今日は面白いツイートを見たのでそれを紹介したいと思います。
フランス人と結婚した人の話として「昼休みは2時間、有給は2ヶ月、バカンスの国の国民はいいね」と配偶者に言ったら「我々はその権利を勝ち取るために不断の努力をして来た。ただ口を開けてお上が施しをくれるのを待っている国民に言われたくないね」と返されたらしい
権利は勝ち取るもの
— Amelie💔 (@chochouAmelie) 2018年12月13日
「配偶者に対して本当にそんな口調で言ったの?」とかいうコメントもありますが、本当にこんな発言があったのかは別として、これはとても日本人に考えて欲しい意見です。
豪州では労働者の力が強く、権利が守られている
ヨーロッパの国の人達は数ヶ月の休暇を取って旅行をするという話は聞いたことがある人も多いと思います。
ヨーロッパほどではありませんが、オーストラリアでも1ヶ月くらいの休暇は珍しくもありませんし、私が勤めていた会社でも各種の有給を貯めて半年くらい休みを取る人も何人か見ました。
ちなみに私が取った最長の休暇は6週間でした。(残りは退職時に全額払い出してもらいました)
オーストラリアで働いて感じたのは、労働者の力がとても強いことです。
労働者は「会社と対等の立場」で会社と給料や休暇について交渉します。
会社もそのことを当たり前と捉えていて、交渉したからと言ってパワハラをされたり、何か不利になることは基本的にありません。
日本で同じことをしたら、酷い会社だったら「お前は給料に見合った利益を出していると思っているのか」などを始めとした暴言を吐かれたり、左遷されたりしかねません。
そして、オーストラリアで感じたもう一つのことは労働者の権利がしっかりと法律で守られていて、罰則が厳しく、違反した企業には罰則がきちんと適用されていることです。
オーストラリアにもたくさんの企業がありますから、法をすり抜けて違法な雇用をしている企業は当然あります。
しかし、あくまでも私が知っている限りですが、違法なことをしている企業にはきちんと重い制裁が課せられています。
以下のツイートは私が最近見つけた事例の一つです。
豪州のピザ屋が4人の留学生を違法な賃金で雇用していたとして起訴されたニュース。
彼らの時給は12豪ドル(950円)でオーストラリア人スタッフより6ドル時給が低かった。
罰金はお店を運営している会社が$54000×4人分で約1700万円。
店のオーナーは$10800×4人分で約340万円。https://t.co/xpGkOMFXyS— かわずん@アンチ・ブラック企業ブロガー (@kawazn_aus) 2018年10月25日
そして冒頭のツイートの通り、こういった労働者の権利が守られ会社と力が対等であるのは、労働者達が今まで権利を主張し、それを獲得し、守るための努力をしてきて、一人ひとりがそれをきちんと行使しているからなのです。
日本は暴動も起きず治安が良くて良い国?
冒頭のツイートのコメントの中には、「フランスは何かあるとすぐに暴動を起こしたりしているけど、その結果治安はどうなってると思うの?日本と比べていいわけ?」といった意見もありました。
偶然、今日そんなニュースがありました。
ハンガリー、「奴隷法」可決で超党派が大規模デモ 参加者1万5000人超 写真11枚 国際ニュース:AFPBB News
ハンガリーで時間外労働の年間上限を大幅に引き上げる労働法改正案が可決され
~(中略)~
政府に抗議する超党派の大規模デモが行われた。一部の参加者が警官隊と衝突する一幕もあった。
~(中略)~
地元メディアによると、野党と労働組合が呼び掛けたこの日のデモには1万5000人以上が参加した。
12日に議会で可決された労働法改正案は、雇用主が要求できる年間残業上限を250時間から400時間に引き上げるほか、残業手当の支払いを最大3年延長できるとしており、「奴隷法」との批判を浴びている。
まさに労働者が怒って暴動を起こしています。
それにしても、年間残業上限400時間というのは、年間260日働くとすると、1日あたりたったの1.5時間です。
海外ではこれで「奴隷法」と呼ばれて暴動が起こるんです。
海外の労働者たちがどれだけ自分たちの権利を必死に守ろうとしているか分かる良い例です。
ただ、権利を主張するために暴動まで起こすべきだとは私も言いません。
もしかしたらそこまでやらないと変わらない、守れないこともあるかもしれませんが。
じゃあ、「日本は暴動も起きないし平和で治安が良くてバンザイ、バンザイ」と言えるかというと全然そんなことはありません。
日本は労働者の力が弱すぎるせいで、毎年何千、何万という人達が過労死や過労自殺をしたり、うつ病にかかっています。
こんな状態で「日本は平和な国で国民は幸せだ」と言えますか?
戦争でもないのに「たかが労働」でこれだけの人達が死に、病気になる国が「良い国」だとあなたは誇ることができますか?
日本人労働者は自らの価値を下げている
日本人は権利を主張するどころか、会社に媚びを売っているのが現状です。
え?媚びなんて売ってない?
「給料は我慢料」などと言って嫌々仕事をしている割には、会社にやたらと従順ではありませんか?
「給料を頂いている」
「休みを頂いている」
「仕事をさせて頂いている」
こんな風に言ったり思ったりしていませんか?
