まずこの記事を書くきっかけとなったのはTwitterで私が解雇規制緩和を支持する書き込みをしたところ、多くの批判(暴言もね)が寄せられたことです。
失礼な物言いの人は無視することにしましたが、それなりの言い方で接してくれる人の意見は読みました。
私も間違ってたり認識不足なところもありますからね(笑)
その中で、「解雇規制を緩和すればブラック企業が喜ぶでしょう」というのがあり、気になったのでどういう論理なのか調べました。
私が解雇規制緩和に賛成な理由
そもそも私が解雇規制緩和に賛成なのはオーストラリア企業での仕事の経験からです。
初めて就職したオーストラリアの会社では5年ちょっと勤めた後に即日解雇を食らいました。
その会社では経営が傾き始めてリストラを始めていて、その一環で私がいたチームがそっくり無くなりました。
詳しい話は以下の記事で書いています。

解雇されたことはショックでしたが、良かったことの一つは解雇金を受け取れて当面の生活に困らなかったことです。
もう一つは、会社は私のことを要らないと判断したのだから私を必要としている会社に行ったほうがお互いに幸せであるということです。
私を必要としないのなら手切れ金を払ってさっさと解放してくれた方が、転職活動も気兼ねなくできますしね。
労働者が転職したいと思ったらその会社を辞める自由があるのと同じく、会社も同じ権利があるべきだし、そこで無理に雇用させることはどちらか或いはお互いが不幸になると思うわけです。
なぜ解雇規制緩和でブラック企業が喜ぶ?
私は最初こう言っている人の論理が分かりませんでした。
だって、ブラック企業なんて解雇規制があろうと既に追い出し部屋とかのパワハラで自己都合退職にしたりしてやりたい放題やってるじゃないですか。
むしろ、規制があるからそういう方向に持って行きたがってる。
それなら解雇金を払ったらさっさと解雇できるようにすればお互い嫌な思いしなくて済むでしょ?
そういうわけで、以下の記事を読んでみました。
解雇規制緩和がブラック企業激増を招く――NPO法人POSSE代表 今野晴貴 | シリーズ・日本のアジェンダ 「解雇」で変わる?日本人の働き方 | ダイヤモンド・オンライン
要点は以下のような感じです。
- 会社都合だと国の助成金が受けられなくなったりする可能性があるから、会社都合ではなく自己都合退職にさせたがる
- 今でも退職金を上積みすれば解雇は可能だがそんな金を支払うくらいならば、自己都合退職に追い込んだ方がよい
- そもそもサビ残やパワハラを始めとして無法状態で是正されることもないから自己都合退職させることだってへっちゃら
- 解雇が自由になれば「これからは合法だ」とばかりに「お前なんていつでもクビにできる」と脅すことも可能になる
- そもそも解雇が自由な非正規社員に対してでさえ「いつでもクビにできるんだぞ」と脅す会社がある
なんというか、正に「無法状態」「ブラック企業のやりたい放題」の現状を改めて思い知らされた感じです。
違法なことでも平気でやる日本企業のモラルの無さには愕然とさせられます。
「退職金を払うくらいなら自己都合退職にしたほうが良い」と言うのは最初は「?」でした。
だって、自己都合退職にさせる準備をしている間も給料払わないとならないから解雇金とどっちが得か分からなくなってきますよ。
多分、そもそも給料でさえ大して払ってないから時間がかかっても自己都合退職がいいってことなんでしょうね(笑)
さて、その上で、上の記事の筆者は「労働環境の改善のために必要なことは、何よりもまず、違法行為を是正させるための施策である。近年人員が削減され続けている労働基準監督官、都道府県の労働相談センターの人員拡充、研修の強化などが有効だろう」と述べています。
つまり、「違法企業をもっと厳しく取り締まれよ」ってことです。
私もこれには賛成です。
今の日本は違法企業に対して甘すぎだと思います。
現在の日本は解雇がしにくいのか?
