手書きの履歴書に見る日本社会の時代錯誤

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みなさんが就活した時は履歴書は手書きでしたか?タイプしたものでしたか?それとも両方でしたか?

私は日本で就活した頃はまだ手書きが当たり前でした。

私はその頃既にワープロ専用機(懐かしいですね)もパソコンも持っていましたが、タイプしたものを使うなどあり得えませんでした。

そして私はこの手書きの履歴書が苦痛で仕方ありませんでした。

手書きの履歴書にはメリット無し

芸人の「厚切りジェイソン」がこの日本の履歴書について指摘したことがあり、以下の記事ではその時のことが書かれています。

厚切りジェイソンも疑問符 「手書き履歴書」専門家の意見は? | 日刊ゲンダイDIGITAL

自身のツイッター上で「就活の履歴書で、最後の一文字でも間違えたら書き直し。修正テープはNGがマナー。最後ぐらい許してと思うのですが」という書き込 みに、「手書きは効率悪いよね。もうこの時代で電子データでいいはず。アメリカで手書き履歴書は聞いたことない。だってメリットないダロウ」と一刀両断したのだ。

まさにそのとおりだと思います。

彼のこの発言は当時結構な反響があったようです。

最近では日本でもやっと履歴書をオンラインから提出したりするところも出てきているようですが、まだまだ手書きのものを要求する会社がたくさん残っているようです。

「字は人柄を表す」「字は心を写す」という日本的“因習”に一石を投じたこのつぶやきはネット上で大絶賛。しかし、現実はというと、「IT企業や広告、マスコミはウェブ履歴書が多いですが、ホンダ、サントリー、日清食品、住友林業などの老舗メーカーは手書きでした」

手書きの文字を見ない欧米の会社は良い人材を採用できていないのか?

ところで、欧米はコンピュータやワープロが発明される前からタイプライターなるものがありましたから、昔は履歴書はタイプライターで作成していたのでしょうか?

もしそうだとしたらワープロで書かれたものに違和感無く移行できたのもそのためかもしれませんね。

(そういえばタイプライターは打った文字を消せないので打ち間違えたらやはり最初からやり直していたのでしょうか?)

それに対して日本語には漢字があり英語よりも圧倒的に文字の種類が多いのでワープロが出てくるまで手書きをせざるを得なかったのは仕方のないことだと思います。

しかしパソコンが手軽な値段で買えるようになり、ネットが発達してデジタルデータでの情報の受け渡しが誰でも簡単に行えるようになった現代においてさえ手書きの履歴書にこだわっている日本の会社は本当に理解に苦しみます。

こういった手書きにこだわる会社の一番の言い分は、「手書きだと文字から本人がどういった人物かある程度分かる」というものでしょう。

確かにそういう面がある程度あるのは認めます。

しかし、タイプされた履歴書を元に社員を採用している欧米の会社が良い人材を採用できていないかといえばそうではありません。

手書きの履歴書が応募者側に対して大きな時間と労力の浪費になることを考えれば、採用側も応募者の負担を少しでも和らげてあげようと配慮をすることも必要でしょう。

そもそも欧米の採用担当者が応募者の手書きの文字を見ていなくてもきちんと採用が出来ているのに、日本の採用担当者ができないはずはありません。

それをしないのは日本の人事の人間の、「少しでも仕事を楽にしたい」という手抜きな考え以外の何物でもありません。

手書きで一見して文字が綺麗ではない履歴書を全く中身も見ないで落すだけだったら確かに仕事も楽でしょう。

しかし、そんな仕分けをするだけなら何も経験を積んだ人間でなくても素人でもできることです。

ちなみに私は今のオーストラリアの会社のチーム内の人員募集の時に候補の人達の履歴書を見せられたことがありますが、素人の私でさえ、タイプされたものでもざっと見るだけできちんとした履歴書かどうか結構分かるものです。

