最近、「ボロ雑巾になって捨てられる社畜たち」という少し興味を惹かれる題名の記事を見つけたので紹介したいと思います。
記事の中では、「通勤電車で胸が締め付けられる」とか「うつ病でも休職させてくれない」など、長時間労働やパワハラで苦しめられている人達の実例が紹介されています。
また仕事に関する自殺がいかに日本で多く、それがいかに世界の中で異常かを指摘しています。
ボロ雑巾になって捨てられる社畜たち – Yahoo!ニュース
国内の自殺者数はここ数年減少傾向にあるが、政府が毎年発表している「自殺対策白書」によると2013年の10代後半、20代、30代の死因の1位は自殺だ。中でも20代前半では死因の5割以上が自殺だ。
白書によると、20~30代は、全年齢と比べて、就職の失敗や仕事の疲れやミス、職場の人間関係など「勤務問題」による自殺の比率が高い傾向にある。15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみで、異様な状況だ。
個人的にはこの記事の内容には全体的に賛成ですし、このように仕事で苦しむ人達が出ないような社会になって欲しいと思います。
しかしこの記事のコメント欄を見ると、賛否両論あるようです。
否定派の意見を見ると
「会社で働くのが嫌なら辞めて起業すればいい」
「起業して自分で経営していくことのほうがずっと大変なのだから甘ったれたことを言うな」
「文句を言っている奴は自分の給料以上会社に利益をもたらしているのか自問しろ」
といったものがあります。
このような意見は今までにも嫌というほどたくさん見てきましたが、いつまで経ってもこのような非情な事を言う人が絶えないものですね。
嫌なら辞めて起業しろ
これを言うのは大概経営者として働いている人のようです。
「自分は会社員として働いていた時も長時間労働で頑張ってきた」
「そして今は起業して頑張っている」
「起業するほうが会社に使われるよりももっと大変なのだから一度やってみろ」
個人的にはこのようなことを言う人達は、
「自分の会社を持って経営して頑張っている自分を見てくれ」
「自分はたくさん働いている。すごいだろ」
「こんな自分を見習え」
という痛いアピールをする残念な人間に思えて仕方ありません。
または実際に彼らの会社で社員に長時間労働をさせていて、それをネット上で必死に正当化しようとしているかです。
確かに、「会社経営はサラリーマンよりも大変」という事自体はある意味では間違っていないと思います。
自分で会社を興すとなると会社で働くのと比べると遥かに多くのことをしたり考えたりしないとなりませんし、悩みもたくさん出てきます。
また会社が小さいうちは自分が仕事を休んだら収入が無くなり生活ができなくなりますから必死にやらざるを得なくなります。
しかし、残念ですがこの場でのこのような「自分はすごいんだ」アピールをしている人達の意見は全く的外れなことに気付くべきです。
この記事に出てくる人達はみんな「違法な長時間労働」に苦しめられていてそれを問題としているのであって、「会社で働く事自体が嫌だ」などと言っている人は一人もいないのです。
それどころか彼らは頑張って頑張って命を削るような思いをしながら働いているのです。
元はと言えば、会社が法律に則ってきちんと労働時間を守り、休暇も出してさえいればこのような問題など出てこないわけです、
どう考えても悪いのは違法な長時間労働をさせている会社側です。
それを棚に上げて「サラリーマンなど起業することと比べたら楽なのだから甘えたことを言うな」というのはただの話の挿げ替えであり、議論にもなりません。
自分は今まで長時間労働をやってきた
中には仕事が楽しくて仕方がない人もいるでしょう。
自分が心から喜んでやるのならまあ良いと言いたいところですが・・・
本人が望んでいようがいまいが違法なのは事実です。
しかも、こういう人間が増えるとブラック企業が調子に乗って「彼は率先して残業をしているのになぜお前はできないのか」と言われる人が増えるのは目に見えています。
つまり、普通に仕事をして普通に帰りたい人にとってはこういった違法行為を率先してやる人間は迷惑以外の何物でもないのです。
熱心に仕事するのはいいことですが、あくまでも就業時間内でお願いしたいところです。
それ以上やると「俺は仕事が好きなんだから個人の自由だろ」では済まなくなります。
ちなみに、上記のYahoo!ニュース内でも以下のように指摘されています。
「日本では仕事に関して、『仕事はすべてに優先する』『期待される以上のことをやるのが当たり前』などと考えられていますが、日本の外では、労働は生活を 豊かにする手段にすぎず、自分の賃金以上の労働はしないのが一般的です。正当な対価をもらわない『サービス残業』は賃金体系を崩壊させるものとして批判されます」
全くその通りです。
低賃金で働いたりサービス残業などをする人がいれば企業はそういう人を積極的に採用したほうが良いと思うでしょうし、法律に則った正当な賃金を要求する人など雇いたくなくなるでしょう。
今の日本は正当な賃金を要求しようと声を上げることも「空気が読めない」と批判される社会です。
だから「仕事が好きなのだから自分の勝手だろ」とサービス残業をして会社に奉仕する人間は本当に迷惑であり社会にとって有害なのです。
また当然のことですが自分が仕事が楽しくて会社に尽くしている社畜だからと言って他の人もそうしなければならないという義務は全くありません。
自分の給料以上に会社に利益をもたらしているのか?
