日本の大学生が海外の学生と比べてあまり勉強しないのはなぜか?
この、「日本の大学生が海外の学生と比べてあまり勉強しない」というのは、経団連の中西宏明会長が言った言葉らしいです。
詳しくは以下の記事に出ています。
勘違いにも程がある経団連会長「学生はもっと勉強しろ」発言の何様 – まぐまぐニュース!
記事の筆者は、「日本の学生はしっかり勉強しろなどと言われても、『インターンシップ』やら、『解禁日』やらで、在学中の早い段階から就活を意識せざるを得ず、学業を軽視させているのは企業のほうだ」と主張しています。
新卒一括採用なんてやめるべき
大体、新卒一括採用なんていうものがあるから、解禁日やらなんやら面倒な決まりが出てくるわけです。
で、解禁になった途端に、黒ずくめの、髪型も服装も靴もカバンも似たり寄ったりな集団がゾロゾロ街を歩き回り始めるわけですよ。
ほんと、気持ち悪い。
そもそも、なぜ大学を卒業したらみんな一斉に就職するのか?
そんな決まりも法律も無いのに。
それは、そういう「雰囲気」「空気」があって、「みんなが就活してるから自分もしないと」「大学出たらどこかの会社で働くのが当たり前」という、どこかの誰かが作った常識に流されているからです。
かく言う私も学生の頃はそうでしたから、今の学生を批判していいのかは疑問ですが(笑)
しかし、少なくとも昔はネットもありませんでしたから、違う生き方をしている人や、その声を聞く手段はほとんどなかったのです。
でも今は違います。
ネットを見ればいくらでもこういう常識がおかしいと言っている人の話を目にできます。
話を元に戻しましょう。
日本で大学を卒業する時に、本当にやりたいと思える仕事があって、「この職業で働いてみたい!」なんていう学生なんてどれだけいるのでしょうか?
大学卒業間近になった大学生が一斉に「俺は心から会社で働きたいんだ!」なんて考えになっていたらそれこそ異常ですよ。
大学を出てもやりたことを見つけられない人だってたくさんいますし、やりたいことを探すために仕事以外のことをしたい人だっているはずです。
大学を出て、いつ何をしたいかというのは人それぞれ千差万別です。
それなのに、新卒一括採用というシステムが学生を「大学卒業→就職」という「お決まりのコース」に駆り立てているのです。
それに乗せられる学生にも一定の責任はあるとは思います。
しかし、「新卒カード」などというものがあるため、やりたいことを優先してそのカードを失ってしまうと残りの人生、負け組になるのではないかという恐れを抱く学生は多くいます。
そう考えると、一概に学生を批判することもできません。
そもそも、新卒カードにしても、新卒一括採用というものがなければ存在しないわけですから。
よく経団連の人間が「解禁日がないと学生が混乱する」などと言ってますが、「経団連や政府や企業が学生を混乱させ、不幸にさせている元凶だろ!」と言いたくなります。
ちなみに、新卒一括採用についてリクルートワークス研究所の大久保幸夫所長が以下のような発言をしています。
どうなる就活見直し 「時期よりも長期化問題」「大学改革と一体の議論を」 政府主導の見直しには異論 – ITmedia ビジネスオンライン
日本の新卒一括採用は「世界に例のない仕組みで評価されてきた」(大久保氏)。海外では、景気の悪化で学業成績のいい人でも就職できないとして社会問題になることもあるが、「日本は新卒就職率が90%下回ると氷河期といわれた」(同)ほど、安定雇用が実現している。
そんなに評価されている良い仕組みなら、なぜこんなシステムを採用しているのが未だに日本だけなんですかね?
そんなに優れていて、評価されているのなら今頃世界中の国が新卒一括採用を取り入れていてもおかしくないと思うのですが。
数字の根拠も示されていませんし、自画自賛でイタ過ぎますね。
学生が勉強しないもう一つの理由
日本の学生が勉強しないもう一つの理由は、「そもそも勉強がしたくて大学に入ったわけではないから」です。
全員とはいいませんが。
日本では就活と同じように、「みんなが受験するから俺もやるか」「大学に行ったほうが就活に有利だからとりあえず行っておくか」という感じで、空気に流されて大学に行きます。
大学って本来は、自らが極めたい分野の勉強や研究をするべきところのはずですよね?