よく日本ではあまり仕事をしない社会人のことを「学生気分の抜けていない甘えた人間」などと批判しますが、それなら新しい事に挑戦しようともせず、応募者に余計な負担をかける時代遅れの手書きの履歴書を要求し続ける会社の人事はまさに甘えでしょう。

日本の履歴書はナンセンス

ちなみに、日本の定形の履歴書のバカバカしさにも呆れます。

写真を貼らないとならないとか、志望動機や特技を書かないとならないとか、学歴はここに書きなさいとか。

果てはハンコを押す欄があったりとか。

履歴書のハンコって何の意味があるのでしょうか??

ハンコの良し悪しで採用か不採用か決めるんですかね??

アホかと。

さらに、一文字でも間違えたら修正液を使って修正することも認められず、最初からやり直しとか。

そんなことで「やる気」だの「社会人になる心得」だのが計れると思っている会社が日本にたくさんあるのだからそのレベルの低さに呆れます。

そんなことで人物を評価しようとする会社はこちらから願い下げです。

そんな会社に入社したら効率の良いやり方を提案しても、「楽をしようとするな」などと否定され、古い方法を押し付けられて苦労するだけなので、避けたほうが無難でしょうね。

「何が重要」かが日本と欧米では大違い

少し話が違いますが、ここでちょっと興味深い話を紹介したいと思います。

これは私がオーストラリアの大学に在籍していた時の話です。

それぞれの学期の終わりにそれぞれの科目で期末試験があります。

この試験ではさすがにパソコンなどは使わず全て手書きでした。

(パソコンを使うと不正をされる可能性が高くなりますし、人数分のパソコンを用意するのも難しいので)

ある科目の試験の前に担当の先生が学生達にこう言ったのがとても印象に残っています。

これは君達の文字が綺麗かどうかを見る試験ではありません。

文字が綺麗でも1点もあげられません。

採点者からすると読むのは勿論大変だけど、汚い文字でもいいから質問に対して持っている知識を全て時間内に書けるようにしてください。

もし間違えたら修正液など使用する必要はありません。

単に間違えた文字に二本線を引いて消して、隣に新しく書けば問題ありません。そのほうが早く記述できます。」

多くの試験は時間的にギリギリなことが多かったのでいずれにしても私などは綺麗に書く余裕などありませんでしたが。

しかし、色々な国の学生が在籍しているので中には几帳面に書く人もいたのだと思いますし、先生はそういう人達に対してわざわざ助言してくれたのでしょう。

別の機会にその先生が教えてくれたのですが、中には本当に読みにくくて汚い文字の人がいたりして採点には相当時間がかかるらしいです。

このストーリー、「読む側の立場に立って綺麗に書け」(これは私が日本の大学にいた時にある先生が実際に言った言葉です)と言われる日本とは大違いですね。

「履歴書を手書きで綺麗に書け」と言う日本と、「タイプしたものでいいから内容で自分を最大限アピールしたものを提出しなさい」と言う欧米のスタイルとの違いはこういうところにも表れているのです。

オーストラリアの履歴書の書き方は?

私がオーストラリアで就職活動をした時は履歴書はメールで送ったり、その会社のウェブサイトからフォームを使用してオンラインで提出することが100%でした。

タイプしたものを紙に印刷して提出することさえありませんでした。

そしてオーストリアでは履歴書は何を書くかは完全にフリーなので書店などに行っても定形フォーマットの履歴書などは売っていません。

恐らく欧米の殆どの国では同じようなやり方ではないかと思います。

「全て自由に書いてください」と言われると定形の履歴書に記入するだけのやり方に慣れている日本人は戸惑うかもしれません。

私も最初は何をどのように書いてよいか全く分かりませんでしたので、ネットで検索して色々な履歴書の例を参考にして書き、知り合いにチェックしてもらったりしました。

自由に書いていい履歴書の良いところは、自分の書きたくないことは書かなくて良いことです。

そしてその逆に自分に有利になる情報は重点的に書けるということです。

つまり、もし今までの職歴ややってきた内容に自信があるのならそれについて詳しく書けばよいでしょう。

もし自分の長所がたくさん思いつくのならそれについて重点的に書いても問題ありません。

大学でやってきたプロジェクトなどで特筆すべき物があるのならそれがどれだけ素晴らしいものだったか、どれだけ評価されたかなどを書くのもいいでしょう。

日本の履歴書の欄で書くことが無くて空白が目立ってしまって困ったことはありませんか?

