民泊開業奮闘記

民泊開業奮闘記~良さそうな物件を見つける→旅館業、住宅宿泊事業どっちにする?


私が日本に帰ってきて不動産投資としてやりたいなと思っていることはいくつかあって、そのうちの一つが民泊です。

「こんなのがいいな」と想像していたのは、土地を買って自分たちの家を建てるか、敷地に余裕のある中古の戸建を買ってその横に「離れ」を作って民泊を始めること。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の宿にすると年間180日までしか使えないという規制がありますが、私の場合、オーストラリアの友人に遊びに来て欲しいという思いがあるので、民泊として使わない時に来てもらえると「年間の半分しか使えない」という縛りは逆に丁度良いのです。

良さそうな物件を見つけた

そういうわけで、「民泊を始めるのは自宅を買うとき」だと何となく考えていたのですが、先日、普通のアパート経営向けの物件を探していた時に、中々面白い物件を見つけました。

なんと、土地が3000㎡弱、建物が約190㎡の2階建てという大きな戸建です。

木造で築年数は9年、オーストラリアの家にありそうなモダンな作りです。

土地の大きさ、築年数の浅さもあって結構なお値段なので、普通に賃貸として貸したら利回りを出すのは至難の業ですが、「これを民泊に使ってみらら面白そう」と考えました。

この物件の良い所は、築浅のためリフォームがほとんど必要ない事。

現オーナーが引っ越して1か月ほどで、まだ痛みもありません。

修繕が必要な箇所は以下のような感じです。

  • カビがきはじめている和室の畳と壁
  • 同じくカビが生えて汚れているカーテンの交換
  • 落書きが所々にある壁の塗装
  • 腐食が入ってしまった洗面所の鏡の交換

ちなみに、壁はクロス張りではなく、外国風のペンキで塗装されたタイプです。

オーストラリアに住んでいた私にはとても馴染みがあります。

家の購入金額は安くないけどリフォームは殆ど必要ないため、購入から開業までの時間が少なくて済みそうなのが大きなメリットです。

ターゲット

この戸建、6部屋(洋室2、和室6)にキッチンが2つもあり、建物の前にはめちゃ広い庭(元は家庭菜園の畑で今は草ぼうぼう(笑))が広がっています。

民泊として使うとしたらどんな客をターゲットにするかですが、これは「複数家族で旅行している多人数客」です。

部屋ごとに貸すのではなく、建物を一棟丸ごと貸します。

日本人は友人家族と旅行したりする人はあまり多くないのでピンと来ないかもしれませんが、オーストラリアなどでは結構そういうことをします。

私もオーストラリアに居た頃は親しい3家族くらいのグループで大型の戸建の民泊に泊まりがけで旅行に行っていたりしました。

それぞれの家族に1~2人の子供がいたので10人以上のグループになります。

これだけの人数だとちょっと大きめの豪華な所に泊まっても人数で割ると結構安く済んだりするんです。

ホテルなどに子供連れの家族同士で泊まると、子供が騒いだりして他の宿泊客に迷惑をかけるのではないかとか心配しますよね。

その点、民泊では一つの家の中でリビングなどにみんなが集まり、夜寝る前まで子供たちは周りに気兼ねなく一緒に遊べますし、親同士は一緒に料理をしたりして、とにかく楽しく過ごせるんです。

日本人はあまりこういう旅行はしないと思いますので、主なターゲットは外国人客になります。

それから、最近は中国人などが親戚や両親などと一緒に旅行することも増えてきているようです。

そういった人達にもこれくらい大きな戸建であれば十分対応できます。

旅館業、住宅宿泊事業どっちにする?

現在、民泊の宿を運営するには二つの形態があります。

住宅宿泊事業で民泊

一つ目は、平成29年6月に制定された「住宅宿泊事業(民泊新法)」で、これは行政に「届出」をするだけで民泊ができるという法律です。

ただ、「『届出』をするだけ」とか、「比較的簡単にできそう」という印象を抱かせておいて、実際のところはオーナーは宿泊客がいる間は1時間以上家を空けてはいけないとか、消防設備を設置しないとならないとか、その他にも面倒なルールがてんこ盛りです。

