今年もまた新卒の人達がこれからの長い仕事人生を始める時期になりました。
毎年この時期になるとネット上では新卒の人の発言が色々と話題になりますが、今年特に目に留まったのは、「明日から懲役40年が始まる」というものです。
この発言やそれに関連する記事を既に読んだ人も結構いるのではないかと思いますが、これから定年で退職するまでの約40年間の人生の時間を揶揄して「懲役40年」と言っているわけです。
私にはこの発言をした人の真意は分かりません。
もしかしたら単に今後40年も働くのが長くて大変だと思っての発言かもしれません。
しかし、単に長いというだけで「懲役」などという言葉を使うとは私は思えません。
私はこの「懲役40年」発言を見たとき、これから憂鬱な気持ちで社会人になる人たちのことを考え、心から同情してしまいました。
しかし、この発言に対して否定的な見方をする人もたくさんいるようです。
曰く、
- 自分で頭を下げて雇ってもらったくせに懲役40年とは何事か。
- 就職しなければ罰せられるような言い方はどうか。嫌ならやめればいい。
- 懲役40年などと言うのなら最初から就職するな。
などなど。
他にも色々ありましたが、否定派の意見は主にこんな感じでした。
オーストラリア社会では聞かれない発言
とりあえず、いつものように私が住んでいるオーストラリアではどうなのかということからお話ししましょう。
世界中どの国でも同じことですが、オーストラリアでも「仕方がなく」働いている人はたくさんいます。
これは多くの人にとって仕事というものが「生活をする上で必要なお金を稼ぐため」というものである以上、仕方のないことだと思います。
もちろん、「仕事が好きで働くのが楽しくて仕方がない」という人もいるでしょうから、そういう人には当てはまらないことですが。
かく言う私も自分がやりたいと思っている仕事をやってはいるものの、楽しいから仕事をしているというよりは、生活のために仕事をしているクチです。
オーストラリア人の中には、毎月の光熱費や生活費を稼ぐためにぎりぎりの生活をしているため、全くやりたくもない仕事を本当に仕方がなくやっている人もたくさんいます。
しかしオーストラリアにおいて、大学を出てこれから就職しようとしている新卒が、「これからの人生は刑務所と同じ」とか、「これから何十年も働くなど懲役刑と同じ」などと夢も希望もない発言をしているのを聞いたことがありません。
就職が懲役と感じる原因
ではオーストラリアでは聞かれないこのような発言がなぜ日本で聞かれるのでしょうか?
私から言わせれば、多くの日本の新卒が就職を「懲役」だと感じるのは当然だと思います。
原因はいくつもあります。
まずは最近話題になった電通の若手社員の過労自殺を始めとする過労死。
それから、これまた最近話題となったヤマトの社員のパワハラが原因の自殺。
そしてまたまた最近話題になったばかりの、「残業は月100時間未満までならOK」という規制なのか過労死推進法なのか分からない政府が作った新規制。
こんなニュースばかりをずっと聞かされて育ってきた若者に、「これから始まる社会人としての人生に希望を持て」などと言うほうが無理があると思いませんか?
このような、若者が希望を持てない社会を作り上げてきた大人たちが偉そうに、「『懲役40年』とは何事か」などと言う権利があるとは到底思えません。
若者を批判する前に、そんな社会を作った自分たち自身を批判するべきでしょう。
「嫌なら辞める」が容認される社会であれば苦労はしない
次に、「嫌なら就職するな」「嫌なら辞めろ」という意見について。
これは、「なぜ嫌になるのか」という過程を一切考えず、神経反射的に相手の発言に反応しただけのとても乱暴な意見です。
「就職をしなければ罰せられるわけではない」のに、多くの学生が「嫌だろうが何だろうがとにかく新卒で就職を成功させなければならない」と感じて就職活動に血眼になるのはなぜでしょうか?
やっと決まった就職先が嫌な職場だったとしても安易に辞めることができないのはなぜでしょうか?
それは、「新卒カード」なる言葉が存在し、新卒時にストレートで就職し、最低でも3年間は働かないと次の就職口が見つけにくくなるという「暗黙の社会のルール」があるからです。
罰せられることはなくとも、新卒カードを逃したり、すぐに辞めた場合、それからの人生がとんでもなく厳しくなるという社会においては、これらのレールから外れることは彼らにとっては罰も同然であり、簡単に辞めるわけにもいかないわけです。
オーストラリアで「懲役」発言が出ない理由
日本の学生が社会人になるにあたって憂鬱になる原因は他にもたくさんありますが、主な原因は大体以上のようなところにあるわけです。
オーストラリアでは「新卒カード」も「3年縛り」もありません。
短期間で会社を辞めたとしても、辞めた理由が正当であり、あたなの能力や適性がその会社で必要とされているポジションに合致していれば次の会社でもきちんと雇ってくれます。
しかも、「正当な理由」というのは日本で求められるような、「本音を隠した」立派な理由である必要はありません。
正直に、「前の会社の給料が低いと感じたので、もっと待遇の良いところを探すことにしました」「それと比べると御社の給与はとても納得のいくものなので是非よろしくお願いします」などという理由を言っても全然問題ありません。
また、大学を卒業したからといってすぐに就職する必要もありません。
ボランティアを暫くやっても良いですし、暫く旅に出たりしても構いません。
そしてそれらのことが採用時にマイナスになることはまずありません。
もちろん前述したとおり、採用してもらうためにはその会社が欲している能力や学位があることが必須ですが。
ちなみに、パワハラやセクハラの問題については、オーストラリアでももちろん存在します。
しかし、日本のように上司からみんなの前で罵られたり暴力を受けたりなどということはまずありません。
オーストラリアではハラスメントがあった場合はそれを監視、調査する機関に相談すればすぐに調査されますし、そのことが明るみに出ればその会社は法的にも社会的にも大きな制裁を受けることになります。
そのため、特に大手の企業ではこの手の問題についてはとても敏感です。
私が現在働いている会社は特にそのような事柄に関しては気を使っていて、ハラスメントを受けたり、ハラスメントの現場に遭遇した場合はどのような行動をするべきかなどということを教える2時間ほどのワークショップがあり、全社員必ず受講しなければならない決まりになっています。
大人たちは若者の批判の前に己が反省するべき
以上のことから、オーストラリアと比べて、日本で社会人として働き出す際に憂鬱になる原因がいかにたくさんあるのかということが分かってもらえたかと思います。
もちろん、世界的に見てオーストラリアが労働者にとってベストな国というわけではありませんので、オーストラリア以外の(特に欧米の)国と比べても日本の労働環境は相当酷いものだということです。
特に、パワハラや暴力などという行為は人権を踏みにじるのと同じと言って良い大きな問題です。
強制的な残業、パワハラ、セクハラ、過労死などと言う問題において日本は先進国の中でも最低レベルの労働環境でしょう。
「懲役40年」と言う若者を批判する大人たちは、あなた達こそが新卒の若者が希望ではなく絶望を感じるような社会を作り出してきた元凶であることを認識し、猛省し、少しでもこのような状況を改善していく努力をしていくべきでしょう。
「嫌なら辞めろ」だの、「頭を下げて採用してもらったくせに」だのという批判は全くの見当違いであり、笑止千万もいいところです。
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