社員の産休、育児休暇に対して素晴らしいサポートをすることを発表した会社についてのニュースがありました。
まずは記事から。
メルカリ、産休・育休の8カ月間も給与100%保障 新人事制度で「スタートアップでも安心して長期的に働いて」 – ITmedia ニュース
女性は産前の10週+産後約6カ月間の給与を、男性は産後8週の給与をそれぞれ100%保障する。また子どもの看護・家族の介護で休暇を取得する場合、5日間を特別有給休暇とし、最大で10日間まで取得可能とする。
日本では飛び抜けた待遇
これはすごい決断です。
以前の私の記事(えっ!育児休暇って当然・・・給料出るでしょ?)でも書いたように、日本ではまず育休を認める会社が未だにとても少ないのが現状です。
また、たとえ育休取得を認めている会社でも休暇中に給料が出ないところが多く、育休を取ると生活が厳しくなるために取得したくでもできないという人がたくさんいるそうです。
育児休暇をあげますと言われてもお金に余裕のある家庭しか取れないようなものでは全然意味がありません。
このような会社が多い中、男性にも女性にもこれだけの育休を認め、しかも100%の給料を出すというのは本当に素晴らしいと思います。
これだけの保証をしてくれる会社は他に日本にどれだけあるでしょうか?
しかも取得可能日数だけを見ると私の今のオーストラリアの会社よりも多いです!すごい!
こんな良い待遇を見ると思わずこの会社に転職したくなります。
まあ、きっと私のような日本の常識から外れたような人間は面倒だからいらないと言われるでしょうが(笑)
この会社の言っていることは本当に実現されるのか
ただし、こういう素晴らしいニュースに水を差すわけではありませんが、一つだけ気になることがあります。
それは、「本当にこれだけの休暇をスムーズに取らせてくれるのか?」ということです。
オーストラリアにおいては育児休暇の申請はとても機械的に行われます。
妊娠が分かったら病院からもらった検査の証明書を会社に提出して予定日を知らせます。
そして実際に出産となったらそこから会社が決めている日数分だけの休暇が自動的に与えられます。
ここで何日休んで良いかなどと交渉したりする必要はありません。
会社が従業員との契約で決めている最大日数を何も言わなくても取得することが出来ます。
これは男性の育児休暇も女性の出産休暇も同じです。
当然、女性の場合はこれに加えて「予定日の○週間前からは会社に来てはいけない」という規定があります。
そこには
「出産から何日間お休みを頂きたいのですが・・・」と申し訳無さそうに聞く
とか、
「それだと長過ぎるからもう少し早く復帰できないの?」
などという上司とのやり取りは一切ありません。
こういった会話は日本の会社ではいかにもありそうなシチュエーションです。
また、日本では「年次有給休暇日数10日」などと謳っていても実際に有給を取るとなると色々な嫌がらせがあったり、「無言の圧力」があったり、「渋々」取らせてくれたりするのが日本の会社です。
従業員のほうも「休暇を取らせていただく」という低姿勢で、同僚や上司に申し訳ない気持ちで肩身の狭い思いをしつつ取るのが常です。
そして取得日数の違いは多少はあっても、毎年の最大有給日数を完全消化できる会社はごく少数でしょう。
なので、このメルカリという会社が本当にこれだけの日数の休暇をオーストラリアの会社のように完全に何の障害もなく、さらに「気持よく」社員に与えるのかとても興味があります。
この点、どこかのメディアが追跡取材してくれたら嬉しいのですが・・・
頑張れ日本のベンチャー企業
オーストラリアでは大手ほどこういった福利厚生は充実しているのですが、日本では逆になってくるかもしれませんね。
この会社はベンチャー企業なので待遇を良くしてもっと良い人材を集めたいという思惑があるわけですが、日本の現状を考えるとこうやって小企業から発生して大企業がそれに影響されるという流れになっていくほうが可能性としてはありそうな気がしてきました。
こういった柔軟な決定ができるものベンチャーならではでしょう。
またこのような待遇の良いベンチャー企業が増えれば、今は就活時に名の知れた大手ばかりを目指す学生が、将来は中小企業を希望するようになるきっかけになるかもしれませんので、その点でも期待が持てます。
日本のベンチャー企業には今回のような良い変化や差別化を図ってこれからもどんどん頑張っていってもらいたいと思います。
そしてそのことが少しずつでも日本の会社を労働者にとって働きやすい、生きやすい環境にしていってくれることを願います。