将来のために今苦労するべき?「今幸せに感じること」をするべき理由とは?

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先日、ブログの読者の方からある相談のメールを頂きました。

この方は現在理系の大学生とのことで、大学で学ぶことに興味が持てなくなり大学を中退したいと考えているそうです。

また最近やった倉庫内でのアルバイトで達成感を感じたことから、大学を卒業して研究職などに就くより体を動かす職業に就くほうが合っていると感じているとのことでした。

しかし、この方のご両親はこれらのことに反対のようです。

両親にこのことを話したところ、大学を辞めることには反対で、大学を中退すれば大卒の資格がもらえず十分な年収がもらえなくなると言われました。

加えて、仮に大学を中退したら生活費や食費は一切出さないと言われました。

(引用は相談者の方の了承を得て掲載しています)

自分の子供がせっかく入った大学を中退したいと言い出したらやはり反対する親が多いと思います。

一部例外はあるにせよ、基本的に親は子供の幸せを願うものです。

この方のご両親もきっと「今嫌だと思っていてもなんとか大学を卒業して十分な収入を貰えば幸せになれる」と考えているのでしょう。

あるいは、「大学くらい出ないと収入が低くなり幸せになれない」と思っているか。

しかし、この相談者の方はメッセージの内容から見る限り、「良い収入」よりも「どのような仕事をしたいか」に価値を見出しているようです。

もちろんお金は大切でしょうが、少なくともこの方はどんな仕事でもいいから稼げれば良いという考えではありません。

この点で、「とにかく大学を卒業して良い企業に入って良い収入を得られれば幸せになれる」と信じる親とのギャップが問題になっているわけです。

「お金があれば幸せになるのか」や「幸せになるためにはお金が必要か」については今回のお題ではないので言及はしませんが、私はこの方には「あなたが今幸せに感じることをするべきだと思います」という返答をしました。

いつ幸せになるの?

「将来幸せになるためには今楽をせず苦労するべきだ」と無条件に信じている人は多いのではないでしょうか?

「今頑張って良い高校に入れば良い大学に入れる」

「今頑張って良い大学に入れば良い会社に入れる」

「今頑張って良い会社に入れば良い収入が得られる」

「今頑張ってたくさんお金を貯めれば幸せな老後を送れる」

一体いつまで幸せになることを我慢すればいいの?という感じです(笑)

この論法だと幸せになるには老後まで待たないとなりません。

歳をとって引退するまで苦労を重ねないと幸せにならないのでしょうか?

そもそも今苦しんだ分、本当に将来幸せになるのでしょうか?

老後までにお金を一生懸命貯めて何をしたいですか?

「趣味に打ち込みたい」という人はまだいいと思います。

しかし、「それまで仕事一筋で脇目も振らず頑張ってきたのだから老後は何もせずゆっくりしたい」と思う人は要注意です。

きっとそれはあなたが本当にやりたいことではないはずです。

「老後にゆっくり過ごすこと」がやりたいことと感じるのは現在の毎日の生活に疲れてしまっているからです。

だから「老後は休みたい」と思うようになるのです。

もし現在本当に自分がやりたいことが出来ていて毎日楽しく過ごせている人は「老後になったらゆっくり過ごしたい」などとは考えないでしょう。

毎日仕事に追われて疲れ果てていて、「将来の夢は貯金でゆっくり引退生活を過ごすこと」と言っている人が実際に退職したら最初の数週間はやっと長い長い仕事生活から開放されて幸せに感じるでしょう。

しかしそれから何ヶ月かすると何もすることが無く何をして良いのか分からなくなり、「毎日やることがない」「毎日つまらない」と言うようになるでしょう。

しまいには何もしていない事がストレスになり「今まで頑張ってきたのは何だったのか」「仕事をしなくなった今、生きている意義が見いだせない」と考えるようになりまた仕事を探し始める人もいます。

それまで生活費を稼ぐためにやりたくもない仕事一筋で生きてきていて、自分で主体的に何かをやりたいと思って生きてこなかったため、いざ時間ができると何をやっていいのか分からなくなってしまうのです。

これでは本当にそれまで何のために苦労して耐えてきたのか分かりません。

やりたくもない仕事ばかりをしていて「幸せな老後の生活」を目標にしてしまうとこのようなことになる可能性は十分にあるのです。

私達は「今苦労することが良いこと」と教えられて育つ

長い仕事人生で引退するまでの間の貴重な人生の時間をやりたくもない勉強や苦労に費やすことが幸せな生き方ではないことは何となく分かってもらえたかと思います。

ところで、私たちは日本の昔話やイソップ物語などの童話を聞く子供の時から「いま楽をしようと思ってはいけません」というような話を聞いて育ちます。

例えば「アリとキリギリス」のような話もそうです。

春にキリギリスが遊んでいる間にアリはせっせと働いて食料を貯めていて、冬になると遊んでいたキリギリスは食べ物が無くなり困ることになったけれどアリはそれまで苦労して準備していたおかげで安心して暮らせたという話です。