日本の文化では謙虚であることを美徳としていますし、それは私も悪いことではないと思います。
ある程度の「謙虚さ」までは。
実際のところ、今の日本人のこういった言動は謙虚が行き過ぎていて、完全に「自虐」のレベルです。
上のような「頂いている~」発言は自らの価値を貶めているだけで、百害あって一利もありません。
ヨーロッパやオーストラリアの人達がこのような発言を聞いたらきっと驚くでしょうね。
「なぜ自らの価値を下げているのか」と。
給料は会社に提供した労働力に対して支払われるもので、入社時にお互いが合意したサービスと対価です。
つまり、どちらが上でどちらが下というものではなく、「提供した労働力=給料」であり、等価交換であり、「給料を貰うのが当たり前」なんです。
間違っても「給料を頂く」なんかじゃないんですよ。
日本では得てしてお金を支払うほうが上という文化がありますが、これはかなり悪い風習です。
社員に「給料をあげている」と思っている経営者はかなりいると思いますが、その会社は社員がいなければ存続できないのです。
社員が「給料を頂いている」と言っているのはよく聞きますが、会社が「労働力を頂いている」と言うのは今まで聞いたことがありません。
双方がお互いに感謝して「頂く」と言っているのなら構いませんが、なぜ日本ではこうも労働者が一方的にへりくだっているのでしょうか。
こういった日本人の過剰な謙虚さは、権利を主張するヨーロッパの人々の対局にあり、自らを会社の理不尽な要求に大人しく従う「奴隷」に貶め、力も権利も自ら捨てている行為に等しいのです。
権利は主張し、獲得し、一度獲得したら常にそれを行使していかないといつの間にか無くなってしまうものです。
以下のように。
その次は「給料は要らないので働かせていただけますか?」
次は「お金を差し上げますから働かせていただけますか?」
で、最後は「命を差し上げますから働かせていただけますか?」
あれ?
最後は既に達成されてるんじゃ?😱 https://t.co/e9pY7zDo6W
— かわずん@アンチ・ブラック企業ブロガー (@kawazn_aus) 2018年12月15日
勤めていたブラック企業で事務部門の夕礼のときに、仕事が終わっていない社員さんがみんな「残業させていただきます」と言っていた(言わされていた)。部署は違うけれど机を並べていた私は、「あんたらが仕事を振りすぎるから、仕方なく残業してあげますでしょ!」といつも心の中で突っ込んでいた。 https://t.co/yOIaUJpoEo
— ニャンタ🐱時間ない〜😵 (@yamugara) 2018年12月15日
日本人がこうやって過剰な謙虚さを発揮し、会社に不満も言わず抵抗もせず羊のように大人しく従っているうちに本当に権利が無くなってしまうことが無いことを祈ります。
低賃金で奴隷のように働かせられている現状を見ると、既に権利は無くなりつつある気もしますが。
労働者の力が強い国の国民は幸せ
ヨーロッパやオーストラリアは会社にとってはビジネスをやりにくい国だと思います。
きちんと賃金を払わなければなりませんし、休暇も与えなくてはなりません。
日本と比べたらこれらの国々の労働法はかなり厳しいし、労働者に有利な内容だと思います。
少しでも社員が会社に対して不満に思えば辞めていってしまいますし、違法なことをすれば訴えられて罰せられます。
そんな国々の経済は日本と比べてどうでしょうか?
日本はヨーロッパやオーストラリアよりも景気が悪く、「後進国」と格下に見ていたアジアの国々にも次々と追い抜かされています。
これらの国々の企業は法律を遵守し、社員にフェアな労働環境を提供してきちんと経営をしています。
日本の労働法は海外の労働法と比べたら生ぬるいくらいなのに、「法律を守っていたら経営が成り立たない」などと言っている日本の経営者は従順な労働者に甘え切っているのです。
覚えておいてください。
日本では社員が上司に「甘えている」などと言われているようですが、本当に甘えているのは法律を破らなければ利益を出すこともできない無能な会社・経営者のほうです。
さらに重要なポイントは、こういった国々の国民がより幸せに見えることです。
「幸せに見えるというのは主観だろう」と言われるかもしれませんが、毎日のように見る過労死や自殺、ブラック企業のニュースを見る限り、私には日本の労働者が幸せとはとても思えないのです。
それじゃ、日本の労働者はどうしたらいいのか?
もはや日本の文化とも言える「ブラック企業天国」の社会は一朝一夕に変わるものではありません。
それはフランスの労働者たちが長い年月をかけて権利を獲得し、行使して守ってきたのと同じく、日本人労働者達が「自虐思想」で長い年月をかけて権利を獲得することを諦めてきたからであり、それを奪い返すにはまた同じく長い年月がかかるでしょう。
まずは労働者一人ひとりがサービス残業をしない、適正な給料を得る、有給を要求し100%取得するという、法律で認められた労働者が得るべき当然の権利を認識し、それを主張し、きっちりと獲得していくことから始めるべきでしょう。
そして、その要求を拒否したり、パワハラで返すような企業はさっさと見切りをつけて辞めるべきでしょう。
ところで、例え今の職場がブラックでも辞めるのは大きな決心が必要だと思います。
それは「リスクが大きいから」とか、「次の職が見つかるか分からないから」など色々あると思います。
そうやって迷っている方は次の記事を読んでください!
>>「私の会社がブラック!」で、行動する人としない人の典型的行動パターンについて