またまたとんでもない記事がいつもの日経ビジネスオンラインに掲載されました↓
ザッカーバーグ氏の育休が浮き彫りにするもの:日経ビジネスオンライン
この記事の執筆者はシリコンバレーに在住しているるそうです。彼女はFacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグが先日発表した2ヶ月間の育児休暇を取ることに対して色々と疑問を持っているようです。
曰く、
- どうせ育児休暇を取るとか言っても彼ほどの大金持ちともなるとメイドやベビーシッターがたくさんいるだろうから、たまに気まぐれでやるかもしれないけど、実際にオムツ替えとかしたりしないんでしょ?
- 育児休暇を取ると言っているだけで、実際には家で仕事するのでしょ?
- 育児休暇中は有給だったとしてもせいぜい通常の給料の半額程度かそれ以下。ザッカーバーグほどの金持ちだったら全く問題無いだろうけど、庶民にはそれだけの収入の低下は耐えられないでしょ。
この記者の結論 → みんなザッカーバーグが言うことに踊らされすぎ。彼が言う「育児休暇 」は遥か雲の上のセレブの人たちの間の話。育休とかワーク・ライフ・バランスとか普通の人には夢物語。現実を見なさい。
想像を根拠に結論を出すのってどうなの?
上記の「1番」と「2番」については、この執筆者が実際にザッカーバーグに聞いたのではないことは読めば分かります。
要するにおむつ替えやら何やらすべて彼女の単なる「想像」でしかありません。
もちろん、想像とは言え実際に当たっているかもしれません。
しかし、実際の取材もしていない想像話をいかにも現実の話のように書き、それを元にして結論を出しているのです。
正直に言ってそんな記事に価値があるとは思えません。
こんな記事を 「ジャーナリスト」と名乗って書くだけでお金を貰えるなんていい世の中になったものです。
今の時代、やろうと思えばメールだろうとなんだろうと場所を問わず取材できます。
しかもこの記者はシリコンバレーに住んでいるのです。
それならそんな妄想をする前に地の利を活かしてもっと実際に取材して聞いた話を元に記事を書くべきです。
「3番」については、確かにアメリカではまだ育児休暇が取れる企業は少ないのかもしれませんし、取れたとしても給料が出ないのかもしれません。
しかし、ザッカーバーグが彼のコメントで言っているのは
「生まれてきた子どもと一緒に過ごす時間は大切」
「これを機にもっと多くの父親が子供と一緒に過ごせるようになり、世界が子どもたちにとってより良いものになって欲しいと願っている」
ということです。
「育児休暇中は収入が減るでしょ。だから庶民は育休など望めません。ハイおしまい。」
などという低レベルな話ではないのです。
そもそも彼女は彼女の周りだけの話をしてそれがいかにも世の中それが常識でどこでも同じだというような論調ですが、そんなことはありません。
以前の記事でも私が書いたとおり、私の現在の会社では父親は6週間の育児休暇を取ることができ、その間は100%の給料が出ます。
更に、ザッカーバーグのFacebookのページのコメント欄を見ると何ヶ月も育休を取っているヨーロッパの人たちの書き込みを見ることができます。
だから育休の期間にフルで給料が出る会社があることは夢の話ではないですし、全然不可能な話ではないのです。
記事を鵜呑みにする物わかりの良い読者
最初にも書きましたが、彼女が彼女の記事で言いたいのは
「ザッカーバーグのような人物は特別であるから、彼が言うことに踊らされないように。庶民はもっと現実を見なさい。」
ということのようです。
ところで、この日経ビジネスオンラインのそれぞれのページの下には読者が投票できるアンケートの機能が付いています。
驚くべきことに今この記事を書いている時点で彼女の記事に対する読者が投票した 「参考度」は「とても参考になった」「まあ参考になった」を合わせると80%!になっています。
そして、「お薦め度」では「ぜひ読むべき」「読んだほうがよい」を合わせて93%!!にもなっています。
この記事を読んで「育児休暇など私たちには関係のない現実離れした話」と認識した人がこれだけいるということです。
ザッカーバーグの声明を聞いて「彼の言うように今後よりよい社会になってほしい」と書くのではなく、
「現実を見なさい。そんなのは夢物語です」
というような記事を書いて読者をがっかりさせる執筆者の意図がわかりません。
もしかしてブラック企業の回し者でしょうか?
ザッカーバーグに質問してみた
ところで、上記のリストにある1、2、3番の事柄に関して事実なのかザッカーバーグに質問を送っておきました。
これが証拠です↓
ちなみに私はFacebookにアカウントを持っているものの、今までテスト投稿以外の投稿をしたこともないですし誰かにメッセージを送ったこともありません。
そんな私が初めてメッセージを送った相手がザッカーバーグとはちょっと笑えます。
(英語については指摘しないでください。私の英語が適当なことは分かってますから)
当然ですがザッカーバーグから返事は来ないでしょう。
でも取材もしないで想像から成り立っている記事を書く「プロのジャーナリスト」よりは素人でもダメ元で試してみるだけ幾分かマシでしょう?
志の高いザッカーバーグとがっかりな日本のジャーナリスト
ザッカーバーグに質問までしておきながら言うのも何ですが、いずれにしても彼が「オムツ替えをしているのか」とか、「メイドがいるから家事はしないだろう」とか、「結局、家で仕事しているのだろう」だとか実際のところ大して重要なことではないのです。
(こうやって書いていると、上記の日経の記事がいかにレベルの低い事にこだわって書いているのが分かってイヤになります)
重要なのは、彼のような知名度の高い人物が率先して行動して
「これから生まれてくる子どもたちのためにより良い世界になってほしい」
「他の人も自分に続いて欲しい」
と願っていることなのです。