日本のETCのシステムが何かおかしいと感じるのは私だけでしょうか?
この記事を書くことにしたきっかけは以下の記事です。
神戸新聞NEXT|総合|ETC不払いなお31万件 未挿入や期限切れ大半
高速道路の自動料金収受システム(ETC)の全国展開が始まって16年、料金が支払われないまま通過する「不正通行」は高速6社の合計で、ピークだった約96万件(2006年度)の3分の1にまで減った。それでもなお約31万件(16年度)に上り、国土交通省によるとその大半が「カードの挿入し忘れなどうっかりミスが原因」。運転前の確認で防げるはずで各社とも啓発活動に力を入れるが、根絶までの道のりは遠い。
ということで、この記事によると料金を支払わずに通過する理由は、カードの未挿入や挿し間違い、カードの期限切れ、車載器などの不具合などということです。
悪意があるケースでは、料金所の強行突破や開閉バーのすり抜け、通行区間の虚偽申告などがあるとのこと。
私がオーストラリアに渡ったのが今から16年くらい前で、ちょうど日本でETCが普及し出したころなので、実は私はあまり日本のETCについてはよく知りません。
なので、間違ったことを言うかもしれません。
もし、以下の記事内容で、「全く勘違いしてる」ということがあったら、指摘してもらえると助かります。
オーストラリアのシステム
まずは、日本のETCについて書く前にオーストラリアのシステムを紹介したいと思います。
オーストラリアの高速道路には私が知っている限り、人がいる料金所はありません。
料金を徴収するところにあるのはこんなゲートだけです↓
見て分かる通り、日本のようなバーや、道路上の設備は無くとてもスッキリています。
このゲートにはナンバープレートを読み取るカメラと、それぞれの車に取り付けられた車載器と通信する機械が設置されています。
車載器はこんな感じで、ETAG(イータグ)と呼ばれています↓
見た目がショボすぎて、日本の車載器しか知らない人は驚くかもしれませんね。
実は見た目通り、実物もとてもチープな作りです。
大きさはフリスクのケースを一回り大きくしたような感じで、厚みは一番分厚い箇所で15mm程度、重さは大体30グラム程度です。
内蔵されている電池で動くので取り付けは至って簡単で、フロントガラスにシールでペタッと貼り付けるだけです。
実は窓に貼り付ける必要も無く、ダッシュボードに置いておくだけでも問題無く認識されます。
私は剥がす時が面倒そうなのでいつも有料道路を通るときだけダッシュボード上に置くようにしています。
オーストラリアの料金支払い方法
このETAGはネットでオーダーするようになっています。
最初に自分のアカウントをネット上で作成して50ドルを払うと送られてきます。
ちなみに、この時点で50ドル分のクレジットが自分のアカウントに付与されるので、ETAGは実質タダということになります。
なので、日本の車載器と違って、オーストラリアではこの機械を「買う」というより、「もらう」という感じに近いです。
もちろん、送料も含めたコストはすべて通行料に含まれているわけですが。
アカウントを作るときには、自分の車のナンバーと支払い方法を登録する必要があります。
支払い方法はクレジットカードか銀行口座から直接引き落とされるようにするか好きなほうを選ぶことができます。
この車載器を載せた車がゲートを通過すると、ETAGが「ピッ」と音を発し、それが「料金をあなたのアカウントから徴収しました」という確認になります。
ちなみに、ゲートの通過時は一切減速する必要はありません。
オーストラリアの高速道路の制限速度は最高で110キロなので、みんな普通に110キロで通過していきますが、問題なく作動します(それを前提として作られているので当然ですが)。
上で説明した通り、この車載器は電池で動いているので電池が切れていた場合は当然動きませんし、私のようにダッシュボードに置いていると位置が悪かったりすると認識してくれないことが時々あります。
この場合はゲートに付いているカメラがナンバープレートを読み取って、アカウントから支払いが行われるようになっています。
このようにカメラで撮影されて請求された場合は75セント(約60円)の手数料がかかるのですが、まあ、大した金額ではありません。
