挙動でないとならないというような雰囲気ですね。

例えば、面接室に入る時はドアを3回ノックして「お入りください」と言われたら少しドアを開けて「失礼いたします」と言い、入室したら面接官に背後をあまり見せないようにしてドアを静かに閉めるとか。

座る時は手は足の上に載せておくとか。

中には礼をする時の角度まで指南している本やサイトもあります。

覚えなければならないことが多くて疲れることです。

日本で新卒で就職活動している人には心から同情します。

少なくともオーストラリアではそこまで面倒なことはしなくて良いのが救いです。

よほどマナーが悪いとかでない限り、そこで減点されるということはまずないでしょう。

そんな事などよりもより大事なのは、あなたが持っている知識と経験とスキルがどれだけその会社が欲している人物にマッチしているかです。

面接とか試験とか

そして当然ながら、もう一つ大事なのが実際の面接でどれだけうまく相手の質問に答えられるかです。

アメリカの面接ではものすごく強気に自分を売り込むという話を聞いたことがありますが、オーストラリアではそのようなことはせず冷静に事実を述べていくといった感じで、必要以上に自分を大きく見せたりすることはあまりしません。

最初に聞かれる基本的な質問はどこの会社でも似たり寄ったりです。

私はネットで検索して、面接でよく質問されることを調べ、それぞれに対する自分なりの返答を考えて書いておき、スムーズに答えられるようになるくらい何度も家で反復しました。

日本語での面接ならばそこまでやる必要はないでしょうし、もっと自然で臨機応変にできると思いますが、英語の場合はやはりある程度決まった質問に対してどういう答え方をするかを決めておくとその後の質問に対しても落ち着いて受け答えができます。

そしてこれは容易に想像がつくと思いますが、ただでさえ面接という緊張する場面において、面接官から質問をされて答えをその場で考えつつ英語で言うのは慣れてくるまでは結構大変です。

なので、予め準備ができることはやっておくに越したことはありません。

ちなみに、よく聞かれる基本的な質問として私が用意していたのは以下のようなものです。

  • あなたのことを簡単に紹介してください
  • 前職であなたがやっていた仕事内容について説明してください
  • このポジションや会社に対して何か希望することはありますか?
  • あなたがこの会社に貢献できることはどんなことだと思いますか?
  • あなたの長所は何ですか?
  • あなたの短所は何ですか?
  • 前職で一番楽しかったことは何ですか?
  • 5年後にはどのような仕事をしていたいと思いますか?

ちなみに、最初の自己紹介は当然のことながら「私の名前は○○です。趣味は~」などというものではなく、どんなキャリアを積んできたか、どんなスキルを身に着けてきたかなどを簡単に数分で述べる感じです。

これらのような一般的な質問の後に会社ごとに違う質問をされることが多かったです。

例えば、私が実際に受けた質問で今思い出せるものでは、

「トラブルが起こってどうしても解決できそうにない状況になったらどうしますか?」

とか、

「この会社は世界中で働いているスタッフとコミュニケーションを取りながら仕事をする必要がありますが、円滑に仕事をこなすためにどのようなIT技術を活かせると思いますか?」

というものがありました。

中にはいきなりコンピューター言語を紙に書いてきて、「ここでこういう動きをさせるためにはどうしますか?」などと聞かれたこともありました。

これらの質問は前述のような基本的な質問とは違って何を聞かれるかはその場になってみないと分かりませので、準備もできません。

こればかりは自分の経験と知識が頼りですが、いずれにしても落ち着いて臨機応変に質問に答えられるようになるまである程度の面接の経験が必要になってくると思います。

その後は会社自体やポジションや部署についての説明などを面接官がしてくれて、それに対する質問などをすることになります。

日本と同じく、応募者からの質問は何かしらしたほうが良いでしょう。

いくつかの会社ではソフトウェア開発者としての能力を見るために、面接後に筆記やパソコンを使っての試験がありました。

正直に言うと私は試験が大の苦手です。

オーストラリアの大学に通っているときも課題ではほとんどが高得点だったのですが、試験で足を引っ張ってしまい、総合成績では大した点を取れないことが多かったです。

そういうわけで、情けないことですが、試験がある会社はことごとく落ちました

大学の試験では範囲が決まっているのでまだ対策を立てることもできますが、会社ではそれぞれの会社が独自に試験を作っているので対策のしようもありません。

私が応募したうちの一つの会社は二次面接まで通り、人材紹介会社のエージェントの人曰く、そこまで通ったのは私だけで、面接官の評価も非常に高かったらしいので、「あとは試験がうまくいけば採用になるでしょう」と言われたのですが・・・やはり試験で落ちてしまいました笑

ちなみに、日本のような「適性試験」などというものはこちらにはありません

全てはタイミング

私が現在働いている会社(つまり、採用してくれた会社)は私が応募した95社目の会社でした。

この頃になると、「もう自分を採用してくれる会社はオーストラリアには無いのではないか」と思い始めていて、独立してフリーランサーになるか、思い切って違う職業をすることにして改めて学校に行って資格を取ろうかと考え出していました。

