今はネットも発達して海外の仕事環境についても色々見聞きすることが多くなってきました。
それに伴ってより良い生活や人生を求めるために海外で仕事をしてみたいと思う人が多くなってきていると思いますし、実際に多くの日本人が海外で仕事をしています。
一口に海外で仕事をすると言っても一時的に滞在して仕事をしたいのか、長期的に滞在したいのかで必要なビザも変わってきます。
一年未満でちょっと体験すればいいのならワーキングホリデービザ、中期ならビジネスビザ、長期なら永住ビザと言った感じになると思います。
運良く仕事が見つかったり、永住ビザを取得できたりしても海外には海外なりの大変な面がたくさんあります。
例えば永住ビザが取れても仕事が中々見つからず、生活がきつくなって結局日本に帰らざるを得なくなってしまうかもしれません。
実際に私はそういう人達をたくさん見ています。
しかしだからと言ってなりふり構わずなんでもいいから仕事を得ればいいというわけではありません。
運が悪ければ悪い思い出ばかりを残して日本に戻ることになってしまうかもしれません。
せっかく意を決して日本から出てもそのようなことになったらガッカリです。
今回は「その仕事を決める前にもう一度よく考えたほうがいい」という方法を3つ紹介します。
1 日本食レストラン
まず筆頭は日本食レストランです。
もっと正確に言うと中国人やその他のアジア系のオーナーがやっているレストランです。
これらのレストランでは賃金がその国の法律で定められた最低賃金よりも遥かに低い時給で従業員を働かせているところがたくさんあります。
ワーキングホリデーなどの一時滞在で、「どうしてもお金が必要だから時給が低くてもとにかく働きたい」とか、「経験のためにとにかく何かやってみたい」というのなら止めません。
(いずれにしても最低賃金以下で働かせることは違法ですが)
こういうレストランのオーナーは
「海外で働くという素晴らしい経験をさせてあげているのだからお金の問題じゃない」
とか
「あなたのような英語ができない人は他では雇ってもらえないのだから雇ってもらっているだけでもありがたいと思え」
というような滅茶苦茶なことを言うところもあります。
中にはその国で長期滞在ができるようにビジネスビザをサポートしてあげるというレストランも結構あります。
ちなみにオーストラリアではビジネスビザで何年か働けば永住権(永住ビザ)を取得することも可能になります。
その永住権目当てでレストランにビジネスビザをサポートしてもらう人もたくさんいます。
しかし、良いオーナーだったらいいのですが、そうでなかったらずっと低賃金のままこき使われ続けるということになりかねません。
そういう悪徳レストランのオーナーは弱い相手の足元を見て強気に出てきます。
要するに、「ビザをサポートしてやっているのだから文句を言わず働け」というわけです。
しかしだからといってあまり文句を言ってクビにでもなったらビジネスビザも永住権も諦めて日本に帰らないとならないので泣く泣く従わざるを得なくなります。
例え大人しく従っていたとしても、違法賃金で長時間働かせたりするようなレストランはいつ摘発されるか分かりません。
もし摘発されたら当然ビジネスビザも永住ビザの夢もパーです。
どうしてもそのレストランで働く以外に可能性がないのならこれらのリスクを覚悟したうえで働くのも有りかもしれませんが、いずれにしても他人に弱み(この場合はビザ)を握られるような方法を取るのは私はお勧めしません。
2 日本企業の現地採用
海外の支社がある日本企業の中には現地人や現地に住んでいる日本人を採用しているところがたくさんあります。
「英語があまり話せないから現地の会社ではなかなか採用してくれない」とか「日本語のスキルを活かしたい」とかいう理由が主でしょうが、こういった日本企業の現地採用も避けたほうが無難です。
こういう会社は日本から派遣されてきた本社の社員が常駐していることが多いです。
そして日本から派遣されてきた人は当然日本の習慣に従って仕事を回そうとしますし、配下の社員に対してもそれを求めます。
すると当然、残業や休日出勤などの仕事環境は日本の会社のままということになります。
そして仕事場にいる時間が長いため、海外にいるはずなのに生活環境も日本とあまり変わらないということになってしまいます。
3 日本からの現地派遣
いわゆる駐在員です。
駐在で来る社員は生活費から子供の学費から住居費から全て会社が出してくれて、さらに駐在手当まで出してもらえたりします。
そのため駐在中はかなり豪華な生活をすることができ、金銭面から見るとかなり良いと思います。