なのに、「とりあえず偏差値の高い大学に入ればOK。学部(何を学ぶか)なんてどうでもいい」みたいな感じで大学に行く学生が多すぎるんです。
だから、大学で学びたい事もなければ、勉強する意欲も無し。
「なんとか単位を取って卒業できればそれでいい」という学生で溢れかえるわけです。
それではなぜそんな大学生活を送っても大丈夫なのかと言うと、企業が「大学で何の分野の知識を身に付けたか」なんてどうでもいいと思っているからです。
見るのは出身大学の偏差値ばかり。
日本では、入社するまでどこの部署に配属されるか分からない会社なんて珍しくもありません。
企業は学生が大学で学んだことを活かす気もなく、得意分野も考えず、適当に配置していくわけです。
これじゃ学生が大学で熱心に学ぼうと思うはずがありませんね。
冒頭に紹介したまぐまぐニュースの記事にも同じような意見が載っています。
理系の一部の学科で、専攻内容がそのまま就職後の専門になる「幸福なケース」はいいとして、他の場合、特に文系の場合は、企業側が大学での教育内容を尊重しないケースは山のようにあります。例えば、
「当社にとってのマーケティングは、独自の長い成功体験に基づいているので大学でマーケティングなど専攻してきて、それと異なる色のついた学生は困る」
「当社の会計制度は、独自の原価計算哲学(本当は粉飾スレスレの)に基づいたものだから、経理担当社員には地頭(じあたま)が良くて計数に強い人材が欲しい。会計学など学んで来られて学生気分の理想論を振り回されるのは迷惑」
「労働法とか、環境問題とか企業を敵視するような勉強をしてきた学生は、徹底的に根性を叩き直さないと使えない」
それなら大学に入学したら即就職でいいんじゃないですかね?(笑)
学生は大学で真剣に何かを学びたいなんて思ってませんし、企業は何を学んだかなんて見ちゃいない。
入った大学の偏差値だけが重要なら、入学した時点でもう就活すれば?
手間も時間も学費も省けていいことずくめです。
あと、最後の箇所なんて噴飯ものですよ。
私のような人間がこの会社に入ったら、きっとボコボコにされて根性を叩き直してくれるんでしょうね。
ありがたや~(笑)
オーストラリアの学生はなぜ必死に勉強するか
私が住んでいるオーストラリアの学生はどうでしょうか?
企業は専門職のポジションの場合は、ほぼ必ずと言っていいほどその職務と関連した学位を持っていることを応募条件とします。
だからオーストラリアの学生は自分が将来なりたい職業を目標にして、その分野の学位を取るために大学に入って猛勉強するのです。
大学名もある程度は大切ですが、それよりもどの学部で何を学んだのかが重要なのです。
あなただったら、ITの分野の人材が欲しいのに経済学を学んだ人間を取りたいと思いますか?
ITの学位を持った人であれば既にある程度の知識もあるし、何より、その分野に対する熱意だってあるはずです。
それなのに経済学の学位を持った人を採用しようとしますか?
もし、そんなことをする人がいたら「お前アホでしょ?」と言いませんか?
でも、それを大真面目にやっているのが日本の企業なのです。
結局、日本の学生が勉強に熱心ではない理由は、ここでも日本の企業にあるんです。
ちなみに、オーストラリアには新卒カードなどというものは無く、就職したくなった時に募集している企業に応募するだけです。
そういう意味でも就職を焦る必要がないわけです。
日本の企業が求めているのは社畜人間
再度、冒頭のまぐまぐニュースの記事から引用します。
もしかすると、現在の日本企業は、個性的な人材ではなく、日本語による、またペーパーによる事務作業とか、対面型のコミュニケーションという生産性ゼロのオワコンを「無批判にこなす」従順な若者が欲しいという本音があるのかもしれません。
そう考えると、以前のように「学生時代に世界一周無銭旅行をした」とか「肉体労働のバイトで社会の底辺を見てきた」というような個性的な学生よりも、言われた通りに勉強して、いつも言われた通りに良い点を取るような人材が歓迎されるのかもしれません。
これって、「もしかすると」ではなく、「その通り」なんですよ。
日本の企業は社員に個性なんて求めていません。
全ての事に対して可もなく不可もなく平均的にこなせ、突出しているものがなく、会社や上司に逆らわず、黙々と働くロボットのような人間を求めているのです。
つまり、社畜です。
これは日本の学校教育を見れば分かります。
日本の学校では、
「先生、先輩に従いなさい」
「遅刻は厳禁!5分前行動!」
「得意な科目はそのままで、苦手な科目に集中しなさい」
「周りに迷惑をかけないようにしなさい」
「自分の意見を主張しすぎず、協調性を大事にしなさい」
などと教えます。
全部、社畜になるための必須項目ですね!
日本の場合、学校の教育の基本方針は政府が決めています。
つまり、政府は企業が欲しがっている人間を学校でどんどん生産し、企業に送り込んでいるということです。
学校は社畜の生産工場なわけです。
ここら辺の話は以下のホリエモンの本で詳しく述べられていますので興味のある方はどうぞ。
目からうろこの話がたくさん載っている本なので是非読んでください。
「お金を出してまでは・・・」という方は以下の私の記事を読んでください。
上の本を読んだ時、あまりに私の以下の記事の主張と似ているのでびっくりしました。(ちなみに、私の記事はこの本よりも2年ほど前に公開しているのでホリエモンの本のパクリ記事ではありません。念のため)
>>日本の学校教育は同調圧力を美化し、社畜を生産する洗脳教育
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