そんなわけで、その会社から電話で面接の連絡があった時も全く期待していませんでしたし、「そんな名前の会社に応募してたっけ?」「あれ、募集要項を失くしてる」という感じでした。

慌てて募集要項を送ってもらい、どんな経験やスキルが求められているのかと、会社自体について調べました。

ちなみに後から知ったのですが、その会社はオーストラリア人であれば殆どの人が知っている会社でしたが、私はそれまで全く聞いたこともありませんでした(笑)

今までずっと落ち続けていて、落ちるのが当然のようになっていたのでこの時も、「きっとまた落ちるだろうけど、せっかくだから行ってくるよ」と妻に言い、学校への入学もほぼ心のなかで決めていたこともあり、かなり気楽な感じで面接に向かいました。

面接では他の会社と同じようなことを聞かれ、いつもと同じような感じで終わりました。

自分の感触としては「可もなく不可もなく」といった感じで、いつもと同じでした。

そしてそれから暫くして、その会社の面接のことも忘れ(こちらでは不採用の場合は通知が来ない会社も多いので、暫く通知が来ないイコール不合格ということです)、就職は諦めて学校探しを始めていた頃に突然その会社から電話が来て、「あなたを採用したいのですが、今もまだうちに入社する意思はありますか?」と聞かれました。

もう、自分の耳を疑いました

こんなに落ち続けて、諦めて応募するのもやめた時になって採用通知が来るなんて本当に奇跡です。

全く予想もしていなかった電話で、慌ててしまってよく覚えていませんが、「本当に?ありがとう!はい、まだそちらで働きたいと思っています!」というような感じで答えた気がします。

後から上司が教えてくれたところによると、応募者の中で私がダントツで会社が求めている経験とスキルにマッチしていて、面接もとても印象が良かったらしいです。

自分的には特にうまくできたとも思わない面接でしたが、それまでの面接の経験と、「きっと無理だろうけど、とりあえず行ってくるか」といった感じでいい具合に力が抜けていたのが良かったのかもしれません。

それまでの落ち続けた経験が無ければこの会社で採用になっていなかったのではないかと思います。

就活を終えて思うこと

結局、私の最初の会社のときのように「バイトで始めてそこで正社員として採用される」というよな、何かしらのコネで入社するのが一番楽だと思います。

もちろん、これが成立するためには、会社がちょうど正社員を採用したいと思っていて、自分がそこで正社員として働きたいと思っていることが必要で、運次第ではあるのですが、バイト期間を通してお互いのことをよく分かっているということはとても有利です。

会社としても他の人を採用する場合と比べて時間やお金の節約になりますし、知らない人を採用してみたらミスマッチだったという可能性も防げます。

まあ、コネというものは作ろうと思っても思うように上手く作れなかったりすることも度々あるわけですが…

ところで、私が就職活動で苦労した原因はやはり言葉の問題が大きかったのではないかと思います。

それぞれの面接ではそれなりに受け答えができたと思っていますが、それでも話がうまい英語のネイティブスピーカーにはとても太刀打ちできません

技術的な能力が同じで、人物的な面でも特に優劣が見られない場合はやはり英語がネイティブな人のほうが採用されるでしょう。

これについては私がもし面接官だったとしてもそうするでしょうから、仕方のないことだと思います。

私が就職活動を始めてから最終的に今の会社に採用されるまで結局10ヶ月もかかったわけですが、今の会社で働いていて思うことは「他の会社ではなく、この会社に決まって本当に良かった」ということです。

更に言うならば、今だから思えることですが、「前の会社をリストラされて良かった」とも思います。

なぜなら、前の会社はその後さらにリストラを進め、どんどん活気が無くなっていっているようだからです。

そうなると当然会社の雰囲気だって良いはずがありません。

そして労働条件的に見てもほぼ全ての面で現在の会社のほうが良いと思います。

さらに、今の会社での仕事は「こういうポジションでこういう仕事がいいな」と思っていた私の希望にほぼ一致しています。

前の会社のときのように日本の会社や日本人と関わらなければならないことも一切ありません。

私が活動中に応募した他の会社のポジションは、「能力的にできそうだから」という理由で応募しただけで、必ずしも私が心からやりたいと思っていた仕事ではないものもたくさんありました。

もっと早い段階でどこか他の会社に採用されていたら当然、今の会社には出会わなかったわけです。

言ってみればこの会社に出会えたのは10ヶ月も落ち続けたおかげです。

就職活動中は本当に大変で落ち込むことも多々ありましたが、今になって強く思うことは「人間万事塞翁が馬」ということです。

つまり、一見、悪いことのように思える出来事でもそれは良いことに繋がっている可能性も大いにあるということです。

今就職活動をしている人、あるいはこれから活動をする人で今後もし辛いと思うことがあった時にはこの諺を思い出してください。

以上が私のオーストラリアでの就職活動に纏わる話です。

この私の経験が少しでも今後オーストラリアやその他の国で就職活動をする人の参考になれば幸いです。

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