「残業60時間以上で幸福度は上昇」→社員の疲れを麻痺させてでも働かせ続けるブラック企業

みなさん、残業なんてできればやりたくないですよね?

世間では残業代を目当てに残業をしている人もいるそうですが、それでも残業をして幸福には感じないはずです。

しかし、ある一定以上の残業をすると幸福に感じ始めるという研究結果が出たようです。

調査:残業60時間以上、健康リスク高くても幸福度は上昇 – 毎日新聞

幸福度が最も高かったのは、残業1~10時間未満(回答総数1046)で18.58ポイント、最低は残業45~60時間未満(同193)で16.98ポイント。残業60時間以上(同323)では17.54ポイントだった。会社への満足度や仕事への意欲も残業45~60時間未満で最も低かったが、60時間以上では一転上昇した。

一方、幸福度や満足度は高いのに、就業継続意欲は低くなるという矛盾した結果も出た。残業60時間以上で「この会社にずっと勤めていたい」と回答したのは28.8%で、60時間未満の層よりも5ポイント低い。「働くこと自体をそろそろ辞めようと思う」という回答も18.6%に上った。

健康リスクも高い。残業60時間未満で「食欲がない」と回答したのは7.4%で、残業20~60時間未満の2.3倍。「強いストレスを感じる」「重篤な病気・疾患がある」という回答も、残業時間が長くなるほど高くなった。

~(中略)~

中原准教授は「もう少し分析が必要だが、残業60時間以上の人はランナーズハイのような状況なのではないか。働くことを走ることに例えるなら、以前は中距離競走でよかったのに、人生100年時代の今は長距離競走。バランスのとれた走り方をしないと、ランナーズハイでは完走できない」と指摘している。

疲れを麻痺させて働かせるブラック企業

実は私はこの結果を見ても驚きませんでした。

なぜなら、日本のブラック企業で働いていた時にも同じような経験をしているからです。

最初は嫌々でも、長時間働き続けると、陶酔感に浸り始めるというか、「俺、こんなにたくさん仕事できてすげー」と言った感じになるんです。

上の記事でも言われているようにランナーズハイに似ているのかもしれません。

こういった現象が起こることはブラック企業の経営者たちも知っていて、それを利用して社員を奴隷のように働かせることにうまく利用していると私は思います。

今までにも何度かこのブログで紹介している、トンデモ経営コンサルタントの横山氏が書いた以下の記事もその一つの例です。

マインドフルネスよりアクションフルネス:日経ビジネスオンライン

この記事では、マインドフルネスを取り入れようと提案している部下に対して、社長が反対するという話です。

「大きなお世話だ。私の場合、脳を働かせておいたほうがストレスが減っていく。いいか、目の前に処理しなければならないタスクが5つある。放っておいたまま、瞑想なんかやれるか。瞑想すればするほどストレスがたまる」

~(中略)~

「大量行動によって雑念を振り払っている状態にもっていく。短時間で爆発的に行動量を増やせば超集中状態に入ることができる」

~(中略)~

「大量行動をやり切り、満たされている状態になれば、頭の中の思考ノイズや疲れた気分など吹っ飛んでしまうわ!君が瞑想に期待していることと同じだよ」

大量の仕事をさせることによって、ランナーズハイの状態に持って行こうとしているわけです。

よく、日本のサラリーマンが、仕事が辛いと感じているにも関わらず、「やりがいが~」とか「自己実現」などと言っているのには体の疲れが麻痺してしまっていて、陶酔感に浸っているという状況であると考えられます。

残業自慢」や「辛い仕事を頑張ってやってる俺、カッコいい」という考えはこういうところから来ているのではないかと思います。

ブラック企業も、コンサルタントも、日本人の「真面目で上に大人しく従う性格」や、休みを与えずにあり得ない程の量の仕事をさせて、「疲れている」という体からのメッセージを無視してランナーズハイの状態にさせるなど、社員の酷使の仕方に長けているとある意味感心してしまいます。

しかし、感心してばかりもいられません。

疲れを無視して仕事をし続ければ、うつ病からの過労自殺や過労死に繋がることは目に見えています。

自分の会社の自分の仕事で、「それをやりたくて仕方がない」「それをやっていて楽しくて仕方がない」というのであれば別でが、ただの雇われの身で、仕事が好きでもないのに疲れが麻痺するまで仕事をさせられているとしたら、それは「格好イイ」ことでもなんでもなく、単に会社と経営者にうまく利用されているだけの、自分を大事にしない大馬鹿者であるということに早く気付いたほうが良いでしょう。手遅れになる前に。

会社はあなたのことなど大切に思ってませんよ。

単に簡単に騙されて、安いお金で身を粉にして働いてくれるから重宝しているだけです。

代わりなどいくらでもいるので、あなたが過労で死んでも会社は痛くも痒くもないんですよ。

マインドフルネスの勘違い

ところで、上記の横山氏の記事を見る限り、氏はマインドフルネスに関して全く勘違いをしているようです。

彼はどうやらマインドフルネスのことを、「瞑想してリラックスして休むためのもの」だと思っているようです。

だから、「なんで金を払って社員を休ませないとならないんだ」と言う発言が出てくるわけです。

いかにも、「辛くても無理でも、やればできる」「とにかく社員を休ませるな」と言った、典型的な日本の精神論支持者の言いそうなことです。

詳しくは私の以前の記事「怒りや不安、後悔などのネガティブな思考に囚われないために~私が実践しているマインドフルネスの手法」で書きましたが、マインドフルネスは必ずしも休むためにするものではありません。

例えば、次々とトラブルが起こって焦って思考が正常に働かなくなってしまったときなどにも使えます。

こういう事態になったときは「客が怒ってる。どうしよう」「早く解決しなければ」「ここで失敗したら上司や会社が自分のことをどう思うだろう」「どうやって解決しよう」などと、次々と不安や心配が出てきて、落ち着いて解決策を考えるどころではなくなってしまいます。

こういう時にマインドフルネスを使うと、そういった「未来に起こるかもしれない出来事」を心配している思考を「現在」に戻してくることができるのです。

そうすることにより、冷静な思考に戻り、結果的にはより良い解決策をより早く考え出して実行することができるようになるのです。

マインドフルネスのことを知らないコンサルタントにとっては、ただの「リラックスをして休む」だけのツールに映るのでしょうが。

「グーグルやフェイスブックなども取り入れている」という事を知っている割には、なぜそのような世界の一流企業が取り入れているのかは全然勉強していないことがよく分かります。

「社員が健康で元気で冷静で、そして幸せでいてくれることが一番会社のためになる」とこれらの一流企業の経営者たちは知っているのです。

だから、あり得ない程の豪華な無料レストランやカフェやオフィスなど、日本人からすると過剰に見えるまでの福利施設も提供しているのです。

そして、だからこそ一流企業になれたのです。

「とにかく少ない給料で働かせ、残業させ、あわよくば死ぬほどサービス残業をさせ、疲れても麻痺させて仕事を続けさせよう」という日本のブラック企業のゴミ経営者には分からないことでしょうが。

そんな働かせ方をしたところで、会社の利益は大して上がらないということも彼らには分からないのです。

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かわずん
アンチ・ブラック企業ブロガー