マタハラ?出産、育児に関わる労働環境。日本とオーストラリアと比較してみる


少し古いですが、まずは2014年に「たかの友梨ビューティクリニック」に勤めるエステティシャンが会社から受けたマタハラで提訴した事件から紹介しましょう。

「たかの友梨」は「ブラック企業型マタハラ」だ(今野晴貴) – 個人 – Yahoo!ニュース

マタハラ、パワハラのオンパレードのブラック企業

上記の記事に掲載されている内容を見る限り、この原告の女性が受けた仕打ちは相当なブラックです。

原告の女性が会社に妊娠を伝えたところ、「産休に入るか退職かを選ぶように」「産休に入るなら1年で復帰しないといけない」という選択を迫られた。

しかも、「フルタイムの正社員として必ず戻ってこなければならない」といわれ、「子どもを必ず保育園に入れること」の証明が求められ、「おうかがい書」と呼ばれる書類を高野友梨氏あてに提出させられた。記事によると、「女性の自宅近くの保育園を3つ以上書かされ、子どもを迎えに行けない時に代わりとなる人物の名前まで記載させられた」という。

その後、労組の支援もあり、産休を取得できることになったが、そもそも「たかの友梨」では8時から20時(長いと22時まで)までの連続12時間労働。休憩をとることができず、トイレにいくことすらできない。夜20時から「昼食」を取るような職場である。

それにもかかわらず、時短勤務や軽易な職種への転換などの配慮もなかったため、切迫早産になってしまったのだ。

笑ってしまうのは「おうかがい書」ですね。

産休に入るのにおうかがいも何もないだろうに。

元記事を読んでもらえば分かりますが、マタハラだけでなく、労働環境もかなりのブラックで、おにぎり一つも食べられないほどの休憩なしの長時間の激務、ノルマ達成のための自腹購入なども横行していたようです。

つまり、「たかの友梨」での働き方は、多くの女性にとって、結婚や出産を機に辞めるのか、それとも結婚や出産をあきらめるのか、あるいは早産や流産などの危険にさらされながら、従来通りの長時間の過密労働で働き続けるのかという選択を迫るものなのだ。

これは対等な人間としての待遇どころか、奴隷に近い扱いと言えるでしょう。

社員をこれほど酷い待遇で扱っていたにも関わらず、社長の高野友梨氏は女性の自立を謳っていたというのですから笑えません。

彼女は社員に自立を支えてもらっていたということで社員達に感謝するべきでしょうね。

オーストラリアでは

私はオーストラリアの企業に勤めていた時に妻が出産したのですが、会社と政府のサポートの素晴らしさに感動してしまいました。

ここではオーストラリアの法律と私の経験を交えて紹介していきます。

Parental leave – Best practice guides – Fair Work Ombudsman

政府が支援する有給育児休暇

オーストラリアの有給育児休暇には、会社が支払うものと政府が支払う二種類の有給があります。

政府は出産後、最大で18週間分の法定最低賃金を支払ってくれます。

また、会社はその期間分の無給休暇を与えなければなりません。

この場合、お金を払うのは政府で、休暇を与えるのは会社です。

ちなみに、2018年のオーストラリアの法定最低賃金は$18.29(約1400円)です。

会社が支援する有給育児休暇

会社は社員に有給の育児休暇を与えなくても違法ではありませんが、多くの会社が有給育児休暇制度を備えています。

私が勤めていた会社では、勤続12ヶ月以上の社員は18週間の有給育児休暇が認められていました。

無給育児休暇

上記の有給育児休暇に加えて、「勤続12ヶ月以上の社員には、社員が希望した場合、最大12ヶ月の無給育児休暇を与えなければならない」と法律で定めてられています。

職務復帰後の職の保証

法律では、「社員が育児休暇から戻ってきた時は可能な限り元の職に戻さないとならない」と定めています。

もしそれが不可能な場合は、できる限り元の職務に近い職を与えなければなりません。

会社は社員が育児休暇を取っている期間は、代わりの臨時社員を雇うのが普通なので、多くの社員は復帰後に元の職に戻ります。

育児休暇の取得例

上のFair Work Ombudsmanのページに出ている取得例を紹介しましょう。

Sheridan(女性の名前です)は3年間会社に勤めていて、もうすぐ出産の予定です。

彼女は会社の育児休暇として14週間の有給、または、28週間の半額の有給(つまり、28週間で14週間分の給料が支払われる)を認められているので、28週間の有給を取ることにしました。

会社の有給育児休暇の後に、さらに政府の有給育児休暇18週間を申請することにしています。

さらにSheridanは4週間分の通常の有給休暇が貯まっているので、会社と交渉して4週間分の給料で8週間休めるようにしてもらいました。

結局、彼女は28+18+8でトータルで54週間、有給で休むことにしました

出産日までに必要な休み

出産までには検査などで必ず休みが必要になってきます。

私が勤めていた会社では、この場合は有給休暇以外に年20日付与される「病休」で休みが取れました。もちろん有給です。

しかも、妻が検査の時は私も一緒に付き添いで毎回病院に行っていたのですが、会社は私にも病休で休みをくれていまいた。

検査は数時間あれば十分なので、半日の病休取得でしたが、それだけでもとても助かりました。

会社も同僚も祝ってくれる

一番重要なことは、会社も同僚も妊娠、出産を祝ってくれることです。

そして、出産前の検診のための休みにしろ、育児休暇にしろ、当たり前のように取らせてくれることです。

「休まれると迷惑だ」とか言う上司や同僚など一人もいません。

そんなの当たり前のことですよね?

まずは日本の労働環境の異常さに気付くことが重要

日本とオーストラリアの、出産に関わる労働環境を見てどう思いましたか?

「たかの友梨ビューティクリニック」の例は最悪の部類でしょうし、日本でも育児休暇を気軽に取らせてくれるまともな会社もあると思います。

でも、「マタハラ 体験談」などのキーワードで検索するとものすごい数の記事がヒットすることからも分かるように、日本の出産・育児環境が良いとはとても言えないでしょう。

私がここで言いたいのは、「オーストラリアは素晴らしい。みんなオーストラリアに行こう」などということではありません。

私が特に強調したいのは、ここで紹介したオーストラリアの会社や政府のサポートは他の先進国では珍しくもないということです。

オーストラリアのお隣のニュージーランドも似たようなシステムでしょうし、ヨーロッパではさらに良い出産・子育て環境を法律で規定している国もあるようです。

これらの国の人達からしたら、冒頭の日本の会社の鬼畜とも言える待遇は到底信じられないものだと思います。

日本のブラック企業では育児をサポートしてもらえないばかりか、妊婦は「死」を覚悟しなければならないほどの最悪の環境で働いています。

他の先進国で出来ていることがなぜ日本ではできないのでしょうか?

妊婦に限らず、長時間労働やパワハラに代表される違法な働かせ方を見る限り、日本は先進国の中で最悪の労働環境です。

日本から出たことがない人は、この日本の労働環境が当然と信じているかもしれませんが、そうではありません。

日本の労働環境は明らかに異常なのです。

ではどうしたら良いのか?

色々解決法はあると思いますが、ここでそれを書き出すとものすごく長い記事になってしまうのでやめておきます。

ただ、一つ重要なことは、日本の労働環境が他の先進国から見て「異常すぎるほど異常」だということに気付くことです。

その上で、私のブログの他の記事を読んだり、自分で検索したりして解決法を考えてみてください。

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かわずん
アンチ・ブラック企業ブロガー