
前回の記事(年功序列?役職が上なら偉い?日本の時代錯誤な習慣の弊害)では、年齢や役職が上だからという理由で威張る人間の話を書きました。

前回の記事内でも指摘しましたが、オーストラリアにおいては「人間として平等」という考えが基本にあり、会社のポジションはそれぞれの仕事や責務を表しているにすぎません。
そのため会社の外ではもちろん会社内においても上司に対して謙遜したり腰を低くして接する必要はありません。
就労時間外にまで及ぶ日本の上下関係
それに対して日本の「上下関係」は社内にいる時だけでなく、仕事が終わった後のプライベートな時間になってもその関係が続きます。
例えば仕事が終わってからの飲みの席(飲みも仕事だと主張する人もいますが今回はその話は置いておきます)でもその関係はあからさまに続きます。
入店したらまず「上座」やら「下座」やらで席順にこだわります。
そして下っ端の人間は料理やドリンクの注文から始まり、飲みが始まると常に気配りをして上司や先輩に「お酌」をしないとならないとか、上司からの酒は断らず自分のグラスの残りを飲み干してからいただく等々・・・面倒で理不尽な決まり事が多すぎて本当に疲れる社会です。
このような習慣の基礎は中学や高校の「先輩」「後輩」の関係から始まり、大学生になると上記のような飲みの席のマナー(?)を教え込まれます。
上下関係を教えこまれるのも洗脳教育の一つです。
日本の洗脳教育については私の以前の記事(日本の教育は社畜を生産する洗脳教育)においても書きましたので興味があったら読んでみてください。

ちなみにオーストラリアでは同僚や上司と飲みに行っても「自分の好きなもの」を「自分の好きなだけ」、自分で注ぎます。
上司に注ぐ必要もありませんし、逆に注がれて「俺の酒が飲めないのか」などと言われることは絶対にありません。
最初にみんなでビールを飲まないとならないなどという全く意味不明な暗黙のルールもありませんし、別のものを注文しても「空気が読めない」などと言われることもありません。
(もしかしたら最近ではさすがに日本でもこのような習慣は無くなってきているのでしょうか?)
オーストラリアでも最初にジャグと呼ばれる1リッター程度の入れ物に入ったビールを注文してみんなのグラスに分けることが多いですが、それを断って他の物を飲むのは全然アリです。
日本のような「同調圧力」が無いので当然のことですが。
私は時々ビールを断ってウイスキーを飲んだりしますが何も言われません。
それどころか、ある日上司と一緒に歩いていた時にあるお店の前で「そういえばウイスキー好きだったよね?この前このお店行ったけど美味しいウイスキー出してくれたから行ってみたら?」と教えてくれたりしました。
全く気楽な社会です。
他人にも偉そうな日本の「偉い」人
日本の場合は会社内で偉い立場の人が会社や仕事とは全く関係のない人間に対してまでも尊大な態度を取ることが良くあります。
こんな社会に生きていると他人に対して大きな態度を取ることに慣れた人間になってしまうのでしょうが、こんな人間は問題外です。
一体その「偉い」人が他の人に何をしてくれるのでしょうか?
何もしません。
それなのに自分の会社内での地位が高いというだけで自分は世の中で偉い人間だと錯覚しているのです。
たくさん給料をもらっているから人間的に素晴らしいというわけでもないでしょう?
アメリカのお金持ちのようにたくさん寄付でもして社会貢献をしているのなら別ですが、セコイ日本の経営者はほとんど寄付などしません。
給料は自分が使うために(自分のために)稼いでいるだけなので偉くも何ともありませんね。
つまり他人からしたらその人が社長だろうが会長だろうがただの対等な人間であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
それなのに意味もなく偉そうな態度をとられれば腹が立つだけです。
海外に出ても「上下関係」
まあ、千歩くらい譲って当人が偉そうな態度をするのはまだ分かります。
日本社会の上下関係の習慣の病的なところは、会社で偉い人の家族もやはり偉いとされるところです。
以下はタイという異国においてさえも日本人社会に縛られ苦労している人の話です。
「 変貌する南の楽園。在タイ「ママ友」社会で増す軋轢 | ハーバービジネスオンライン
海外にいながらどっぷりと日本に染まらなければならないのだ。それは同居する家族にも言える。ある主婦は愚痴をこぼす。
「住みやすいとはいえ海外ですから、日本人が多いマンションを借りた方がなにかと助けあうことができます。でも、その住まいでできるママ友グループは日本の公園デビューのように人間関係に繊細なくらい気を遣わないといけないこともあります」
ごく一部ではあるのだが、運悪く人間関係がある意味濃厚な住居に入ってしまうと、企業とは関係ない駐在員の妻たちも軋轢の中で暮らさざるを得なくなる。場合によっては夫の地位がそのままママ友の地位にも反映されることもあるのだそうだ。さらに世界でも最大級とされる日本人学校もあれば、日本人の子息が多い学校や幼稚園もある。そこでは大なり小なりいじめも発生するのだが、親の仕事関係が私生活にも緊密であるため、いじめの相手にクレームをつけづらく、解決が日本よりも困難なのだと主婦は嘆いた。
「場合によっては夫の地位がそのままママ友の地位にも反映されることもあるのだそうだ。」と書かれていますが、おそらく夫の地位、収入、住んでいる地域、一戸建てに住んでいるかアパートに住んでいるかなど様々な条件で格付けが行われているのでしょう。
私の以前の記事(海外で仕事をしたいときにオススメしない3つの方法 )において、「日本の教育に洗脳された日本人との仕事は避けたほうが幸せになれる可能性が高い」と書きましたが、これは仕事上だけではなく生活の上でも同じことが言えるということがこの記事から良く分かります。
上記の「ママ友グループ」の多くの人は日本の社会が嫌でタイにいるわけではなく、夫が駐在することになったから滞在しているのでしょう。
このような人達は日本の教育で洗脳され何の疑問も持たずその日本社会の常識をそのままタイにも持ち込んでいるためにこのような問題が起こるのです。
なぜわざわざ海外に出てまでこんな習慣に囚われるのかと思いますが、洗脳されている人はそれが「常識」だと信じて疑わないので仕方のないことです。
このようなグループ内で虐げられる下層グループの人たちには辛いことですが。
言うまでもないことですが、私が勤めている現地の会社では上司の奥さんが偉そうにしているところなど見たことがありません。
みんなとても気さくに話しますし、上記のママ友グループのようなどろどろした集まりもありません。
これから海外に出ようと思う人は可能な限り、このような日本の常識に洗脳された日本人とは距離を置くことをお勧めします。
日本の現地法人などにはできれば就職しないことです。
色々な意味で、海外にいるのか日本にいるのか分からないような生活になる可能性が高いでしょう。
ところで、海外で仕事を探す時に「現地の言葉が不自由」「日本語を使う仕事のほうが探しやすい」という理由で日系の企業やレストランで働こうとする人がたくさんいます。
正直、私はあまりお勧めしません。
どんな職種や会社を避けたほうがいいのか?
知りたい方は以下の記事をどうぞ。