私達が「いま苦労するべき」と無条件に信じるのにはこのような話を聞いて育ったという背景も一因ではないかと思います。

特に日本では「今幸せに感じることをすること」に罪悪感のようなものさえ感じる人が多いのではないでしょうか。

だから、「将来のために今は我慢して苦労するのが良い」という考えになるのです。

会社においてもそうです。

「今は辛いかもしれないけど3年くらいは頑張ってみろ」

「厳しくても何年間か耐えればそれは良い経験になる」

「『夢』を達成するためにみんな頑張っている。お前も頑張れ」

何でもかんでも耐えて苦労すれば報われると考える、日本のお得意の根性論・精神論です。

いま苦労することが将来の全ての幸せに繋がっていて、今苦労しなければ将来必ず苦労するかのような論理です。

ちなみに経営者がこのようなことを言う時は大概その「夢」は経営者の夢であり、あなたの夢ではありません。

彼らの夢を叶えるためにあなたが犠牲になる必要などありません。

ブラック企業では「苦労することが良いこと」というみんなが持っている価値観をいいように利用し、彼らの夢がいかにもあなたの夢や目標であるかのように錯覚させるように無駄に厳しい研修に参加させたり叱責したりしてくるので十分気をつけてください。

なぜ「今」幸せになってはいけないのか?

あなたが幸せを感じることができるのは過去でも未来でもなく、「今」だけです。

過去のことを思い出して「幸せだったな」と考えることは出来ますが、それは今が幸せだということではありません。

また、過去のことを考えて幸せだと感じるのはやはり「今」なのです。

誤解して欲しくないのは、頑張ることや耐えることが全て悪いと言っているのではないということです。

例えばどうしても将来やりたいことや成し遂げたい目標があるとします。

それを達成するために今苦労したり耐えるのは良いことだと思います。

自分が何かを成し遂げたいと思っているときに、それが本当に自分のやりたいことであればその過程が辛くても耐えられるのではないかと思います。

少なくとも「苦」ばかりを感じることはないはずです。

だから苦労をするにしても今幸せに感じる苦労をするべきなのです。

それはあなたが本当にやりたいことをやっているという証しなのです。

問題なのは「将来のために~」と他人が目標を押し付けてくる場合です。

それが自分が本当にやりたいことではない場合、それを達成するまでの過程はまさに苦痛でしかないでしょう。

そしてその目標が自分が本当にやりたかったことではない場合、せっかく目標を達成しても心から幸せを感じることはないでしょう。

会社の上司や先輩に「今は辛くても頑張れ」などと言われてもやはり辛いとしか感じないのならば、それはあなたが本当にやりたいことではないからです。

言われたとおり数年頑張ってみたところで幸せになることは残念ながらないでしょう。

その苦痛や努力を経て達成する目標が本当に自分が求めてるものなのか、自分ではない他人の目標なのかよく考えてみてください。

相談者の方のご両親は恐らく、「今嫌でも頑張って大学を出れば良い企業に入れて良い収入を得て幸せになれる」と信じています。

しかし、その両親の願いが達成されたとしてもきっとこの方は幸せには感じないでしょう。

この方が体を動かして働くことに幸せを感じるように、何を幸せに感じるかはその人それぞれです。

本当に自分がやりたいと思うことをやって失敗することもあるでしょう。

しかしそれは自分で決めたことですので誰も責めることはできませんし、多かれ少なかれ失敗から何かしら学ぶことがあるでしょう。

でも、失敗しても軌道修正してまたチャレンジすれば良いのです。

今のあなたは誰かに押し付けられた将来のために「辛い苦労」をしているでしょうか?

それとも自分が本当に成し遂げたい事のために「幸せな苦労」をしているでしょうか?

以下はスティーブ・ジョブズ氏がある大学の卒業式で講演した時の映像です。

心に響く素晴らしい内容ですので是非観てみてください。

ところで、「今の安定した生活を捨てて、自分の好きなことを追い求めて本当に大丈夫なの?」と思う人もいると思います。

本当にやりたい事を追い求めたらどうなるのでしょうか?

そんな話に興味がある方は以下の記事を読んでください。

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