(ただ、駐在期間が終わって日本に帰ると以前の生活レベルに戻すのに苦労する人が結構いるらしいですが)
お勧めをしない理由は駐在員が日本の本社と現地社員の橋渡し役だからです。
本社からの要求と現地社員からの様々な要求の板挟みになるのはかなりのストレスになると思います。
また現地社員が現地のルールに従って残業などをせずに帰ってしまうような場合、駐在員がその尻拭いをすることになる可能性があります。
そうすると精神的にも肉体的にもキツイ状況になってしまいます。
私の知り合いの駐在員はまさに上記のような状況で、現地の社員がさっさと定時で帰ってしまうためやむを得ず毎日遅くまで残業し、週末も出社し、年末もみんなが休んでいるクリスマス休暇の期間中でさえも休めないという人がいます。
これでは現地採用の社員と同じく、せっかく海外にいるのに仕事も生活も日本と変わりません。
もちろんそんな会社ばかりというわけではありません。
会社からのサポートで贅沢な生活をし、仕事環境はオーストラリア並みで残業や休日出勤もほとんど無いような会社を少なくとも私は一社知っています。
日本人とは仕事で関わってはならない
さて、これまでおすすめしない仕事を3つ紹介してきたわけですが、実はこれらに共通している点があります。
それはどの仕事も日本人が関わっているということです。
もし日本での仕事に疲れて海外のワークライフバランスの取れた環境を求めるのなら、日本人がいる会社で仕事をしてはいけません。
そして例え日本人がいない会社だとしても、日本人が関わってくる可能性がある会社では仕事をしてはいけません。
私の実体験を一つ紹介しておきましょう。
私が以前働いていたオーストラリアの会社は日本には進出していませんでしたが、日本でのビジネスを模索していました。
そしてある日本の会社となんとか取引の可能性が出てきて、その会社と電話ミーティングをすることになりました。
私はソフトの開発部門に所属していたので全くそのミーティングに出席するポジションではなかったのですが、社内で唯一の日本人だったので通訳をお願いされました。
ちなみに、話が少し逸れますが私は通訳をするのは本当に嫌いです。
実際にやってみると分かりますが、あれほど頭が疲れる仕事はありません。
プロの通訳者は長時間になる場合は複数人で30分毎とかに交代しながらやります。
プロの人でもそれだけで疲れてしまうのです。1時間もやらされたら本当にフラフラになります。
私は何度となくそういった長時間の通訳をやらされていい加減嫌になったので、上司にちゃんとプロを雇うように何度も強く依頼しました。
話を元に戻しましょう。
そのミーティングの最中に、ある製品をカスタマイズして何日までに送って欲しいと日本の会社側(お客さん側)が強く要求してきました。
それに対して私の会社側は「いや、その間に祝日があるからムリ」と答えました。
さすがオーストラリア人。当然の返答です。
しかしそれで引き下がらないのが日本人です。
それは重要だから(祝日だ何だと言わずに)なんとかして欲しいと言ってきました。
(上のカッコ内は流石に実際には言ってませんでしたが結局はそういうことです)
この件で何度か押し問答になり、間で通訳している私も疲れ果ててしまいました。
日本の会社からは
「俺たちは客なんだから客の要求に応えるのが当然だろ」
「仕事よりも休みを優先するなんてあり得ない」
という空気が電話越しにプンプン伝わってきました。
これがもしオーストラリアの会社がお客だったらまず間違いなく、「そうだったね。それじゃもう少し後でいいよ」となるでしょう。
日本と全く関わり無く仕事をしていた時は毎日が平和だったのに、日本の会社と関係を持ち始めてからは関連部署の雰囲気が悪くなりました。
日本人が仕事に絡むとロクなことが無いという良い例です。
ちなみに、ここで言う「関わってはいけない日本人」というのは実は日本で生まれた人間とか、日本国籍を持っている人間という意味ではありません。
それは以前の私の記事(日本の教育は社畜を生産する洗脳教育)で書いたような、日本の教育に洗脳されたままの日本人のことです。
同じ日本人と名乗っていても、海外で育った日本人や、あるいは私のようにレールから外れてしまった日本人は害はありません(笑)
結論
日本の社会が嫌で海外でワークライフバランスを重視して働きたいと思うのであれば以下の全てに当てはまる会社にするのがベストです。
- 日本企業以外の会社
- 日本企業と取引のない会社
- できれば社内に他に日本人がいない会社
長くなりましたが結論を一言で言うと、「日本の教育に洗脳された日本人との仕事は避けたほうが幸せになれる可能性が高い」ということです。