突然ですが、今まで7年半勤めたオーストラリアの会社を退職しました。
これからは脱サラ人生です。
私の会社がどれだけホワイトだったか?
今までの私のブログの記事を読んでくださっている方は知っていると思いますが、この会社は超ホワイト企業でした。
私が知る限り、一部の日系、中国系飲食店を除いてオーストラリアには日本のようなブラック企業はほとんど無く、恐らくほとんどの会社が日本の基準で言えばホワイト企業になると思います。
私が勤めていた会社はその中でもホワイトだったと思います。
まずはいかにこの会社がホワイトだったかを簡単に紹介しましょう。
- 昼休み1時間込みで8時間勤務。つまり実働7時間。
- 嘘偽りなしの完全週休二日。
- 寝坊して30分位遅刻しても問題なし。
- 30分遅刻しても定時きっかりで仕事を上がる。会社も上司も仕事をきちんとこなしている限り、そのような細かいことは一切気にしない。
- 残業や休日の労働があった場合は必ず給料か代休で支払われる。
- 有給休暇年20日で使わなかったものは無制限に翌年に繰越しされる。
- 有給を申請して拒否されたことは一度も無し。
- 社員は有給消化率100%。退職時に消化されてない有給時間は全て一括でお金で支払われる(これはオーストラリアの法律で決められています)。
- 病欠休は年20日与えられ、未使用のものは無制限に翌年に繰越しされる。
- 病欠休は家族が病気になった場合の看病や、定期的な医者の診察などにも適用される。
- 家族と自分の幸せが第一。「自分が幸せでなければ良い仕事が出来るはずがない。だから必要であればいつでも家族のために仕事を休みなさい」と言い聞かせられる。
- 父親の育児休暇は6週間。もちろんフルで取れる。
挙げ出したらキリがないので、このへんにしておきます。
こんな企業、日本ではきっと数えるほどしか無いでしょう。
自分の好きな仕事をする
それではなぜ私がこんな素晴らしい会社を辞めることにしたのかを話していきましょう。
まず大きな理由の一つは、仕事においても仕事以外においても、「本当にやりたいと思う事」が見つかったということです。
私が日本で新卒で入った会社はブラック企業で本当に大変な思いをしました。
日本人は、「仕事が大変なのは当たり前」「社会人は厳しいもの」「給料は我慢料」などと言ってブラック企業の違法な労働環境でも我慢して働いている人がたくさんいますが、私は全くそうは思いませんでした。
そこで目標としたのが、「仕事がストレスにならないようにしたい」「楽にほどほど稼ぎたい」「仕事が定時で終わって自分の自由な時間を楽しみたい」ということです。
私にとってその回答が「ブラック企業、ブラック社会の日本から脱出してオーストラリアで働くこと」でした。
そしてこの目標は私が今まで勤めてきたオーストラリアの2つの会社で完全に実現できました。
今まではそれで十分満足していましたし、仕事自体も楽しいと感じていました。
海外の英語環境の仕事場で自分のスキルが認められ、正社員として素晴らしい待遇で採用され、そしてこれまで12年もの間オーストラリアの現地の会社で働きました。
その間、どちらの会社からもとても良い評価を受けて働いてきたことにも大きな誇りを感じていますし、「自分は海外でも通用する」という自信にもつながりました。
今までの私は「今のこの会社でほどほどに働きながら、このまま定年まで行けたら楽な人生だな」と思っていました。
しかし恐らく1年くらい前から、自分の考えが変わってきていることに気付き始めました。
私が書いた記事(あなたがやりたいことや夢を親が反対したり周りが批判する?そんな人への一言)の中でも言ってきましたが、人は好きなことをやって生きていくべきというのが私の意見です。
ソフトウェア開発者になることは私の希望でしたし、それも実現しました。
しかし、昔は好きで楽しくてやっていたものの、いつの時点からか「好きだからやっている」から「生活のために仕方がなくやっている」に変化していることに気付きました。
どこかの本に書かれていたのですが、好きでやっている仕事というのは、朝から晩までそのことを考えていても苦にならないような、やっていて心から楽しいと思える仕事です。
多くの人は、「それができるから生活のためにその仕事をしている」だけであり、「好きだからやっている」わけではないと思います。
ただ、今の仕事が本当に興味のあることではないということに気付いても、その代わりに自分が何を本当にやりたいのかが見つかりませんでした。
今はそれがついに見つかり、それに向けた計画を考えたり、リサーチをしています。
今後、実際にビジネスをやり始めた段階でもしかしたら、「やっぱり違うかも」と感じることもあるかもしれません。
でも、今はビジネスや将来のことを考えているだけでとても楽しいですし、「ダメな時はまた別の道を考えればいい」と思っています。
私の記事(レールから外れることを怖れる日本人と、何度でもやり直すオーストラリア人)でも指摘したように、オーストラリア人はやりたいと思えば人生の道を何度も変更します。
私がこのように考えられるようになったのは、きっとオーストラリアに住む間にオーストラリア人のやり方に強く影響を受けるようになった結果だと思います。
とにかく一歩を踏み出さないと何も変わっていきません。
今回の退職はオーストラリア移住に匹敵するような、大きな変化のステップの一歩なのです。
人生の中で誰が一番大切か
もう一つは私がここ数年、会社勤めの人生自体に、「この生活をしていて本当に自分や家族は幸せなのだろうか?」と疑問を持ち始めていたことです。
