私が今働いているオーストラリアの会社を辞めた女性の同僚が1ヶ月ほどしたらまた会社に戻ってきました。
その同僚は私とは違うチームで働いていたのですが、同じITの部署だったので時々話をしていました。
そしてその同僚が入社してから2ヶ月ほど経った頃だったと思いますが、ITの部署のマネージャーから不定期にメンバーに送られる連絡メールの中でその同僚が辞めることになったと書かれていました。
まだ入ったばかりだったので本人と話す機会があった時に「もう辞めるの?どうしたの?」と聞くと、特に仕事や会社に不満があったわけではなく、「今よりももっと給料が良くて私のスキルにマッチした仕事が見つかったから」と答えてくれました。
オーストラリアでもブラック企業?
そして彼女は予定通り新しい会社に移って行きました。
・・・のですが、1ヶ月も経たないうちにまたマネージャーからのメールでその同僚が戻ってくることになったというニュースを聞きました。
個人的には「なんだそりゃ!(笑)」といった感じでした。
そして先日その同僚が戻ってきてすぐに話す機会があったので「何があったの?」と聞いてみました。
彼女曰く、体調を崩して数日間休んだときに起こったことがその会社を辞めようとしたきっかけだったとのことでした。
その時はきちんと医者から「この人は体調が悪いため治るまでは業務はできません」という証明をもらって会社に提出していたにもかかわらず上司から「君が休んだことでプロジェクトの進行が滞った」「やる気があるのか?」などと色々と責められたということです。
「プロジェクトが遅れた」と言っても、そのプロジェクトには期限は設定されていなかったし緊急の要件もなかったらしいです。
その上オフィスの雰囲気が暗く誰も話もしないで仕事をしていたりしたこともあり、入社してすぐに違和感を感じ始めていたようです。
またこれとは全く別の話ですが、別の会社で働いている私の知り合いが、「会社の上司が良くなくて次々と人が辞めていっている」「私も早く辞めたい」という話をしていました。
どちらの会社も結構名の知れたところなのですが、「オーストラリアでも結構ブラックっぽい会社があるのだな」と思ってしまいました。
これらの例の場合は会社そのものというよりは上司などの問題という面が大きそうですが。
日本ではなぜネガティブな退職理由を言ってはいけないのか?
しかしそんな上司がいる会社でもオーストラリアではブラックかもしれませんが、これしきのことでは日本のブラック会社の鬼畜さと比べたらブラックどころか「グレー」にもならないでしょう。
過労死や自殺者を出しても平気な顔をして嘘をついて罪を逃れようとしたりする日本のブラック企業と比べれば本当に可愛いものです。
ところで、オーストラリアの良いところは「ブラック会社に就職してしまった」といった場合でも上記の私の会社の例のようにポジションが空いてさえいれば正直な理由を伝えて元の会社に問題なく戻って来れるところです。
日本の会社では一度辞めたらもう戻ってくるなと言われるところはいくらでもあります。
(もっともそこがブラック企業だったりしたら絶対に戻りたくはありませんし、そう言うところに限ってブラックですが)
日本では新卒以外の場合は面接時にまず必ず「前の会社を辞めた理由は何ですか?」と聞かれます。
これはオーストラリアでも同じことで、まず間違いなく聞かれることです。
しかし、日本の習慣がおかしいのはこの後です。
日本では例えサービス残業などで違法なことをさせられていて会社側が悪かったとしても否定的なことを言うことは良くないこととされています。
なぜそんな常識があるのか意味が分からないので、説明してくれているサイトを探しました。
面接の質問13–退職理由を聞かせてください。-転職面接の対策・質問・マナー
ネガティブな理由を退職理由として回答しない
「人間関係が良くなかった」、「残業時間が多かった」、「給料が安かった」などのネガティブな理由を退職理由として回答しないことです。それは、「自社でも同じことが起きたら同じ理由で退職していくかもしれない」と面接官が考えるからです。人間関係のトラブル、残業、休日出勤、給与額の変更などは会社の状況によって、いつでも起こりうる可能性があります。だからこそ、そのような退職理由は転職面接では通用しないのです。人間関係で退職した場合でも、表向きは円満退職であったことを貫きましょう。
~(中略)~
退職理由の質問の悪い回答例
前職では、残業時間が多く、毎日帰宅する時間が遅く、その割には給料もあまり良くなかったため、退職を決意いたしました。
上記の回答例では、「残業時間が多い」ことと「給料が良くない」ことが退職理由として述べられていますが、このような類の不満は転職面接ではなかなか納得されるものではありません。仮に事実であったとしても、そのようなネガティブな退職理由は言わないほうがよいでしょう。まずは、仕事内容の面で、志望動機につながる退職理由がないか探すことが必要です。
人間関係は仕方がないとしても、「残業、休日出勤、給与額の変更などは会社の状況によって、いつでも起こりうる可能性があります。」って・・・そのようなことを当然の前提としている日本の会社は本当にゴミです。
今までも何度も書いてきましたが、残業や休日出勤などというものは本当に非常事態の時のみ行われるべきものです。
オーストラリアでも面接時に前の職場の否定的なことを言うのは得策ではありません。
しかし、その会社が違法なことをしていたのなら話は別です。
(上の例では残業がサービス残業かどうか明確には書かれていませんが、残業が多くて給料が低いならその可能性は大でしょう)
応募者からそような退職理由を聞いて「同じ理由で退職するかもしれない」などと思う会社だったらこちらのほうから願い下げです。
違法企業から命からがら逃げてきたと思ったらまた違法ブラック企業だったら目も当てられません。
そもそもその面接官が「うちはそんなブラック企業ではないから大丈夫!」と自信を持てないから、「人間関係が悪いとか残業時間が多いとか給料が安いとかいう理由でうちも辞められたら困る」と思うわけです。
日頃から残業が無くて給料も悪くない会社であれば、応募者が「サービス残業が多かったから辞めました」と言ってきても問題は無いはずです。
本当の退職理由をうまく隠して採用されたところで、前職と同じ不満をもって結局また辞めることになったら会社も応募者側も不幸です。
本当の退職理由を隠したからといって本人の不満が変わるわけでもありませんから、新しい職場でも同じように不満に思えばすぐに辞めるでしょう。
そう考えると、正直に「前の会社ではサービス残業が多くて辞めました」と言って、面接官が「うちもサービス残業はありますからうちは止めたほうがいいのではないですか?」と言ってくれたほうがよほど時間を無駄にせず済みます。
隠し事をしたり嘘をついて採用されてもお互い良いことはない
悪口ばかりを言う人は確かに印象が悪くなるのは理解できます。
しかし本当に悪いのは誰だったのかという事実まで隠して意味があるのでしょうか?
もし前の会社が明らかにおかしかったのならば事実を客観的に述べて、その上でポジティブな志望動機を述べることがなぜ悪いのでしょうか?
例え事実であってもネガティブなことを全て隠してポジティブなことだけを言わないとならないという社会的風潮はどこかおかしいと言わざるを得ません。
このようなバカバカしい風潮があるせいで、例え元の会社がブラックで死にそうになって辞めたとしても正直に「前の会社はブラックだったので退職しました」とは言えず、何かしら前向きな退職理由を作り出して述べないとならないわけです。
こういう意味の無いルールはお互いのためにもなりませんので無くなったほうがより建設的な採用/就職活動になるでしょう。
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