そして、冒頭でも書きましたが、住宅宿泊事業法の宿の最大のデメリットは年間180日間までしか営業できないこと。

様々な面倒な規制をクリアしても一年の半分しか営業できないのでは割に合いません。

民泊新法制定後に日本で4万件もの民泊が撤退したとかいう話をどこかの記事で読みましたが、それも頷けます。

私の最初の構想のような、「自宅の隣に小さい離れを作って~」というなら180日だけでもいいのですが、今回の物件を買うなら購入金額的に見てもがっつり投資としてやらないと利益は出ません。

なので、この180日制限がある住宅宿泊事業法での民泊は最初からあり得ない選択肢でした。

旅館業で民泊

そして、二つ目が旅館業で民泊をする方法で、旅館業であれば民泊新法のような「180日制限」を受けずに年間を通してフルで稼働できます。

(どうでもいいことですが、私の中では「旅館」と「民泊」では全くイメージが異なるので、「旅館業として民泊をする」というのにはかなり違和感があります)

さて、旅館業法は民泊新法が制定されたのに合わせて大幅に緩和されました。

旅館業法と住宅宿泊事業法の簡単な違いを知りたい場合は「一目瞭然!「旅館業法」「住宅宿泊事業法(民泊新法)」「民泊条例」の比較一覧 | 民泊の教科書」を見てみてください。

上記のサイトでは「『旅館業法の簡易宿所営業』の許可を取る」というようなことが書かれていますが、この点は要注意です。

まず、緩和後の旅館業法では「旅館・ホテル営業」「簡易宿泊所」「下宿営業」にタイプが分かれています。

そして、他のサイトでも上記の「民泊の教科書」で書かれているように、「民泊は簡易宿泊所で~」みたいな記述が見受けられますし、「簡易」という名前を見ると「旅館と比べて簡単に始められそう」と思ってしまいがちですが、全然そんなことありません

実際のところ、許可を得るまでの難易度は旅館とほぼ変わらないと思います。

そして、簡易宿泊所で許可を得るための最大の難題は「男女別々のトイレを用意しないとならない」ことです。

既に二つトイレがある場合は問題ありませんが、一つしかない場合はもう一つトイレを作らないとなりません。

トイレを作ると言ったって、当然、そんな簡単にできるはずがありません。

作るとしたら、基本的には既にある部屋を狭くして作るしかありませんが、そんなことをするとコストがかなりかかりますから利益を圧迫してしまいます。

その他にも洗面設備の設置なども規定されています。

詳しく知りたい方は「えっ!?トイレの数が問題!?民泊を始める時にぶつかる意外な壁 | 民泊の教科書」を読んでみてください。

そんなわけで、「民泊は簡易宿泊所で~」というのは適当過ぎる説明で、既にトイレが二つある物件でない限り私はお勧めしません。

ちなみに、私が狙っている戸建物件は2階建てでそれぞれのフロアに1つずつトイレがあるので、「1階を男性用、2階を女性用とすればいいんじゃないの?」と思ったのですが、これは保健所によってあっさり否定されました。

「女性がトイレに行く時に毎回2階にいかなければならないのは現実的ではない」ということでした。

なので、2階建てだったら各階に2つずつで合計4つもトイレが必要になるということです・・・コストかかり過ぎて笑えない。

これに対して旅館業ではなぜかこのトイレの縛りが「適当な数のトイレを備えること」というようになっています。

緩和される前の旅館業法は「何人以上はいくつトイレが必要」というような規定があったのですが、それが上記のように緩和されました。

「適当な数っていくつ?」というのが最大の疑問点ですが、とりあえず保健所に行って聞いてみたところ、私の狙っている物件に関しては問題ないだろうという回答を得られました。

なんか曖昧過ぎて腑に落ちない気もしますが、これが「お役所仕事」というやつなのでしょう。

保健所を始め、役所に何か聞きに行くときは最低限、間取図を持って行きましょう。

規制に合致しているかを判断するために、間取り図があるか必ず聞かれます。

いずれにしても、旅館業で許可を取るのも数々の規制を一つ一つクリアしていかなければならず、簡単ではありません。

そして許可が取れたら次は民泊を営業していくためにまた様々な規制をクリアしていかないとなりません。

とりあえず今回はここまで。

この「民泊開業奮闘記」は民泊を無事に開業できるまで(あるいは断念するまで)続けていきます。