最近は色々な翻訳サービスが提供されるようになってきました。
もうかなり昔のことになるのですが、今でも思い出すのが私が日本で大学生だった頃に苦手な英語の和訳の宿題を少しでも楽にするため(笑)に買った翻訳ソフトのことです。
当時はやっと一般の人が買える価格帯の翻訳ソフトが出始めたばかりの時代で、有料のものしか無かったと記憶していますが、そのソフトを使って出力されてくる文章はそれはそれは酷いものでした。
その酷さは、出力された文章をまともな日本語に修正するのと、一から自分で和訳するのとどちらが楽なのか考えてしまうほどでした。
まあ、私が買ったのは1万円程度のものだったので文句も言えないのですが、当時売られていたもので高いもだと数十万円もするものもあったと記憶しています。
最近の翻訳ソフトの出来は結構すごい
最近のものはネットから無料で使えるのに、とても良くできたものがたくさん出てきました。
きっと私の大学生時代の数十万円するようなソフトよりも今の無料のもののほうが遥かに出来が良いでしょう。
最近見つけたものでその出来に驚いたのが以下で紹介されているものです。
【やじうまWatch】 TOEIC高得点者は涙目? TOEIC900点程度の和文英訳が瞬時に行える機械翻訳エンジン登場 – INTERNET Watch
機械翻訳事業を手掛けるみらい翻訳が、深層学習技術を用いたニューラル機械翻訳エンジンを発表した。現在、同社のサイトでデモが体験可能になっている。
これは同社と国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)との共同研究によるもので、深層学習技術の導入により、従来の統計的機械翻訳に比べて翻訳精度が大幅に向上していることが特徴。対象となるのは日英双方向の翻訳で、なかでも和文英訳においては「TOEIC900点程度のスコアを持つビジネスマンと同等以上の作文能力があることを確認」できたとアピールしている。
今時の最先端の翻訳ソフトはどの程度のものだろうかと興味をもったので早速この「みらい翻訳」を試してみました。
英和はまだ少しおかしなところが見受けられますが、引用文でも指摘されている通り、和英に関しては私が試してみた限りではかなり良くできているのではないかと感じました。
通訳ソフトも
さらに、最近は文章を翻訳するだけでなく、音声を通訳してくれるサービスも出てきています。
Skypeの「リアルタイム翻訳」が日本語に対応 実際の使用感は – ITmedia NEWS
日本マイクロソフトは4月7日、同社の翻訳技術「Microsoft Translator」において、テキスト翻訳と音声翻訳の両方をサポートする言語に日本語を追加したと発表した。
通話中に話した言葉が、他言語に翻訳されてすぐに相手へ伝わる、Skypeの「リアルタイム翻訳」など、同技術の音声翻訳機能を活用したアプリやサービスで日本語が利用できるようになる。
~(中略)~
Skypeのリアルタイム翻訳は、通話中に自分の話す言語と相手の他言語を双方向で即座に翻訳し、テキストと機械音声で出力できる。
~(中略)~
実際にSkypeのリアルタイム翻訳を試してみたが、紹介映像のように完璧ではなく、言葉の認識に若干甘さが感じられた。他社の音声アシスタント機能を利用するときのような、「機械に言葉を認識させる」という意識を持ちながら喋る感覚は拭えない印象だった。
~(中略)~
Microsoft Translatorの音声翻訳機能は、音声認識用と機械翻訳用の2つのAI(人工知能)を組み合わせることで実現したという。音声認識用AIは、認識した音声をいったん全てテキストとして生成し、その中から「えーと」といった「つなぎ言葉」などを削除、句読点などを追加して言葉や文脈が整えられた文章を作成する。続いて機械翻訳用のAIが、整形された文章全体の文脈を利用して、より正確な翻訳を行い、最後にテキストを音声に変換するという。
通訳の場合は、翻訳の前に使用者が言った音声を正しく認識するところから始めないとなりませんから、更にハードルが高くなるでしょう。
少し話が脱線しますが、私はAndroidスマホを使っているのですがスマホの小さいキーボードを押すのが億劫でできる限り使いたくないと思っているので、チャットの文章は音声で入力することが結構あります。
