日本ではよく大学生活のことを、「社会人になって定年で引退するまでの40年間は仕事中心の生活になるから、その前の大学の4年間は人生で最後の遊べる期間」などと言う人がいますね。
それとは逆に、「海外の大学は入学するのは簡単だけれど卒業するのは難しい」という話を聞いたことがある人も多いと思います。
オーストラリアの大学もまさにそうでした。
ちなみに、私は日本では文系の学部卒なのですが、オーストラリアで日本人の理系卒の友達と話していた時に、「日本の大学はこっちの大学に比べたら楽過ぎるよね」と言ったら、「文系は楽かもしれないけど、日本だって理系は相当大変だよ!」と言われてしまったことがありました。
そういうわけで、日本の大学も楽なところばかりではないと気付かされたのですが、全体的にはやはり欧米の大学と比べると楽なところが多いのではないかと思います。
とりあえずどちらが大変かという話は置いておいて、今回は私がオーストラリアで体験した大学生活の話をしましょう。
私がオーストラリアの大学に入学したのはかれこれ13年も前のことになりますので、コースの内容など、細かいところは今とは違う部分もあるかもしれません。
ただ、大まかな大学生活という点ではきっとさほど変わっていないのではないかと思います。
オーストラリアでは教育は重要産業
オーストラリアには様々な国からたくさんの留学生が来ます。
特にアジアの国から来る生徒が多いのですが、地理的に近くて来やすいという理由の他に、彼らの国の大学よりもオーストラリアの大学の教育システムのほうが質が高いという理由があるようです。
それと比べると、日本にはあり余るほどの数の大学がありシステムもしっかりしているところが多いので、わざわざオーストラリアにまで行く日本人はほとんどいませんね。
あと、日本人が海外の大学に行くとしたら大概アメリカでしょうからね。
日本人はなぜかアメリカ大好きですからね(笑)
「海外留学=アメリカ」みたいな(言い過ぎ?)
英語が公用語だということもオーストラリアが海外からの留学生に人気がある大きな理由の一つでしょう。
それから、オーストラリアでは教育は重要産業の一つと位置付けられているので、国は大学の質や生活上の安全面などには特に注意を払っているようです。
そうそう、人種差別に関してもかなり敏感です。
特定の国の人が差別されて大事なお客さんが来なくなっては大変ですからね。
大学のコースにかかるコスト的には、現地の大学生の授業料は結構安いようで、奨学金制度も充実しています。
一方、留学生からはたんまりとお金をむしり取っています。
私も卒業までに生活費と合わせて相当貯金が減りました。
まあ、上に書いた通りオーストラリアにとってはビジネスなので「学費が高い」と文句を言っても仕方がないですね。
そうは言っても、アメリカの大学ほどは高くありませんが。
学費がアメリカと比べて安いというのもアジアの国からの留学生がたくさん来る理由だと思います。
留学生の入学は比較的簡単
現地の学生と留学生では入学するときの条件が異なります。
現地の学生は高校の時に受ける試験の成績で行ける大学(学部)が決まるようになっているので、日本のように大学ごとの入試というものは無いらしいです。
では海外からの留学生はどうするのかと言うと、基本的には英語力を証明するためのIELTS(アイエルツ)という試験を受け、大学が学部ごとに定めている点数をクリアするだけで入学することが出来るようになっています。
(大学や学部によってはIELTSの点数以外にも要求される資格や経験があることもあります)
この英語のテスト、私のように英語が得意ではない人間にとっては簡単ではありませんが、何度も受けて再挑戦することができるので、長期戦で頑張って最終的に必要な点が取れれば基本的には希望する大学に入学することができるようになるということです。
つまり、基本的には英語さえできればどの大学でも入学できてしまうのです。
でも、「入学するの簡単で良かったー」と喜ぶのはまだ早い。
他の多くの海外の大学と同じく、オーストラリアの大学も、「入るの簡単、出るのは大変」なので、入ってからが地獄の始まりなのです。
課題、課題また課題
大学の学期は前期と後期に分かれています。
私は2年の修士コースを取ったのですが、このコースではそれぞれの学期で最大4科目ずつ取ることができるようになっていて、卒業するには全部で16科目取る必要がありました。
つまり、前期後期とも最大科目数の4科目を2年間取って全てパスすれば最短で2年で卒業できるということです。
それから、年末の夏休み期間中(こちらは季節が逆なので年末が夏になります)にサマーコースというのがあり、希望すれば1科目だけ取ることができるようになっていました。
学期が始まって最初の週はどの科目もイントロダクションをやり、その科目についてや進め方などについての説明がされるのですが、学期中にリラックスできるのはこの第一週目だけです。
次の週からは早速課題が出されます。
課題というのはレポートだったり、実習だったりグループワークだったりと様々です。
私の場合はコンピューターサイエンスのコースだったので、実際にプログラムを書いて提出するタイプのものが多くありました。
また、作成したプログラムのデモで、先生と一対一で会い、実際の操作や説明をしたり質問に対して答えたりするものもありましたし、パワーポイントなどを使って複数の採点者の前でプレゼンをするものもありました。
評価は日本だと「優、良、可、不可」という4段階評価ですが、オーストラリアでは、「HD、D、C、PO、F」という5段階評価になっています。