この世の中には多くの職種がありますし、「自分がどれだけ稼いだか」など明確に分からないもののほうが多いくらいでしょう。
例えば人事や総務やソフトウェア開発のテスターや社内インフラの管理の仕事の人達はどうでしょうか?
それらの仕事をしたことによっていくら会社に利益をもたらしたのかはっきりした数値を出せますか?
出せませんよね?
しかし、もし上記のようなことを強く言われたら多くの人は「自分は本当に会社に十分な利益をもたらしているのか?」と不安になり、反論も満足にできないでしょう。
気をつけて下さい。
このようなセリフはブラック会社の経営者があの手この手で労働者を脅迫して働かせる道具の一つです。
このような会社では例え言われた通りに自分の給料以上に成果を明確に上げたとしてもまた別の屁理屈をこねていつまで経っても「権利」を得られることがないのは目に見えています。
それではもし誰が見ても本当に給料以下の働きしかしていない労働者がいたらどう対処するべきなのでしょうか?
もし会社が本当にそう判断したのならその労働者はクビにするのが自然でしょう。
「必要なくなれば切る」 - いわゆる欧米型のシステムです。
この欧米型のシステムを指して、「欧米などでは稼げない社員はすぐにクビになるのだからそれと比べれば雇ってもらっているだけマシなのだからありがたく思え」などと言う人もいます。
これもまたとんでもない暴言です。
こんな言い訳がブラック企業の長時間労働の強制の理由になるくらいならば日本も欧米と同じようにすぐに首を切れるようにするべきです。
*もしこの意見に興味があったら私の以前の記事(解雇されにくい日本の正社員と即日解雇のオーストラリアどっちがいい?)を読んでみてください。
そもそも日本の企業などは社員が不要になれば「追い出し部屋」に代表されるようなあの手この手のパワハラを駆使してその社員をクビにするのですから、これは長時間労働を強いるための脅迫でしかありません。
「辛くても雇ってもらっているだけ幸せだろう」などと言われてそれを真に受けて人生を捧げたところで、必要がなくなったらさっさと捨てられるのですから、その結末はまさに同記事の題名通り「ボロ雑巾になって捨てられる社畜たち」です。
労働者を「捨て駒」程度にしか考えていない会社に対して忠誠を尽くす意義など一寸もありません。
逃げるが勝ち
私が本当にがっかりするのは仕事によって自殺する人がこれだけ多いのだということを書いた記事に対して上記で紹介したような発言ができる人がたくさんいることです。
例えば起業を勧めるにしても「大変だけれど自分の会社だから気持ちも違うし、面白いと感じるかもしれないから何かやりたいことがあったら試しに起業してみたら?」という前向きな発言でもすればいいのに、「起業すのは会社勤めよりももっと大変なのだから残業くらいで甘いことを言うな」と見当違いなことを主張したりする人間。
他人の死の話を読んで、「こんなことで苦しんで死ぬ人が少なくなって欲しい」と思うのではなく、自分の経営方針を必死になって正当化することにしか興味が無い人間。
こういう人達の心は本当に荒んでいると思います。
上記のYahoo!ニュースの記事では最後に、「心身壊れる前に逃げることが大事」と締めくくっています。
私もこの意見に大賛成です。
辛いことを我慢しても何の賞品もありません。
辛くなったら社畜やブラック企業の経営者の言うことなど真に受けずさっさと逃げるべきです。
人生、命と健康があっての物種です。
彼らの言うとおりに我慢して仕事をしたところであなたの人生が幸せになることはまずないでしょうし、働き過ぎて過労死をしても誰も責任を取ってくれないのですから。
ところで上記で少し指摘した、「欧米だったらすぐにクビになるのだから雇ってもらえるだけありがたく思え」という意見の根拠になっているのは日本の「解雇規制」です。
日本の会社はこの規制のせいで簡単には社員を解雇できません。
これっていいことだと思いますか?
「法律に守られていて良かった」と思うのなら以下の記事を読んでください。
>>【どっちがいい?】「解雇が難しい日本の正社員」と「すぐクビの海外」
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