先日、保健所に行って色々と話を聞いてきました。
最大の懸案事項は用途変更確認申請が必要になるかどうかです。
現在、民泊用にと狙っている戸建は6室もあり結構大きなものです。
この物件の延床面積はマイソクでは190㎡程度で出ていたのですが、不動産屋から建物の平面図や立面図などの設計図を手に入れたところ、延べ床面積は200㎡強あることが分かりました。
用途変更確認申請について
ある物件を住宅から旅館に変更するには用途変更をしないとなりません。
この用途変更ですが、2019年7月に住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が施工された際に、200㎡未満の物件の変更確認申請が不要となるように旅館業法が緩和がされました。
この緩和で削減できる時間とコストははかなり大きいです。
「用途変更の確認申請を理解しよう1(一括解説) |最適建築ブランディング」に詳しく書かれていますが、用途変更には以下のステップが必要なようです。
【用途変更の流れ】
①資料の確認
・確認済証、検査済証、消防適合証明書の書類の確認
・既存図面の確認(確認申請図、竣工図、構造計算書)②関係法令の確認
・建設時の法令確認(既存不適格の有無確認)
・用途変更したい特殊建築物の種類確認
・現行の関係法令、許認可確認③確認申請書、図面作成
・確認申請図面作成
・確認申請書作成
・その他許認可が必要な申請書作成④工事着工、完了検査
・完了工事届け行政に提出
・その他許認可が必要な完了検査
見ただけで眩暈がしてきますね(笑)
とても自分でできる内容ではありません。
さらに、「3階以上」または「200㎡以上」の建物の場合は建築基準法の規制が一気に厳しくなります。
詳細に興味がある人は「【民泊 建築基準法】3階建て以上又は200㎡以上の物件には要注意。 | 「民泊」ねっと」を見てもらいたいのですが、要点をまとめると以下のようになります。
- 界壁・間仕切壁
- 耐火建築物等要求
- 廊下の幅
- 居室から直通階段までの距離
- 2以上の直通階段
- 避難階段の設置
- 排煙設備の設置
- 非常用照明装置
- 内装の制限
- 屋内階段の寸法
これだけのものを基準を満たすように改修していたらものすごいコストがかかってしまいますので、物件の購入自体を考え直したほうが良いことになります。
200㎡未満で用途変更する
こういったわけで、一時は200㎡を超えるこの物件を購入するのを諦めようかと思ったのですが、家族が妙案を出してくれました。
この物件には半分「外」の状態になっているワークスペースがあるのですが、そこを旅館として申請しないという方法です。
そんなことできるのかと思いましたが、例えばアパートの一室を旅館として申請するる場合はアパート全体ではなくて「ここの一角(一室)だけ」というように申請できますから、この戸建の場合も「完全に壁で囲われている室内の部分だけを旅館として使います」と申請することは可能なはずです。
これが許可されれば200㎡未満になるので用途変更確認申請をする必要がなくなります。
ここが認められるかは役所の担当者の認識にもよるかもしれないということで、保健所に確認しに行きました。
これが認められなければこの物件の民泊化計画も購入も取りやめとなるわけです。
そういうわけで、ワークスペースを抜いた図面を一級建築士の義父に描いてもらい(←さらっと言いましたが、ものすごく大変な作業です)、ワークスペースが描かれているオリジナルの図面と一緒に保健所に持って行って説明しました。
で、結論としては、「それで大丈夫でしょう」ということになりました。
これでとりあえず担当者レベルではOKが出たので一安心なわけですが、物件購入後に役所のもっと上のレベルでいちゃもんが付く可能性がゼロではないのでその点はかなり心配です。
購入した後に民泊で使えないとなったらかなり困ったことになります。
普通に賃貸として貸し出しても利益が出ないどころか大赤字になるからです。
ただ、今の段階ではこれ以上の確証は取れませんし、とりあえず担当者レベルでは大丈夫そうだということで、この民泊計画は続行することになりました。
定員について
現在の旅館業法では客室の面積として「一客室の床面積は、九平方メートル以上であ
ること」と定められています。
今回の戸建の物件の場合、往来の旅館やホテルのように一室ずつ貸すわけではなく、「一棟貸し」をすることになるので、戸建ての延べ床面積である190㎡全てが「一室」と見なされることになります。
いずれにしても9㎡以上となるので問題はないわけですが、一体、定員は何人までOKなのか?という点を保健所の担当者に聞いたところ、あちらも「うーん、その場合はどうなるんでしょうね?」という感じでした。
結論としては「50人とか60人とかいう人数では通らないけれど『常識的な人数』であればOKでしょう」ということなりました。
この部分だけでなく、今の旅館業法が民泊という新しい形態に追い付いてないため、各種の申請に必要なフォームの項目も色々とうまく書けない個所があるので、その点は担当者と話し合いながら記入していく必要があります。
今回の件も含めて色々と調べていて分かったのは、法律というのは解釈次第・担当者次第でかなり異なってくるということです。
担当者が協力的で、かつ自分の有利なようにうまく解釈をしてそれで説得できれば良いのですが、もし担当者が頑固だったりすると全く言い分が通らないこともあるので、この点は運としか言えませんね。