ちなみに、頻繁に有料道路を使わない人はネットで無料でアカウントだけ作っておいて車載器は持たず、有料道路を使うときだけ通行料とこの手数料が選択した支払い手段から引き落とされるようになっています。
その他にも、30日間だけ、週末だけ、一日だけ有効なアカウントのタイプもあるようで、これらは主に旅行者などの短期滞在者向けに用意されているようです。
ちなみに、一つのアカウントには複数の車のナンバーを登録できるようになっているので、別の車に乗るときはETAGを持っていくだけで済みます。
そうそう、写真の通り料金所には通行を妨げるものは何もないので、全くアカウントを作らずに通行することもできるのですが、その場合は後からかなり高額の請求が来るので気を付けなければなりません。
実際、私はオーストラリアに来たばかりの頃、レンタカーで走っていて、有料道路と知らずに通ってしまい、そのままにしておいたら後日、レンタカー会社から60ドル近い請求が来ました。
とても短い区間しか通ってなかったのですが・・・
実はこのような場合でも、すぐに自分で電話かネットで支払いをすれば普通の料金だけで済むのですが、ルールを知らなければどうしようもありません。
つまり、私のような無知が一番高く付くということです。
この点だけは、「知らないで通行してしまう」ということがないので、日本のシステムのほうが優れていますね。
どう考えても効率が悪い日本のETCのシステム
オーストラリアのシステムの説明が長くなってしまいましたが、もし日本でオーストラリアのような仕組みを導入していたならば冒頭で紹介した記事で指摘されていたようなETCにまつわる様々な問題など起こっていなかったと思うのですが、どうでしょうか?
まずおかしいと思うところは、「バー」です。
バーがあることによって一々減速しなければなりませんし、渋滞も起こります。
減速に伴う追突事故などもたくさん発生しているようです。
オーストラリアのようなシステムであれば、そもそもバーが無いので、「すり抜け」のような行為も発生しようがありません。
もう一つは、車載器です。
ETCを利用するためにかかる初期費用を調べてみて驚きました。
2010年時点でのETC設置費用は、ETC車載機が6,000円~8,000円(売れ筋価格帯)、セットアップ料金3,150円、自動車への取り付け工事費3,000円~5,000円、合計で1万3,000円から1万5,000円程度である。
ひぇ~。使い始めるだけで1万5千円!
しかも、車載器を別の車に乗せ換えたい時もその度に「セットアップ店」に3000~5000円も払ってやってもらわないとならないなんて!
オーストラリアではネット上で自分で登録情報を変更して、ETAGを別の車のダッシュボードに置けばいいだけなのに。
私にはこの煩雑さと必要経費は全く理解できません。
「ETCカード」などという、専用のカードを使わないとならないという点もよく分かりません。
「普通のクレジットカードでいいのでは?」と思うのは私だけでしょうか?
そもそも、オーストラリアのようにオンラインで車の番号と支払方法を登録するシステムにしておけば車載器にカードを挿す必要はありませんし、その分車載器が簡素化できて安くなります。
あんな仰々しい「カード読み取り車載器」など必要無く、ETAGのようなチープな機器で済むのです。
そういうわけで、オーストラリアのシステムを見ている私からすると日本のETCは、
- 料金所の建設コストが高く
- 利用者のコストも高く
- バーの強行突破などの問題を発生させ
- 無駄な渋滞を発生させ
- おまけに追突事故まで引き起こす
という、全くをもって無駄が多くて効率の悪いシステムに映るのです。
あと、私は「エコ」というのにはうるさいタイプではありませんが、通過する度に減速しなければならない分だけエコでもありませんね。
人力でやっている料金所から比べれば完全停止しなくてよい分だけマシでしょうが。
日本全国で毎日何万台という車が料金所で減速と加速をしていると考えると、相当エコではありません。
日本はなぜこんな面倒で無駄なシステムを導入することにしたのでしょうね?
「技術立国」と呼ばれる日本が、オーストラリアでできていることが出来ないとは到底思えません。
恐らく、政治家や企業の利権が多く関わっているのでしょうが、それにしてもよくこれだけ無駄が多く、利用者の負担が大きいシステムを作ったものだと思います。