未だに「24時間働け」などと言う人がいるんですね。
本当に驚きです。
どうして今も「24時間戦えるか」なのか?:日経ビジネスオンライン
読むのが面倒な方に非常にざっくり言うと、残業を嫌がる部下に対してその上司が
「残業は良くない。でも君は成果が出てないでしょ?だからまずは成果を出して、それから効率良く仕事して8時間で終わらせるようにしなさい」
と言うものです。
結局、仕事優先、健康など二の次
就業時間内は当然きちんと仕事をするべきですし、いろいろ工夫をして効率を高めてさらなる成果が出るようにするのはとても良いと思います。
しかし、ここでおかしいのは
もちろん最初は8時間でやれないかもしれないがまず成果を出せ。
~中略~
まず成果を出す、それから工夫を繰り返し、君が気持ち悪いと思う残業をゼロにしていけ。
と上司に言われ、部下が
「分かりました。やってみます」
などとすっかり上司に言いくるめられている場面です。
しかもそのすぐ下にある見出しで「目標は絶対達成、残業は絶対ゼロ」などと矛盾だらけのことを言っています。
もうこの話の何がおかしいのか明確ですね?
残業は絶対にダメといいつつ、とりあえず残業してでも成果を出しなさいと主張しているところです。
しかもその前の場面では「働き過ぎは健康にも良くない」などと言っているにもかかわらずです。
健康はどこに行ってしまったのでしょうか?
分かります。成果が出るまでは残業して体を壊してでも仕事をしろということですね?
本当に残業は良くないと思っていて、社員の健康を気にかけているのなら
「就業時間内で工夫をしながら徐々に新規顧客の開拓数を増やしていきなさい」
と言うのが筋ではないのですか?
会社に勝手に決められた「成果」の強制
上記の記事では部下は既存の客で手一杯だから新規の客周りまでは手が回らないと言っています。
そこで上司が新規の挨拶周りを三倍にして成果を出せと命令しています。
さて、ここでポイントはこの「成果」というのは誰が決めているのかということです。
会社(上司)ですよね?
つまり、どれだけの成果や目標を求めるかは会社が勝手に決めているわけです。
もしこの部下が頑張って残業して挨拶周りを増やして新規の客を獲得したとしましょう。
そうすると彼の手持ちの客は
「それまでの客」 + 「新規に得た客」
になります。
つまり、さらに既存の客にかかる時間が多くなります。
既存の客の面倒で手一杯になり新規の開拓の時間がさらに取りづらくなります。
しばらくして会社がまた「君、最近成果が出てないね」と言い、さらに新規の挨拶周りを命令したらどうなりますか?
「最初は辛いだろうがとりあえず残業して成果をあげなさい」「ちなみに本来残業は良くないからあとで工夫して残業は無くしなさい」と言って。
日本の会社だから当然有り得る話です。はっきり言ってキリがありません。
オーストラリアだったら?
それではオーストラリアの会社ならどうするでしょうか?
まず部下が残業しているのを見た時点で上司がすぐになぜ残業しなければならないのか聞いてくるでしょう。
基本的に会社は残業しないと終わらないような量の仕事を社員に与えません。
多すぎるようならすぐに調整します。
上記の記事の例だと、もしこの部下に新規の客周りをさせたいのなら既存の客の面倒は別の社員に振り分けて必ず無理無く就業時間内に終わるようにします。
口が裂けても「まずは残業してでも成果を出しなさい」などと言いません。
会社の勝手な成果や目標達成の尻拭いを社員にさせることはありません。
会社はいざとなれば社員など簡単に切り捨てる
残業しないで社員が死ぬ気で働いてくれるなら残業代は支払わなくていいし、電気代などの経費も節約できて会社としては大助かりです。
それにもしこの部下が時間外で働いて体を壊したり心を病んだり果ては過労死したりしても会社は「いや、残業せず工夫して時間内に仕事を終わるようにしろと常々言ってある」などと言い訳するのは目に見えています。
今までたくさんの社員を病院送りにしたり過労死させてきた日本の会社の言い訳は新聞でもネットでもたくさん見てきたと思います。
「会社は残業させたという認識はない」
「会社では把握してなかった」
「社員が帰宅後自主的に仕事をしたから社員自身の責任」
「タイムカードではきちんと定時退社になっているから会社の責任ではない」
などなど。
嫌というほど見てきたと思います。
最近よく言われているように、就職したら定年まで会社が面倒見てくれる終身雇用の時代は終わりました。
会社のためにそんなに頑張っても会社はいざとなれば簡単に社員を切り捨てます。会社に忠誠を尽くす時代はとっくに終わったのです。
社員は24時間働くつもりで仕事をする必要など全くありません。
就業規則で決められた8時間をきっちりと8時間だけ働くつもりで仕事をすればいいのです。
上記の記事にあるようなもっともらしい理由で言いくるめられて働かせられると会社の思うツボです。
日本の外から見ると時代錯誤なことを主張する記事が未だにこういった大手サイトでさも正しいことかのように堂々と掲載されるのが日本の現状なのです。