HDがHigh Distinctionと呼ばれる最高の評価、FがFailで落第を意味します。
私が経験した課題は大概いくつかの項目に別れていて、「最初の2つの項目までできていたらPO評価」、「全ての項目が達成されていればHD評価」などという感じでした。
Cかそれ以上の点数を貰うには授業で教えられているものだけでは不足で、自分で色々調べてやらなければならないものばかりでした。
ちなみに、これらの課題はどれ一つとして簡単に終わるものはありませんでした。
課題は1科目につき平均3つ程度出されることが多かったです。
1学期中に4科目取っている場合は12個の課題が次々に出されます。
たまに課題が4つ出される科目とかがあったりして、そんな時は学生はみんな文句を言っていました。
この、次々に出される課題との戦いが本当に大変で、学期中は寝ても覚めても課題のことばかり考えていました。
あまり一つの科目の課題に時間がかかりすぎると他の科目の課題が間に合わなくなってしまうので、一日、一週間の時間配分をよく考えてスケジューリングすることがとても重要でした。
それぞれの課題には締め切り日時が厳格に設定されていて、それ以降になると例え1分遅れても受け付けてくれません。
そして、1つの課題を提出できなかったり、Failの評価になるとその科目は即落第となります。
出来上がった課題の提出方法は、紙で印刷したものを出す時もありましたが、オンラインで提出するものがほとんどでした。
オンライン提出の場合は夜の11時59分59秒が締め切りなどというものが多くありましたが、そのように締め切りが夜中になるときなどはたくさんの学生が大学内にある24時間アクセスが可能なコンピュータラボに滞在して、締め切り時間ギリギリになるまで作業をしていました。
そして、締め切りの次の日の朝には床で寝ている何人もの学生を見かけたものです。
それはまるで戦い疲れた戦士達のような光景でした(笑)
一難去ってまた一難
それぞれの科目の課題が終わるか終わらないうちに今度は科目ごとの最終試験の日程が発表されます。
この頃になると、課題の追い込みと試験対策で追われて遊んでいる時間など全くありませんでした。
当然ながら試験の日程は学校側が決めるので、学生側からすると完全に運任せにするしかないのですが、運が良ければ自分が取っている科目がそれぞれ1週間程度あいている時がありました。
こういう場合は最初に来る科目の対策だけをして、それが終わったら次の科目の対策という感じでできたので比較的楽でした。
しかし、日にちが連続していたり、同じ日に試験が重なる科目があったりすると限られた期間内に複数の試験勉強を並行して行わなければならなかったのでとても大変でした。
そして、試験が終わって数週間経つと点数がが出ます。
課題と試験の点が合計されて、それぞれの科目ごとに冒頭で紹介した評価が付けられます。
ちなみに、日本のように追試というものは無く、点数がPO(Pass Only)評価に足りなければ即落第でした。
私はある教科の試験で落第してしまったことがありましたが、それまでの課題などを頑張ってやってきただけに、一回の試験でそれまでの苦労が水の泡になってしまい、とても悲しい思いをしました。
大学を終えて
大学が大変だったのは私の英語力にも問題があったからというのは否定しませんが、現地の学生にとってもやはり大変だったようです。
というのも、大学のある学生アドバイザーが教えてくれた話しですが、彼女の元に来るのは留学生だけでなく現地の学生もかなりいるということでした。
あるオーストラリア人の女学生はコースに付いていく自信を失い、泣いていたそうです。
コース自体が生易しいものではないので、英語のハンデがある留学生は次々とドロップアウトしていきます。
大学で知り合った私の友人もかなりの数の人達が途中でより簡単なコースに変更したり、辞めていったりしました。
ちなみに、日本の大学のようにサークルなんかもあったようですが、私はとてもではないですがそんなものに参加している余裕はありませんでした。
私の周りでもサークル活動をしている人を見かけたことがなかったのですが、「サークル活動をする余裕のある人達はどれだけ優秀なのだろう?」といつも思っていました。
少なくとも、日本の多くの大学生のように飲みとバイトと恋愛が学生生活の大半を占めているなどということはオーストラリアの大学では無いと思います。
ちなみに、私はこの大学生活中にストレスから来る症状をいくつも経験しました。
頭痛がずっと続いたので何日間も痛み止めを飲みながら勉強したり。
息を吸い込む時に胸が圧迫されたような感じでうまく息ができなかったり。
悪夢を見て全身汗びっしょりになって夜中に飛び起きて、全部着替えてまた寝たことも何度かありました。
全てストレスから来る症状なわけですが、こんなに連続して様々な症状に見舞われたのは人生で初めてでした。
「もしかしたら何か重大な病気かも?」と心配になったこともありました。
そんなわけで、それぞれの学期末に全ての科目の試験が終わった時の開放感はものすごいものがありました。
ましてや、コースを修了したときの嬉しさは言葉には表しきれませんでした。
卒業が決まったときには、「もうこれ以上課題や試験のことを考える必要はないんだ」と心からホッとしたものです。
オーストラリアでの大学生活は人生において大きな経験になったことは間違いありません。
しかし、私にとってはあまりにも大変だったので、今後の人生で二度と海外で大学に入りたいとは思わないというのが正直な気持ちです(笑)
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