私の以前の記事(有給休暇を取るのに理由など一切必要ナシ!)で有給について以下のようなことを指摘しました。
- 有給は労働者の権利
- 有給は労働者が取りたい時にいつでも取れるものでなくてはならない
- 有給は病気の時のためではなくホリデーのために取得されるべき
そしていつものごとく「未だに日本は有給システムの後進国だな」と思わせる記事がまた出ました。
(実際の所、日本の場合は有給のシステムどころか、労働者の権利を含めた労働環境自体が後進国なのですが)
休みが取れたー! 働く女性の「有休ゲット」テクニック4選|「マイナビウーマン」
タイトルの通り、有給を快く取らせてもらうためのテクニックが書かれています。
記事のそれぞれの見出しの部分だけを見れば十分ですので、ここにその「テクニック」を引用しておきます。
* 普段から信頼を得ておく
* 早めに申請する
* 仕事を終わらせておく
* 結婚式と言う
いかがですか?
「これはタメになる」と思いますか?
私は未だにこんなくだらない小細工をしたり嘘をついたりしないと有給が取れない、或いは取りにくい日本の労働環境にため息が出ます。
有給を取るのに言い訳などする必要はない
日本の労働環境が改善してこういった記事が出てこなくなるまで何度でも繰り返し主張していきたいと思います。
有給は労働者が得られる法律で定められた権利であり、一切の理由を問われず取得ができるべきのものです。
オーストラリアでは有給はあくまでもホリデーのためであり、「休養」のために取るものであること、そして自分の家族や自分自身が病気で通院したり看病しないとならない時のために有給とは別に病欠休の取得が認められることは以前書きました。
これらの休みは取りたい時、必要になった時にいつでも取ることができます。
普通の有給休暇の場合は理由は一切聞かれません。
病欠給などの場合はさすがに理由は伝えないとなりませんが、まっとうな理由なら断られることはありません。
まっとうな理由が必要と言っても、普通に「風邪をひいたから」とか「妻(または子供)が風邪を引いたから」という理由をメールやショートメッセージで伝えるだけでOKです。
電話をして「風邪を引いていかにも調子が悪そうな声」を出したりする必要はありません。
また、熱が出てフラフラになっているのに出社しろと言われたり、そんな状態で出社したからと言って偉いと言われることなど絶対にありません。
もしオーストラリアの会社で「病気だから休ませて欲しい」と言っている人を強制的に出社させたりしたら人権問題で訴えられます。
オーストラリアの会社の長期就労休暇制度
せっかく有給の話になったので今回はオーストラリアの会社で社員が取得できる別の休暇制度についても書いておきたいと思います。
オーストラリアの会社では多くの会社で”Long service leave”という休暇制度があります。
日本語で言うと「長期就労休暇制度」といった感じだと思います。
この休暇制度は通常の有給や病休とはまた別のものです。
この制度は法律で決まっているわけではないので会社ごとに日数や詳細が異なりますが、例えば私の会社では勤続5年目に約40日間分の休暇をもらえるようになっています。
当然この日数には土日は含まれていませんので、ここで40日間というのは「一ヶ月ちょっと」のことではなく、一括で連続して取ったら約2ヶ月間に相当する期間になります。
この休暇は5年目になったらすぐに取ることもできますが、後の楽しみに取っておいても構いません。
これは完全にそれぞれの社員の自由に選択できるようになっています。
計算方法としては、入社してから5年間の間に徐々に長期休暇の日数が加算されていき、5年目に合計で40日になるようになっています。
一回のホリデーで持ち分の休暇を全て使うこともできますし、分割して取ることも可能です。
そして5年目以降も働き続ければそれまで加算されてきたのと同じスピードでずっと休暇が加算されていくようになっています。
つまり10年目まで一切長期休暇を取らなければ倍の日数が貯まるということです。
これは「長い期間働いてくれてありがとう。暫くゆっくり休んでリフレッシュして帰ってきてまたいい仕事をお願いします」という意図が込められています。
ある意味、「ボーナス休暇」のようなものですね。
ちなみに私の会社の場合は、5年未満で会社を辞めてしまったら残念ながら権利は失われてしましますが、一旦5年以上勤務して権利を得れば会社を辞めた時にまだ使い切っていない休暇日数があった場合は全てお金で支払われます。
このような面から見てもオーストラリアの労働者は日本とは比較にならないほど良い待遇が与えられていることが分かると思います。
ヨーロッパの国では普通の有給を使って1ヶ月とか2ヶ月とか旅行している人の話を聞くので、休暇日数という点においてはオーストラリアよりもさらに良い環境になるのではないかと思います。
こうやって比較すると、年間10日程度の有給も満足に取らせてもらえないような日本の会社はお話になりません。
最初にも書いたとおり、日本の労働環境は相当な後進国であると言って間違いありません。
日本はもっと祝日を増やすべき
こんな日本の労働環境が近い将来劇的に良くなることはまずないでしょう。
それでは日本人がもっと休めるようにするにはどうしたら良いか?
それはもっと祝日を増やすことです。
日本人はとにかく「右へならえ」「みんなと一緒」で行動するのが好きで、そうしないと不安になったり批判されたりします。
だからみんなが残業していたら仕事がなくても会社に居続けないとならないわけですし、みんなが働いているのに自分だけ有給で休むことが「悪」となるのです。
しかし祝日ならばみんな一斉に休めますし、理由も必要ありません。
それに、日本の会社の大好きな「お客様」も一緒に休むので迷惑をかける心配もありません。
調べてみたところ、日本の年間の祝日数は平均して約17日らしいです。(年によって違うようです)
ちなみにオーストラリアは日本のように全国で祝日が全て同じというわけではなく、州によって祝日も年間の日数も異なります。
日本人からすると同じ国の中なのに場所によって休みだったり平日だったりするのはとても面白いと思います。
そういうわけでそれぞれの州の祝日を数えてみたところ、一番多い州で13日、少ない週で11日でした。
つまり、日本のほうがオーストラリアよりも最大で6日、最小で4日間分多く祝日があるということです。
オーストラリアで働いている私としては「ゴールデンウィーク」やら「ハッピーマンデー」やら聞く度に、「日本は祝日が多くていいなぁ。こっちももっと増やしてほしいなぁ」などと思っていましたが、実は日本はもっと祝日を作るべきなのです。
オーストラリアではいつでも希望する日に休みが取れる上に日本よりも年間の有給日数が多いので、祝日を多くしたりして「みんなと一緒」に休む必要はありません。
土日や祝日まで社員を働かせているようなブラック会社では祝日が増えたところで意味はありませんが、多くの会社は祝日は休ませてくれるでしょう。
私の会社では年間の有給は20日なので、それにオーストラリアの平均祝日数を足すと32日になります。
ネットで少し検索してみたところ、日本の平均有給取得日数は約9日らしいので、それに17日間の祝日を合わせると26日になります。
つまりあと6日程度新しく祝日を作れば休める日数的にはオーストラリアに追いつく計算になります。
(ただし日本の会社の場合は残業がすごいので総労働時間を計算に入れて比較したらさらに多くの祝日が必要になるでしょうけど)
もちろん日本でも有給がもっとたくさんあって休みたい時に休めるようになればそれがベストですが、現在の日本の会社にそれを望むのは到底ムリでしょう。
なのでまずは祝日を増やしてみんなで休んで少しでもマシな労働環境にしてはどうでしょうか?