私は「特技」の欄などには書くことがなくて本当に困らされました。

フリーの形式ならばこういったことは起こりません。

各人が好きなように書くので、形式や項目が全て同じ履歴書など一つとして無いのです。

これらの書く内容や構成の仕方などはそれぞれの能力やセンスによって出来不出来がかなり違ってきますので、それが採用担当者に与える影響は少なくないでしょう。

もしかしたら書く項目が用意されている日本の履歴書よりもフリーのほうが作成するのは大変かもしれません。

しかし、考えに考え抜いて「自分がいかに良い人材か」ということをアピールするために作成した「自分だけの履歴書」がうまく完成した時の満足感はひとしおです。

ちなみに、オーストラリアでは差別を避けるという理由で、年齢や人種や家族構成などのプライベートな事項を選考時に聞くことは禁じられています。

日本では年齢どころか、「今付き合っている人はいるのか」などというプライベートなことまで聞いてくるしょうもない面接官もいるらしいですが全く呆れる話です。

日本では履歴書には必ず生年月日を書きますが、オーストラリアでは書くことはありません。

写真を貼る必要もないのです。

古い悪習慣に固執している限り「グローバル化」などあり得ない

履歴書のこととは違いますが、厚切りジェイソンは記事の中で以下のようなことも言っています。

多くの日本企業の新卒の扱い方が下手くそ。大学で4年も勉強した専門知識と経験を全部捨てって一からやり直させ、適当に仕事を割れ当てる。更にそういうや り方だからあまり価値が搾れ出せないので、低い給料しか払わない。お互いに不幸ダロウ。日本企業に勤める人は大学に行く意味はなんだったっけ?」

私の以前の記事(なぜ学生は就活の面接で嘘をつかなければならないのか?)で「日本人は大学で学んだことと就職先の職種が全く関係ないことが多い」ということを指摘しましたが彼もそれと同じことを言っていますね。

やはり日本の外の世界を知っている人が感じることはみんな似ているのでしょう。

今、日本では盛んに「グローバル化」という言葉が叫ばれています。

そしてグローバル化と言うとまずは「英語力」などという 単純発想の企業が多いですが、日本の会社の多くは全くそれ以前の問題が山のようにあって話になりません。

この履歴書の問題を始め、サービス残業、パワハラ、マタハラなど挙げきれないほどの悪習慣や問題を少しずつでも解決して海外の企業と同じレベルにするほうが英語などよりも遥かに重要な事です。

こういった日本社会独特の時代遅れの悪習慣を改善しない限り有能な人材を海外から採用するなど夢のまた夢です。

それどころか、むしろ日本の有能な人材はどんどん海外へ出て行くでしょう。

日本の外では常識となっているやり方を取り入れられず古いやり方に固執する会社が多いのも、日本が何十年と不況に陥ったままである理由の一つかもしれません。

ところで、日本は面接も嘘ばかりで会社と応募者の騙し合いのようになっています。

効率が悪いことこの上ありませんが、なぜ日本の面接はそんなふうになってしまったのでしょうか?

興味のある方は以下の記事を読むと分かります。

【就活の面接で嘘を付けない?】なぜ日本の就活では嘘をつかなければならないのか?以前の記事(島耕作の時代は終わった ~残業を評価する上司はむしろ会社に害)で最近は出世したいと思わない若者が増えてきているという...
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