私にとって一番大切なのは自分の家族です。
つまり、妻と子供、そしてお互いの両親などです。
二番目に大切なのは親しい友人。
三番目は普通の友達や同僚などを含めた知り合いです。
私は会社で親しい同僚もたくさんいましたが結局はそのほとんどが、「同じ会社で仕事をするために集まった」という繋がりに過ぎません。
「彼らと一緒に仕事をしたい」と自分でその人たちを選んだわけではなく、同じ会社で同じ時期にいて会社の命令で一緒に働いていたというだけです。
私の場合、会社で仕事をするために毎日通勤に往復で約2時間、オフィスで8時間過ごし、それだけで10時間もの時間を使っていました。
8時間を睡眠に使うとすると一日の残りは6時間しかありません。
もし自分一人で過ごす時間も欲しいとなると、一日のうち家族と過ごせる時間は5時間以下になってしまいます。
日本のブラック企業のお父さん達は奥さんや子供と会う時間などほとんど無いでしょうし、本人もその家族もそれが「男の役割」などと考えているかもしれません。
なので、5時間も家族との時間があったら多すぎると思うかもしれません。
でも、上で述べた通り、私にとって人生で一番大切な人たちは家族です。
会社の上司や同僚、客などは退職してしまったらほとんど付き合いが無くなります。
仕事で繋がっていただけの関係ですから当然のことです。
「仕事の切れ目が縁の切れ目」です。
体を壊すほど仕事に打ち込み、「それが家族や自分自身のため」だと思ってやってきた人たちは、定年退職をするとやることが無くなり、家族にも邪魔扱いされ、同僚や上司のようなそれまで親しく付き合ってきた人との繋がりもなくなり、一人寂しく老後の時間を過ごすことになります。
そういうことにならないように、もっと若い頃から家族と良い関係を築いていくことはとても大切なことです。
こうやって考えると、人生の中で家族と過ごす時間がここまでに少ないのは何かおかしいと思うのです。
多くの人が会社に勤め、そこで何十万時間という、二度と戻らない人生の貴重な時間を使い、みんなそれが「当たり前」「仕方がないこと」だと思って生きているとしたら、この社会の仕組み自体がおかしいのではないかと思うのです。
会社勤めで無駄になる時間
もう一つ「時間」の話になりますが、会社のような組織においては人が集まれば集まるほど無駄になる時間も多くなります。
例えば私はそれほど重要でもない会議に出席しなければならず、その時間を無為に過ごしたことは多くあります。
その会議の時間をもっと重要で急ぎの仕事に使えていたらどれだけ時間を有効に使えていただろうと思います。
でも、会議に参加することが会社の要求なので参加せざるを得ません。
それから、仕事がそれほど忙しくない日でも同じ時間に起きて同じ時間に電車に乗って出勤しなければなりません。
さすがにオーストラリアでも、「今日は仕事があまり無いのでオフィスに行きません」と言うわけにはいきません(有休を取るのであればもちろんOKですが)。
そしてそういうときはオフィスで暇な時間を過ごすわけです。
もしそうやって消費してしまっている無為な時間を自分の好きなように使えたのならばもっと有意義なことができたはずです。
しかし、会社から給料を貰っている以上、就業時間中はオフィスにいなければならないのは仕方のないことです。
私はこの、「会社に勤めているから時間を無駄にするのも仕方がない」ということが段々と嫌になってきたのです。
これからの計画
まず、一年後に自分のビジネスを始める予定です。
そのビジネスが具体的に何なのかはその時が来たらまた書きたいと思います。
そして、これからの一年間は仕事から離れ、できる限り家族ともっと多くの時間を過ごすことに費やすと決めました。
主夫、ニートなど、好きなように呼んでください(笑)
私の子供は今4歳と2歳です。
子供の成長は早いですし、きっとどの時期もとても大切だと思います。
しかし、その大切な時間の中でもこの時期は特に重要なのではないかと思います。
なぜなら、小学校に上がると自然と親と一緒に居る時間も少なくなってくるからです。
この時期のこの時間は過ぎてしまったら二度と戻ってきませんし、後になって今の年齢の子供たちともっと一緒に過ごそうと思ってもできません。
子供の年齢を考えると、私がこのタイミングで退職を決意したこと、そして一年間も家族との時間に充てられることをとても幸運に思っています。
人生の中で、新しい何かを得るために今ある何かを諦める必要が出てくることは多々あります。
私もこの決断をするまでに本当にたくさんの時間考えましたし、悩みもしました。
妻ともたくさん話し合いをしました。
そして、退職する決断をして会社に意思を伝える伝える時は、「こんな素晴らしい会社を辞めてしまって本当に良いのか?後悔しないか?」とものすごく迷いました。
私が諦めた超ホワイト企業での仕事は私にとってとても大きいものです。
私の以前の記事(オーストラリア就職活動記~「100社応募して採用1社」の結果得たモノ)で書いた通り、この7年間勤めた会社で仕事を得るまでには相当な時間と労力を費やしましたし、精神的なストレスも相当ありました。
でも、退職した今はとてもスッキリした気分で後悔もありません。
サラリーマン生活の代わりに私が得る新しい人生の道はきっと素晴らしいものであると私は信じて疑いません。
私が日本で新卒でブラック企業に入社してからオーストラリアへの永住権を取るまでの話は以下の記事で読めます。
>>ブラック企業入社からオーストラリアに移住するまでの記録~ブラック企業入社