使ったことがない人のために少し説明すると、この音声入力機能はかなり優れていて、日常的な文章で特殊な言葉が入っていないものであればかなりの確率で正しい漢字が使われた文章を生成してくれます。
漢字変換は前後の文字をきちんと認識しているらしく、一度間違った漢字に変換されても、その一瞬後には正しいものに自動で変換されていく過程が見られることがあります。
また、周りが結構騒々しかったり、他の人の声が入っていてもちゃんと自分の声だけを拾ってくれます。
難点は、文章の途中で少し考えてしまい発声が途切れるとそこまでの文章が入力されてしまうところと、文章の区切りの悪いところから再入力することになった場合はうまく変換してくれないことです。
これを防ぐために、最初に文章を頭で考えて間違えずに一気に言わないとならないのが少し面倒です。
でも、このような問題もいずれは解決されていくのではないかと思います。
私が初めて音声認識のソフトを使ってみたのがいつの頃だったか思い出せませんが、初期の頃のものはまずは自分の声をガイダンスに従って認識させていくところから始めなければなりませんでした。
そうやって使い始めるのにひと手間かかるにも関わらず、認識率が低く、認識しても漢字変換が間違っていたりして、とても実際に使いたいと思えるシロモノではありませんでした。
それから比べると今のものは比較にならないほど認識率が高まり、誤変換が減り、十分実用の域になってきていると思います。
これまでの急速な進化を見ていると、音声入力機能も、隣に人間の書記係が居て入力するように、「えーっと、あ、やっぱりそうじゃなくて・・・」とか、臨機応変に指示と入力したい文章をきちんと認識して入力してくれるようになったりするかもしれないと期待してしまいます。
言葉の壁が無くなったら
私はこのような自動通訳、翻訳ツールが将来的にもっと発展し、ドラえもんの「翻訳こんにゃく」のようになってくれないかと思っています。
英語を話す人たちは、「仕事が見つかったから」と言って結構別の国に引っ越していったりしています。
例えば、私の会社の同僚はイギリスから引っ越してきて既に5年以上オーストラリアに滞在しています。
逆のパターンでは、私の知り合いのオーストラリア人は、「他の国でも仕事をしてみたい」と言ってオーストラリア国外の仕事を探しまくり、最終的にイギリスに行きました。
もちろん、国を跨いでの引っ越しというのはどこの国であっても大変なことには変わりありませんが、言葉の壁が無いということは非常に大きなことです。
日本人が転職しようと言ったときに国外が選択肢に入ることはまずないでしょう。
しかし、言葉の壁が無くなれば一気に選択肢が増えることになります。
上のインターネットウォッチの記事のタイトルは「TOEIC高得点者は涙目?」ですが、確かに今まで必死になって英語を学んできた人からしたらその努力が無駄になってしまうかもしれないので涙目になるかもしれません。
私も必死に英語を勉強してきました。
でも、そもそも私自身は英語が好きではないので(笑)もし英語を話さなくてもオーストラリアで生活できるようになったら涙目どころか大喜びすると思います。
英語の壁が無くなればきっと日本国内にいる人達はどんどん海外に出ていくでしょう。
なぜなら日本のような酷い労働環境で会社に搾取されながら働かなくても、海外にもっとフェアな環境で働ける会社がたくさんあるのですから。
今の能力に見合った給料がきちんと支払われて、噓偽り無しの完全週休二日で、残業はほとんど無く、当然サービス残業も無く、パワハラが無く、上司や客にペコペコしなくても良い会社に行けるとなったら転職する人はきっとたくさんいるでしょう。
誰かから、「日本と比べて海外の労働環境はいいよ」などと聞かなくても、英語のニュースやネットの情報を直接読んだり、英語を話す人と直接会話すれば直接そのことが体感できるようになるでしょう。
そうやって人材が海外に出ていくようになったら、今まで日本語という壁に守られて好きなだけ労働者を酷使していた日本のブラック企業は人材不足で淘汰されていくことでしょう。
生活やビジネス上で、異なる言語を使う人同士が一切問題なくコミュニケーションを取れるようになるまでにはまだまだ時間がかかるでしょう。
しかし、上記で示したように、翻訳技術は急速に進歩してきていますから、将来的にはきっとそれは可能になると思います。
それが実現した時、日本の企業が人材不足で潰れていくのか、或いは待遇を欧米並みに改善させて生き残っていくのか、楽しみです。