仕事中にノンアルコールビールは是か非か?

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ノンアルコールビールというものが発売されてもう結構経ちます。

オーストラリアでは少数の日本食レストランで日本から輸入したものを置いているのを時々見かけますが、その存在を知らないオーストラリア人がほとんどだと思います。

私も興味半分で友達が買ったものを少し飲ませてもらったことがあります。

美味しいかどうかはともかく、「どうしてもビールを飲みたいけど飲めない」という場面で飲む人もいると思います。

そして現在、このようなビールが出てくるまでは想像もしなかった議論が起きています。

仕事中にノンアルコールビールを飲むのが「甘チャン」?

その議論とは、「仕事中にノンアルコールビールを飲むのはありか?」というものです。

ビールと言っても「ノンアルコールならばジュースと同じ」だと思っていた私には最初何が問題なのか全く分かりませんでした。

そこでネットで検索するとたくさんの意見を見ることが出来ました。

例えば以下のページでも様々な意見が見られます。

 職場でノンアルコールビール : キャリア・職場 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

賛成の人は概ね私のように「見た目はお酒でも実際にはアルコールではないし、それならばジュースと同じだからいいのではないか」という意見です。

反対の意見の人は例えば以下のようなものです。

トピ主様は、仮に大きな商談をしている相手側の担当者が昼間から「ノンアルコールビール」を飲んでいたとして、何も思わないのでしょうか?
もちろん「何とも思わない人間」も当然いるでしょうが、中にはそういう行為(勤務時間中にノンアルコールビールを飲むこと)に対して常識を疑ったり、不快感を持ったり、信頼しなくなる人がいます。そういう人も決して少なくは無いということです。

それを承知で、それでも勤務時間中にそういったものを飲む人間というのは、何ひとつ厳しさが分かっていない甘チャンですよ。社会人として失格だと思います。

このことは「倫理的な意味での良い・悪い」ではなく、「悪く思われることもある」という現実に対して、自身の言動に対するリスク評価(管理)が出来ないことが問題なのです。
だから平然と「ノンアルコールなんだから、飲んでナニが悪い」と言うヤツは、何にも分かっちゃいないということです。

出ました。

「社会は厳しいもの」
「社会人として~」
「自己管理ができてない」
「甘い」

もう色んな場面で耳にタコが出来るほど聞いてきたセリフです。

「何も分かっちゃいない」のは日本の「社会はキビシイのが当然」という常識にどっぷり浸かって何の疑問も持たず何の主体性もなく「多数に従っているだけ」の人のほうでしょう。

日本では他人の言動に対して重箱の隅をつつくような批判をする人(特にネット上では)が嫌というほどたくさんいます。
このノンアルコールビールの件に対して「常識がない」とか色々と言う人にしてもそうです。

はっきり言います。

誰かが仕事中にがお酒を少し飲んだくらいでネチネチと批判をする社会のほうがよほどおかしいのです。

本質は何なのかをきちんと見極めるべき

ここで一旦、ノンアルコールではない本当のお酒の話になりますが、オーストラリアではランチタイムにレストランやカフェでワインなどを飲んでいる人はたくさんいます。

スーツを着ている人もたくさんいるので仕事中であることは一目瞭然です。

しかし誰もそれを批判などしませんし、むしろそんなものは個人の自由だと思っています。

ここで重要なのはアルコールを飲んで仕事に影響が出るかどうかということでしょう。

酔っ払って仕事にならないのはオーストラリアでも論外です。

しかし、例え飲んでいたとしてもきちんと仕事ができるのならばいいのです。

私個人は飲むと仕事に集中できなくなるので飲みませんが、影響が出ない人ならば飲んでも全然問題はないと思います。

もしかしたら、「白人のほうがお酒に強いからだ」という人もいるかもしれませんが、日本人と同じく白人だってお酒に強い人もいれば弱い人もいますからそれは理由になりません。

余談ですがオーストラリアで働き始めた頃、ランチで上司にワインを勧められたことがあります。

私はその頃はまだこちらの文化に慣れていなかったので仕事中にアルコールを飲むなど信じられませんでしたが、上でも書いたとおり私はお酒を飲むとあまり集中できなくなるので断りました。

私が断ると「え?グラス一杯も飲まないの?」と驚かれました。

仕事中に上司からアルコールを勧められるなど日本では考えられないことですね。

ちなみにオーストラリアのいいところは一度断ればそれ以上は勧められないことです。

日本のように、「俺の酒が飲めないのか」とか「みんな飲んでいるのだから」などと無理強いされたことなど一度もありません。

もちろん、勧めてきたのが上司だからといって遠慮することもありません。

個人の意志をきちんと尊重してくれますjし、ホント、気楽でいいです。

まあ、無理強いされたらハラスメントで会社に訴えるところですが。

もう少しリラックスしたら?

日本人は見た目や表面ばかりを気にし過ぎていて本質を見失っていることが多々あります。

先にも言いましたが、商談相手が本当にアルコールを飲んでいたとしてもきちんと仕事をしてくれればそれで良いでしょう。

ましてやノンアルコールビールなど、アルコールでさえないのだから仕事に影響が出るはずがありませんのでそれを問題にするほうがおかしいのです。

しかし日本では「社会人はきちんとしてないとならない」などを含む「社会人として~」論によって何から何まで縛り付けられます。

そしてそれが他人からの評価や視線ばかりを気にする息苦しい社会にしているのです。

私は日本にはもう少しオーストラリアのように適度にリラックスした社会になって欲しいと願っています。

仕事中に多少お酒を飲んだとしても常識を疑ったり、不快感を持ったり、信頼しなくなる人がいなくなればノンアルコールビールなどで議論する必要もなくなります。

オーストラリア人は自分も飲みますが、もちろん商談相手がランチでお酒を飲んでいたとしても彼らは全く気にしないでしょう。

むしろ一緒に飲む人も多いと思います。

あ、でもオーストラリアでもオフィス内ではさすがに特別なイベントの時などを除いてお酒を飲んだりはしませんが。

いつまで経っても古臭い日本の企業の習慣

このノンアルコールビールに見られるような、「物事の本質」ではなく「見た目」や「体面」ばかりを気にする日本の習慣は日々の仕事に対する姿勢にも現れています。

例えば、

「定時に帰ったり上司や先輩よりも帰ると快く思われない」

「大して仕事をせず一日だらだら仕事をしていても残業をしているだけで仕事をしているように見られて評価される」

「成果ではなく威勢の良さややる気がある姿が評価される」

などなど。

実際にどれだけ成果が出ているか、効率は良いかなどはお構いなしです。

こんな習慣や思想が蔓延っているのにやたら「グローバル化」だのと叫んでいる日本の企業は欧米では理解されないでしょう。

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かわずん
アンチ・ブラック企業ブロガー