私は、日本には「整理解雇の4要件」というものがあり、これが厳しいために解雇しにくいという認識を持っていました。
- 人員整理の必要性
- 解雇回避努力義務の履行
- 解雇する従業員選定の合理性
- 従業員への十分な説明
の四つです。
しかし、以下のページによると、最近ではこれら4つ全てが適用されないと解雇できないのは、従業員1000人以上の大企業だけでそれ以下の中小企業に関しては1つでも当てはまれば整理解雇を行えるようになっているそうです。
もし整理解雇されたら|整理解雇の条件と知るべき対応策|労働問題弁護士ナビ
そして、四要件それぞれにしたところで要件としてはまともに思えます。
例えば「解雇回避努力義務の履行」では「整理解雇を行う前に、労働者に対する影響の少ない他の手段を行っているか?」ということで、希望退職者の募集なども入っています。
そうそう、私がオーストラリアで解雇になった会社でもまずは退職金(解雇金)を支払う前提で希望退職者を募っていました。
あれ?実は解雇はそんなに難しくないんじゃ?(笑)
とりあえず私が調べた限りでは、今の解雇規制というのはそれほど厳しいようには思えませんでした。
ということで、特に現状に関しては私の認識が間違っていたのではないかと思います。
「いや、そんなことは無い!解雇規制は厳しすぎる!」という意見があったら是非教えてください。
問題は何なの?
「それじゃ問題は何なの?」ということになりますが、結局のところ、この四要件の一つでさえ満たそうともせず、会社の責任を無いことにするためにパワハラなどを駆使してなんとか自己都合退職に持ち込もうとするブラック企業が諸悪の根源ってことになりますね。
つまり、解雇規制があるから自己都合退職に追い込もうとしてブラックになるわけではなく、ブラックは最初からブラックであったということです。
ブラック企業、まさにクソ。日本社会から駆逐しないとなりませんね(笑)
こういうことが明らかになると、私がオーストラリアでいかにフェアな環境で働けていたかということを痛感させられます。
もちろん、オーストラリアにある企業全てが法律を順守した素晴らしい企業であるとは言いません。
一部の日本企業や個人経営のレストランでは相当酷い待遇で働かせているいる話を何回となく耳にしました。
ただ、私自身の経験はもちろん、私の知り合いなどの話で日本のように滅茶苦茶なことをやっている企業の話を日常茶飯事のように聞くことはありませんでした。
それはやはり政府の厳しい取り締まりと、大きな罰則、罰金があるからだと思います。
労働者側もやるべきことがある
ブラック企業自体も、それがのうのうとのさばっている状態も正直腐りきった状態だと思います。
もっと厳格に取り締まるようにするべきだし、罰則も強化するべき。
でも、ブラック企業に対して何もできない、しないで働き続ける労働者がブラック企業をさらに増長させているのも事実でしょう。
訴えられる人は訴えればいいし、それが出来ない人ならさっさと辞めればいい。
「気が弱くて辞められない人もいるんだ!」という人もいるでしょうし、ブラックを辞めるのも脅されたりして大変なようですが、それなら今は退職代行を使うという方法もあります。
大体、「お前なんていつでもクビにできるんだぞ」と脅してくるような会社で働き続けたい人なんていないでしょう?
それで「私は被害者だ」「でも仕方がない」と思って働き続けることは、結局ブラック企業をより長くのさばらせること加担していることになります。
「一人が辞めたところでまた雇えば同じことだろ」という人がいるかもしれませんが、日本人の多くがこういう意識になればブラック企業で嫌々働く人は少なくなり、厳しい取り締まりと合わせればブラック企業の数は減っていくはずです。
オーストラリアの人達は少しでも待遇に不満があると結構簡単に転職をしていってましたので、パワハラなんてされた日には即転職するだろうことは容易に想像がつきます(またはもっと上に訴えてパワハラした人を処罰してもらうか)
日本人はとにかく上に従順で嫌なことでも泣き寝入りして従ってしまう傾向があります。
でも「逃げる力」は大事です。
「逃げるは恥だが役に立つ」という有名なドラマがありましたが、私は恥だとも思いません。
嫌な会社で無理に働かない。
嫌な人や環境で無理に過ごし続けない。
「でも逃げるのは負け」「転職するのはリスクが大きい」
そう言う人は以下の記事を読んでみてください。
